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2006年8月31日(木) 17:33

440V

 コッククロフトを利用する場合に留意すべきことは他にもある。それは、高電圧を発生させる回路本体がどんな構造になっているかだ。出力電圧の波形が全く同じであっても、コッククロフトが効果を発揮する場合としない場合がある。

 今回設計した昇圧チョッパー回路の場合。
 スイッチングFETがOFFになると、ONの間にコイルに蓄積されたエネルギーは一気に放出される。

 コンデンサーに蓄積されたエネルギーを一気に放出すると、電圧は同じで大きな電流が発生する。エネルギーが抜けるに従って電圧が低下する。
 一方、コイルに蓄積されたエネルギーを一気に放出すると、電流は同じで大きな電圧が発生する。エネルギーが抜けるに従って電流が低下する。こうして昇圧が実現する。

 この高電圧でコッククロフトの根元コンデンサーC1が充電される。
 ここで充電された電荷は、ターゲットの大容量コンデンサーへと漏洩することはない。

 標準的な昇圧チョッパーとはD1の位置が違う点に注意。普通はFETより出力寄りに置く。しかし今回はFETよりもコイル寄りに置く。

 続いてスイッチングFETがONになると、コイルにエネルギーが蓄積される。
 コイルの充電はコンデンサーの充電と違ってイメージを浮かべ難い。流れ続ける電流としてエネルギーが溜まるため、コンデンサーのようにパーツだけを切り出して「はいたっぷりエネルギー溜まってます」と見せられない。

 ここで、先にチャージされたC1の電荷がC2に移動する。この図を見ればD1の位置が変わった理由は明白だろう。標準的な昇圧チョッパー回路のままでは、コッククロフトを接続しても全く効果が無いのである。

 更に、ターゲットの電圧が低い場合はC2の電荷がターゲットに抜ける。このため、C1に蓄積された電荷の大半が吸い出される。しかしターゲットへ電荷を送る供給源はコッククロフト部分であり、バッテリーが消費されることはない。
 C1の電圧がバッテリー電圧より低くなるとバッテリーからC1にも流入するが、C1がバッテリー電圧まで充填された時点で流入は止まる。ここでC1に溜まった分は、次にFETがOFFになった時にC1をチャージするのに要するエネルギーを小さくするので、差し引き同じ。

 こうしてコッククロフト部分は電力レギュレーターとして働く。
 (C1に蓄積されるジュール数)×(スイッチング周波数)を上回るワット数は出て行かない・・・はずだがまだ確認出来ない。いずれにしろこの回路は動作がかなり綱渡りっぽい。本当に動くのか?

 大丈夫、コッククロフトが動作することは仮組みの状態でも確認出来た。ATX電源で動かし、各コンデンサーに220Vが蓄積され、440Vを実現した。目標の330Vを無事にクリア!
 以上を元にバージョンアップした昇圧回路がコレだ。

 D1はコイル充電時に大電流が流れるため、耐圧と耐電流の両方を要求されてしまう。スイッチングFETと同じ運命だが、FETに比べればまだ低コストなので我慢する。
 出力電圧検出はFETのスイッチング・デューティー比を変える役には殆ど立たない。ターゲットコンデンサーの電圧をモニターしてるのに近い。要はコイルの発生電圧をほぼ常時MAXにキープすることでワット数を稼ぐ戦術だ。秋月インバーターの思想をマネてみた (^_^;)

 コイル電圧を抑えればFETの耐圧は250Vで充分。しかし電圧MAX垂れ流しだとバッテリー17Vで発生可能な高電圧も考慮せねばならず、耐圧300V無いと安心出来ない。250Vと300Vの差は微妙。入手可能なFETが違うのだ。


型番 耐圧 耐電流 ON抵抗 許容損実 ゲート容量
2SK2995 250V 30A 48mΩ 90W 5400pF
2SK1486 300V 32A 80mΩ 200W 3500pF
2SK3132 500V 50A 70mΩ 250W 11000pF

 250Vで良ければぐっとON抵抗を減らせる。しかし、絶対に250Vを越えないよう確実に制御するのは面倒だ。単に電圧検出抵抗を調整するだけでは済まない。リップルを減らせるだけのコンデンサーをぶら下げねばならず、コッククロフトの動作に支障が考えられる。
 300Vはゲート容量が小さいので2パラで使えばON抵抗0.04Ωとなる。2SK1486
は 3132 ほど高くはないが高価には違いないので、性能優先の豪華コースとなる。当面は
3132 のままで組んでみよう。

 ターゲット・コンデンサーの電圧が高くなるとC1の電荷が充分に吸い出されず、出力ワット数が激減する可能性がある。実際に試してみて抜けが悪いようであれば、電力レギュレーターとして使うのを諦めることになるかもしれない。

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2006年8月30日(水) 17:10

コッククロフト・ウォルトン回路

 高電圧を発生される上で非常に役立つコッククロフトだが、素朴な疑問を抱いた。どうしてちゃんと動くんだ?
 実際、ちゃんと動かないことがあった。秋月インバーターで0.1μFのコンデンサーを使ったコッククロフトで544ジュール電解を充電した時は超絶異様に時間が掛かった。
 逆に、秋葉王インバーターでは出力電力レギュレーターとして使ったら計算外の大電力が出て行ってインバーターが壊れた。
 何か見落としがあるようだ。コッククロフトはほぼ必須なので、理解出来ない動作をされては困る。実害がでかいのだ。

 これは試験用の4段コッククロフト。
 耐電圧が結構高くコンデンサーの極性も無いため、想定外の事態でも壊れる可能性が低い。

 コッククロフトだけはな・・・これに接続した機器は壊れる (;_;)

 左側の赤い2本の配線に交流が入力される。4倍昇圧された出力は写真下側から取り出される。
 これを眺めると、ある疑問を抱く。

 コッククロフトでは、すべてのコンデンサーは写真右側が+で写真左側が−となるように充電される。実際の回路にテスターを当てても、確かにそうなっている。
 C1だけが出力電圧の最大振幅で充電され、それ以外はその2倍の電圧で充電される。

 ここでコンデンサーに全く電荷が蓄積されていない初期状態において、交流で上側が+、下側が−になった時を考えてみる。
 コンデンサーC1とC2に注目して欲しい。
 お・か・し・く・ないか?

 2つのコンデンサーと電源の関係が、左の回路図のようになっているとしか自分には思えないのだが?

 これだとC2は良いとして、C1は想定と逆の極性で充電されないか?
 それとも、自分の理解が間違っているのか?

 さっそく実験してみる。交流ではなくラジコンバッテリーを接続してコッククロフトに直流を与えてみた。もちろん上の写真のような極性にして。
 結果は素朴な疑問の通りとなった。C1とC2はほぼ同じ電圧で充電されており、C1は極性が逆だった!
 これは大変な事態である。電解の場合はC1の寿命を著しく縮めたり破裂の恐れがある。ヤバ過ぎる!
 実験回路のように極性のないコンデンサーを使っている場合は、交流周期の半分においてC1が逆極性に充電されるため、なかなか電荷が溜まらないということになる。なぜ544ジュール電解を80Vにチャージするまで12〜13分も掛かったのか?その謎が解けた。

 従って、逆極性充電を防止するためのダイオードをC1に取り付けねばならなかったのだ。もちろん、交流と称しつつ極性が反転しない場合は問題無い。

 コッククロフトは極めてポピュラーであり、取り上げているサイトは多い。だが、C1にダイオードを付けていないサイトもまた多い。危ないよ!
 C1以外のコンデンサーはダイオード2本ずつが同じ役割を担ってくれるため、逆極性に充電される心配は無い。後は、余分なダイオードが接続されたことで問題が生じなければ・・・

 ダイオードの追加により、電源電流ではC2だけが充電されることになる。
 それ以外のコンデンサーはすべてダイオードを通じて電源電流がパスして行くので、電源電流では充電されることがない。これは、ラジコンバッテリーで直流を送り、実際に確認した。

 しかし、C2の電荷は最終出力端子を介してショート状態となるため、大容量コンデンサーを充電する場合は電源の出力が短絡されたのと同様の負荷となる。
 コッククロフトは電力レギュレーターとしては使えなかったのだ!
 最終出力端子に放電器を接続し、バッテリー入力には電流計を取り付けた。放電すると消費電流が増大することを実際に確認した。

 今度は交流の極性が逆になった場合。
 言うまでもなく、電源電流ではC1だけが充電されることになる。この場合C1にダイオードは不用であり、極性の反転しない交流・・・脈流で使う場合はダイオード無しでも問題無い。ただしこの場合コッククロフトに接続極性が発生するので注意すること。

 最終出力端子は勝手に閉路を形成し、C1と関わらないため大容量コンデンサーの充電時であってもC1が一気に放電されることはなく、電力レギュレータとして働く。これも、ラジコンバッテリーで直流を送り、実際に確認した。
 ただしこの場合でも、下側ではなく上側のコンデンサーから最終出力を取り出すと短絡してしまう。

 コッククロフト・ウォルトン回路は、交流と言っても単極か両極かによって性質と扱いが変わる。ところが、この点をちゃんと区別して説明してあるサイトは殆ど無い。そこで、ここで整理しておこう。

両極交流(極性が反転する)の場合
 1)接続極性無し。
 2)根元コンデンサーにもダイオードが必須。
 3)電力レギュレーターとしては使えない。
 4)根元コンデンサーは出力電圧V、それ以外は2Vで充電される。

単極交流(極性が同じ)の場合
 1)接続極性がある。
 2)根元コンデンサーのダイオードは不要(サージ対策等で入れると安心感)。
 3)電力レギュレーターとして使える(コンデンサーが偶数個の場合のみ)。
 4)根元コンデンサーは出力電圧V、それ以外もVで充電される。

 コッククロフトを有効活用するには両極交流が必須と思い込んでいた。ところが実際には極性が変わらない単なる脈流でも相当使い物になりそうだと気付く。多段の場合は2V充電の出来る両極交流を用意したいが、それほど多段が必要ないケースでは単極で充分に利用価値がある。
 コンデンサー充電目的の場合、ピーク電圧さえ管理できれば出力電圧を平滑化する必要は必ずしも無く、パルス電流のままコッククロフトに直結するのがアリだ。

 自作チョッパーは330Vを達成出来なかったが、160〜170Vは余裕を持って出せる。単極コッククロフトで倍電圧にすればいい!
 2倍にするだけならコンデンサー3個でいいが敢えて4個使い、電力レギュレーター機能を持たせるべきだろう。引き替えに得られるものが大きい。これが無い場合、出力が短絡すると出力電圧が落ちて平衡する。スイッチングFETのデューティーが小さくなり、平均電流が小さくなる。すなわち、出力ワット数も落ちてしまう。
 だが、コッククロフトによる電力レギュレーションが効けば、高負荷時でも高電圧を出せる。すると、出力ワット数も大きくなる。電力制限を行うことで逆に、コンデンサー充電時間は短くなるはずだ。

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2006年8月29日(火) 17:10

試運転

 昇圧が実現するかどうかだけをまず確認する回路を組んでみる。
 電圧調整用半固定は2.5KΩという品が無かったので5KΩを使用。入力平滑は殆ど無意味なのでOSコン1個だけ申し訳に使用。インバーター周波数は低く設定するため、タイミングコンデンサー容量を大きくする。当初は330pFによる高周波を想定していたがまずは1000pFとした。

 出力側のフィルムコンデンサーも平滑の意味は殆ど無く、単に実現電圧測定用と化している。
 仮組みでは大電流に耐えられないため、電流検出抵抗は1.2Ωである。せいぜい0.2〜0.3Aしか流れない。負荷はフィルムコンデンサーだけなので、どっちみち電流は殆ど流れないはずだ。

 組み立てを誤っていなければ、だが。

 チョークコイルとFETと出力ダイオードは巨大でボードに直接差せないため、ハンダ付けして一体の別ユニット扱い。
 黄色い巨大フィルムコンデンサーも、端子にジャンパーをハンダ付けしてからボードに差してある。

 電流はともかく、ボードがどの程度の耐電圧を持つか微妙ではある。

 出力電圧を最低に調整する。分圧抵抗が1M:8.3Kとなり、120倍以上の設定。基準は1.25Vなので、150V以上出るはず。結果は160V以上出力された。
 余りにあっさりと、ちゃんと動いてしまった★

 だが、出力電圧を上げるよう設定しても、247Vまでしか上昇しない。密かに危惧していた可能性が現実になってしまった。
 チョッパー型の昇圧比は、スイッチングFETのON期間とOFF期間の比率で決定される。デューティーが100に近づけば理論上は際限なく高電圧を出せる。だが、昇圧比を極端に上げようとすればFETがOFFとなっている時間が極端に短くなる。
 FETのスイッチング速度は無限ではないため、OFFして超短時間でONにしようとしても追い付かない。

 だから、インバーター周波数を上げ過ぎると昇圧し難くなる。周波数を下げても、今度はスイッチング制御ICの能力が壁となる。MC34063の場合、ON期間とOFF期間の比を一定以上に大きく出来ない。そしてこの限界は意外に小さいのだ。
 このあたりの可能性は昇圧チョッパーの原理を知った時点で当然気付いた。実はそれもまたチョッパー型より市販インバーター改造に走らせた動機の1つだった。
 170Vは例のサイトで実績がある。だが330Vまで上げられるのか?

 不安だったからとにかく仮組みして試したのだが、賭けに負けた (;_;)

 247Vまでしか出せない原因が本当に昇圧比の壁であるなら、バッテリー電圧を下げれば出力電圧が下がるはずだ。ラジコンバッテリー2本はまだ無負荷電圧16V近くある。ATX電源12Vで動かすと、出力電圧は220Vで頭打ちとなった。単純なバッテリー電圧比ではないものの、明らかに昇圧比の限界に引っ掛かっている。

 MC34063のON/OFF比率は周波数によって限界が変わる。コンデンサーを1000pFから3300pFに換装すると、ATX電源でも237Vまで出せるようになった。だが、周波数調整だけでとても330Vは出せそうにない。
 この時点で、MC34063とその互換とされるNJM2360でON/OFF比率が違うと気付く。そればかりか、同じ容量のコンデンサーを使っても周波数が違う。NJMで設計したがMCだと周波数がかなり上がるのだ。NJMの方を使えば「もしかすると」更に高い電圧を出せるかもしれないが、それは可能性でしかない。

 シンプルにとにかく一号機を作ってしまおうとの作戦は第一歩でいきなり躓いた。さて、どうしたものか。出力は極性反転しないがコッククロフトで昇圧か?

 をっと、その前に高負荷試験が必要。過電流でブッ壊れる回路の発展案を考えるのは無意味だ。
 出力フィルムコンデンサーに放電器を接続し、40ミリアンペアの定電流負荷を掛ける。出力電圧が17V程度まで低下して40ミリアンペアが流れ続けた。コンデンサー充電を想定した場合、高負荷時に出力電圧が低下するのは理想的性質だ。しかしチョッパー回路ではワット数が落ちるので問題かもしれない。
 本格的な大負荷試験は大電流を流せるよう回路を本組みしてからとなる。

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2006年8月28日(月) 17:32

昇圧チョッパー設計

 何度も書いてるように高電圧を作るコンバーターにチョッパー型は不適切である。ニキシ管を光らせるような小電力ならそれほど問題ではないが、大電力では無駄が多過ぎる。無駄の原因はスイッチング素子に高電圧が掛かること。だから、電圧の低い降圧型のPCマザーボード用としてなら常用されている。
 しかし構造が単純で自作し易いため、完全自作の一号機としては向いている。性能の低さを認識した上で、スペックを欲張らなければ十分モノになろう。以前設計した↓の定数を少し修正すればOK。

スイッチングFET

 スイッチングはゲート容量が小さいほど高速に行うことが出来てロスを減らせる。ところが、FETのゲート容量は一般に耐圧が高いほど大きく、電流を多く流せるほど大きく、更に厄介なことにON抵抗が小さいほど大きい。
 ON抵抗が小さいとON時のロスが減るが、そういうFETはスイッチング時のロスが増えるのだ。
 FETは便利で高性能だがゲート容量が最悪の性質を持っている。耐圧が高くても大電流流せてもON抵抗が低くてもゲート容量の増えないFETを発明すれば、青色発光ダイオードに匹敵する革命が起きるかもしれない。もちろん特許料もガッポリと。
 プロの方頑張って下さい★

 残念ながら現状は理想のFETが無いため、スペックを吟味して無理無駄のない選定するのが性能を出す上で重要となる。
 まず絶対なのは耐圧。330V出力だから最低でも400Vは必要だ・・・となる時点でチョッパー型は決定的に不利という次第。
 FETを直列するのは精密な制御を要し、構造がシンプルというチョッパー型唯一の利点を無意味にする。もちろん、複数のFETを使えばトータルのゲート容量も増える。
 続いてON抵抗。これはバッテリーからコイルをチャージする時のロスに直結する。出力に比べて大電流となる入力で効いて来る。
 1Ωもあったら5A流れただけで25ワットの発熱。効率は話にならない。ところが、耐圧400V以上のFETではちっとも珍しくない。
 この時点で選択の余地がほぼ無くなる。秋葉原レベルで手に入るFETは、2SK3131か2SK3132しかない。それ以外は耐圧330Vに達しないかON抵抗が0.2Ω以上あるか、とにかく論外なのだ。

 両者の違いだが、3131は内蔵ダイオードの逆回復時間が短いためモーターを駆動したりする場合にトラブルを起こし難い。3132はON抵抗が低い。3131が0.11Ωなのに対し0.07Ωである。
 昇圧チョッパーではFETに逆電圧は加わらないため、2SK3132がベストとなる。前回書いたように、このFETだけで秋月インバーターが買える。
 そんな出費をしなくては要求性能を出せないのがチョッパー型の悲しさである。ON時は330Vではなく12Vが加わるので、安定動作領域が0.1Aなんて馬鹿なことにはならない。それでもラジコンバッテリー2本直列で安心出来るのはせいぜい15A程度まで。一見思い切りオーバースペックな50Aという仕様だが、当然あってしかるべきマージンを考えると決して贅沢ではない。

 ここまでやるなら秋月インバーターを買い占めて徹底的に改造試験を続ける手もある。秋月インバーターはFET1個の値段で買える上に通販やっていて誰でも簡単に入手出来る。その改造手法を確立すれば手軽な携帯高圧電源として多くのマニアの役に立つだろう。壊したとは言えかなりのところまで解明が進んでいる。入力電流制限さえ掛かれば有力な武器になる可能性が高い。
 だが、市販インバーター改造が失敗続きで精神的に参っている。近い将来再開する可能性は高いものの、今は気分転換が必要だ。

チュークコイル

 コイルはインバータートランスに比べると市販品が流通しているため選択の余地がある。しかし希望にピッタリ来る許容電流とインダクタンスの組み合わせはなかなかない。
 コイルとコンデンサーは電流と電圧が逆になったようなもので、コンデンサーを思い浮かべると面白い。コイルの許容電流はコンデンサーでは耐電圧に相当する。つまり、許容電流の大きなコイルは貴重品であり、許容電流を大きくしようとすれば急激に図体がでかくなる。

 大電流を扱えるチョッパー昇圧回路はでかいコイルを抱え込む羽目になる。逆に言えば電流で少し妥協すれば一気に楽になる。
 この辺りを考えつつ、入手出来たコイルに合わせてインバーターの仕様の方を調整しようと決める。トランスほどではないにしろコイルも結構不自由なのだ。
 結局15Aで300μHのコイルにした。重さが300グラムもある。システム重量4〜5キロを想定している中で0.3キロは決して軽くないものの、コイルの持つ重要性を考えるとまあ仕方ないかなと。本当なら15Aで75μHでいいからずっと小さいのが欲しかったが、そういう選択の余地がないのがコイルの不自由さってこと。

 2SK3132は耐電圧耐電流ON抵抗すべて揃っているため、ゲート容量が実に11000pFもある。まさに桁違いだ。当然スイッチングロスが凄いことになるため、可能な限りスイッチング周波数を低くしたい。そうなると300μHというインダクタンスは武器になる。数KHzまで落とせる。
 また、コンデンサー充電とは極めて特異な分野である。出力が短絡した場合、普通の電源装置は回路を守るだけで良い。火災を起こしたり壊れたりしなければ良いのだ。これに対しコンデンサー充電器は、出力が短絡した状態で普通に定格出力を送り出すことを要求される。そしてその状態の方が正常ケースと来ている (^_^;)
 壊れないだけでは役に立たない。

 当然ながら過電流保護回路の持つ意味が通常の電源装置とは全く違う。それは常用される前提であり、十分な信頼性が必要である。ここで大きなインダクタンスが意味を持つ。静電容量の大きなコンデンサーが大きな電圧平滑力を持つのと同様、インダクタンスの大きなコイルは大きな電流平滑力を持つ。電流の変化がマイルドになれば相対的に電流検出機構の反応が速くなり、信頼性が高くなる。
 標準設計マニュアルからすれば過剰なインダクタンスも、コンデンサー充電器では意味があると考えられる。

出力

 FET、コイル共に15Aは行けるので、入力電流制限も15Aとすればかなりのワット数を出力出来そうに思える。しかし、15Aはピーク電流であり、常時15A流れるのではない。
 FETがOFFになっている期間はコイルに蓄積したエネルギーを放出するだけであり、平均すれば15Aに達することはない。FETがONになっている期間も、コイルを流れる電流は最大15Aに向かって少しずつ大きくなる。例え出力が短絡されてもいきなり15A流れるのではない。コンデンサーを充電する場合に電圧が少しずつ大きくなって行くのと同様だ。だから、平均電流は更に小さくなる。
 入力電流の平均が15Aよりかなり小さくなる以上、出力ワット数がバッテリー電圧×15Aまで出るなんてことも絶対に無い。

 FETがONになっている割合が大きいほどワット数は増える。秋月インバーター同様にチョッパー回路も、出力電圧を高めで運用した方が出力が大きくなる。
 入力側の平均消費電流は恐らく3〜5Aだろう。これはいずれ電流計でチェック出来る。50ワットとして、出力側30〜40ワット出ればかなりのものだろう。15秒で500ジュール程度になる。コンデンサーの電圧が上がり切る直前は消費電力が減るので、実際には500ジュールのバンクを15秒ではチャージ出来ないだろう。それでも、我慢出来そうな性能だろうとの目処は立つ。

 車載インバーターにしろ電子レンジにしろ、家電製品にとってコンデンサーの充電は思い切り想定外のアプリだ。
 流用した場合は、やはり常にオーバーロードで壊す危険に怯えることになろう。自作チョッパーはコストが高く性能も一流とは言い難い。だが、最初からコンデンサー充電を想定して設計する点で、使用上の安心感はある。
 試しに544ジュール電解を充電したら、アッという間に壊れるかもしれないが(汗)

 昇圧チョッパーにはもう1つ面白い性質がある。それはFETがOFFであってもバッテリーと出力が接続している点。コンデンサー電圧がゼロに近い初期充電時はバッテリー直結充電が最も効率的なので、この性質は有効に働く。出力ダイオードの容量に要注意。ただし2回目以降の発射では意味は無い。フラッシュランプの放電が終了してもコンデンサーには50〜70V残るものなので、バッテリー電圧より遙かに高い初期状態からチャージを開始することになる。

written by higashino [パルス] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(7)] [TB(0)]

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2006年8月27日(日) 13:43

全滅

 あ〜あ、秋月インバーター3台目買うのか・・・とブルーになっていたが、あきばお〜のインバーターが目に止まる。どうやっても基本電圧が118Vという低圧から上がらないわSSY−1コンデンサーの充電に4〜5秒も掛かるわで放り出していたものだ。
 先日は散々弄んで何の収穫も無かったが、秋月インバーターと格闘したのは無駄じゃなかった。秋月で安物インバーターの仕組みを熟知出来たため、見る目がまるで違う。基本構造が秋月とほぼ同じなのが手に取るように分かる★
 こいつも324使ってるんだな。入力電流制限機能を内蔵したIC使えよ!と言いたくなる。

 パターンを詳細に解析しなくても少し追うだけで改造ポイントが浮き上がる。IC付近をいじるより、電圧検出抵抗の上流をいじるのが早いはず。うまい具合に直流出力電圧を溜めるコンデンサーの脇という便利な場所に抵抗がある。オリジナルは360KΩだ。これを1MΩに交換。これで出力可能な上限電圧が分かるだろう。
 いきなり200Vオーバーとか振れてコンデンサーが爆発する可能性は低い。秋月がそうであったように、効率的にワット数を稼ごうとすればトランスの可能な最高電圧に近いところで運用されているはず。そうとんでもない電圧アップ余地はないはず。

 ATX電源で動かす。スイッチを入れると基本電圧147Vが出力された。成功だ!
 先日あれほど苦闘してどうやっても駄目だった電圧アップ改造が、一発で成功してしまった。秋月で勉強した効果である。試しにSSY−1実験セットに接続。メインコンデンサー兼コッククロフトには想定通り560Vが蓄積された。SSY−1は力強いクレーターを黒発砲スチロールに穿った。
 ラジコンバッテリー2本直列の電圧は標準14.4Vであり、ATX電源で動かすより2割ほど高い。この場合、普通に基本電圧170V以上を出せるだろう。バッテリー電圧が下がると大電流時の電圧降下で170Vは無理だが、コンデンサーは充電末期になると負担が減るため電圧が回復するだろう。

 結論として、秋葉王インバーターならラジコンバッテリーによる運用で基本電圧165Vはほぼ確実に出せる。330Vのカメラフラッシュ専用電解で作ったコンデンサーバンクを充電するのにピッタリだ。
 ただし、秋月同様に耐圧16Vのコンデンサーが多いので20〜25V品に交換せねばならない。それに、相変わらずSSY−1の充電に4〜5秒を要する。これは過電流保護が働いている可能性が高いものの、全く別の可能性にも気付いた。

 コッククロフトに使っているコンデンサーの容量不足。

 秋月インバーターを544ジュール電解に接続すると過電流で壊れたが、コッククロフト用コンデンサーが0.1μFの場合はなかなか電圧が上がらず電源電流も流れず、壊れなかった。これを逆用し、コッククロフト根本のコンデンサーをわざと容量不足にしておけば、一種の過電流保護として働く。
 交流の半周期で根本のコンデンサーが充電され、次の半周期で放電される。コッククロフトを介して出て行く電力は、(根本のコンデンサーに蓄積されるジュール数)×(交流周波数)を超えることが出来ない。立派なレギュレーターじゃないの。

 しかしそれだけでは計算が合わない。147V200μFで蓄積されるのは約2ジュール。50〜60Hzならば100〜120ワットの出力が可能であり、SSY−1の充電に何秒も掛かる訳がない。
 秋月インバーターでも妙だった。115V0.1μFは1ミリジュール以下だが、それでもトランス出力はインバーター周波数だから出力数ワット以下な訳がない。出力過電流保護回路は除去してあったのに12〜13分も掛けて僅かなジュールしか溜まらなかったのは何なんだ?
 700〜800秒掛けて20ジュールってのは、せいぜい0.03ワットである。コンデンサーの容量が2000倍になっても60ワット。定格150ワットのインバーターのヒューズが溶けるのは納得出来ない。

 コッククロフトを電力レギュレーターとして使うのは理論的には明らかに可能だが、具体的なコンデンサー容量は計算通りに決まらないようだ。トランスの2次側コイルとコッククロフト初段コンデンサーによるLC共振回路が出来て、その周波数とインバーター周波数による絡みがあるのかもしれない。トランスのスペックは不明だしHブリッジ通せば訳分からなくなるし、これは実際に試すしかない。
 4〜5秒あれば計器チェックには充分。SSY−1充電中に秋葉王インバーターは入力何アンペア位流れているか調べてみよう。

 結果は意外。2A付近まで振れたり一瞬10A振り切ったり。基板パターンから判断する限り、秋葉王も秋月同様で入力側には電流検出抵抗らしきものがない。やはり出力側で電流検出しているのだろうが、制限回路の特性が特殊で、反応が遅かったり一度過電流になるとすぐには復活しなかったり。これでは、過電流が緊急事態なら役立つが常時過電流寸前で運用するコンデンサー充電には使えない。
 次に、Hブリッジ通さずコッククロフトをトランス2次出力に直結すればどうなる?
 インバーター周波数をテスターでチェック。およそ20KHzと予想より低い。0.1μFだと一発およそ1ミリジュール。20KHzだと20ワットが上限で、それ以上は流れようないはず。

 それでも今回はまず安全のためコッククロフトに放電器を接続し動作させる。40ミリアンペア定電流負荷だ。
 稼働させると予想を裏切って、一気に大電流が流れてはゼロに戻る。1秒ごとに一瞬大電流が流れ、そのたびに放電器の電流計が一瞬振れる。駄目だコッククロフトの動作は予想外だ。更に予想外だったことに、そのまま秋葉王インバーターは御臨終。
 秋月インバーターの時と同様、トランス駆動FETの一方がショートしていた。これは76132Pという強力品だ。耐圧30Vと低いながら75Aまで流せる。ON抵抗は8.5ミリΩしかない。ラジコンバッテリーではなくATX電源で動かしたのに、75Aまで耐えられるFETが破壊? 

 左図は、2SK3132という1個だけで秋月インバーター並の値段がする化け物FETの安全動作領域である。
 スペックは耐圧500V、50A、250Wととんでもないものを誇るが、500Vでは50Aどころか0.1Aしか流せないことが分かる。耐圧近辺ではスペックより遙かに劣る容量しかないのである。
 400Vで20Aパルス1万分の1秒・・・現実はデューティー50とは限らないので、こんな化け物でもスイッチング電源に使う際は慎重に仕様を決めないといけない。

 FETは条件次第では余りにもあっさり死ぬことが分かる。FET一般こんな調子であり、放電器を作る場合も第一印象より遙かにハイスペックなFETが必要だった。

 くそっ参った。大容量コンデンサーの充電は回路が常時ショートしてるようなものだ。それでちゃんと動かすのは予想以上に難しい。そもそも間歇的に電流が流れていたのはインバーターではなくATX電源の安全機構が働いたからではないのか?
 改造ベースとして調達した3種類のインバーターを結局全部壊してしまい、嫌気がさして来た。このままではいつになったら完成するか分からない。ターゲットを限定してとにかく作っちまおう!

 本来であればレーザー共振器と増幅器を作って幾つか実験し、最終的な害虫駆除レーザー銃を作るつもりだった。
 しかしここは作り易そうな仕様でとにかく1つ完成銃を作ってみよう。具体的にはロングパルスでジュールを稼いだQスイッチ抜きパルスYAG単体である。ベストかどうかは不明だが使い物になる確率は高い。

 コンデンサーは低電圧大容量で放電時間を伸ばし、フラッシュランプにより多くのジュールを与える。330Vのストロボコンデンサーを並列オンリーでいいだろう。これを自作チョッパー昇圧回路で充電する。非効率だが、最大500ジュール程度を想定すれば出力100ワット無くてもいい。15秒程度で充電出来れば実用になる。以前考えたチョッパー回路の出力ワット数を減らし、330V出力専用で作っちまおう。

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