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2010年02月05日の記事

2010年2月5日(金) 21:06

増幅器の基本

 増幅器には考えるべき問題が大量にある。
 まずは原理だが、レーザー媒質にエネルギーを注入し励起状態の原子を蓄積しておく。ここにレーザーを照射すると、誘導放出が発生してどんどんレーザーが強くなる。

 ある光子が、どの程度の範囲の励起原子に誘導放出を起こさせるかという値が、誘導放出断面積である。これが広いほど、急激に誘導放出が雪崩を打って大きくなる。つまり、増幅器としては増幅率が高くなる。

 レーザーというデモ行進の参加者が周囲にもデモを呼びかけると、賛同した連中がデモに加わってデモ隊の人数が増えていく。そんなイメージである
(^_^;)
 従って、最終的なデモ隊の人数を増やすには、条件がある。

1)最初のデモ隊の人数が多い(タネ火レーザー出力)
2)呼びかける声が届く範囲が広い(大きな誘導断面積)
3)参加予備軍の人口密度が高い(励起状態の原子が多い)
4)デモ隊の行進が長く続く(レーザー結晶が長い)

 この際だから原子ではなく分子と呼ぶか?(汗)

 まず1)だが、空冷で追い付かないほどタネ火レーザーの励起用LDをパワーアップするとシステム重量に影響が大きい。従って現状から大きく上げるのは難しく、QCWの3ワットという定格で考えねばならない。この部分は定電流回路の開発により若干の改善を行える。と言うより行わねばならない。

 次に2)だが、これはレーザー結晶の種類によって決まってしまう。Nd:YVO4はNd:YAGに比べると4倍以上の誘導断面積を持ち、遙かに大きな増幅率が期待できる。2本接続というハイリスクを犯してでも採用したくなる。

 3)に関しては、一般人を参加予備軍(励起状態)にするための励起用LD(アジテーター)の照射エネルギー「密度」を高めることで高くなる。単に密度を上げるだけならレンズで集光すればいいのだが、そうすると実質的に4)が短くなるから難しい。励起用LDをQCWにすれば、4)に影響を及ぼすことなく3)を高められる。ただしQCW増幅器はタネ火レーザーもQCW発振の必要があり、両者の周波数は一致させねばならない。

 4)には補足があり、一度通過したデモ隊がまた戻って同じ事をやればデモ隊を更に増やせる。これがマルチパス増幅である。

 

小信号増幅と飽和増幅

 参加予備軍の人口密度は、デモ参加者が増えればその分だけ低下する。予備軍→デモ本隊へと変わった訳だ。
 デモ隊が増えると低下量も大きくなり、デモ隊の膨れあがるペースも低下する。デモ隊が少ないうちは、ほとんど低下しない。
 参加予備軍すなわち励起状態のエネルギーが殆ど変化しないとみなせるような少人数のデモ隊について、どの程度のペースで膨れあがるかを小信号増幅率と呼ぶ。 

 一方でデモ隊の立場からすれば、参加予備軍は根こそぎデモ本隊に参加させたい。予備軍の大半をデモ隊へと巻き込んでしまうような増幅を、飽和増幅と呼ぶ。

 より強力なレーザー発振を目指すなら、もちろん飽和増幅させたい。
 だが、1パス増幅では困難である。少なくとも、タネ火が入射する側ではまだデモ隊が少なく、小信号増幅とならざるを得ない。かと言ってマルチパス増幅は、それはそれで難問を大量に抱えている。

written by higashino [パルス] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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