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2010年03月05日の記事

2010年3月5日(金) 21:04

PPMgSLT MgO:SLT

 PPMgSLT は MgO:SLT と表記されることもある。現時点ではたぶん Nd:KGW よりレアだろう。

 QPM素子は分極反転構造を作る技術がまだ発展途上。高電圧を使用しても短距離しか構造が形成できない。そのため、薄い結晶しか存在しない。
 結晶が薄ければレーザーも細くせねばならず、使えるシーンが限定されている。

 自分の PPMgSLT は厚さ1ミリ。幅2.2ミリで長さ1センチだ。マウント方法が悩ましい。
 一緒に写っているのは、もちろん爪楊枝。
 持ち運ぶ場合は側面を持つように、との指示がある。

 メーカーからは3枚のテストシートが付属していた。
 1枚目は結晶のサイズや平面度・垂直度などの物理的特性。2枚目は反射防止コーティングの特性。そして3枚目はグリーン変換試験。この3枚目を公開してみる。一部ボカシ入ってますが。
 

 あくまでも変換例でしかなく、条件次第で大幅に変換効率が変化すると注釈が付いている。
 一見して分かるのは、変換効率が非常に低いこと。300ミリワット近くも入力してグリーンレーザーは1ミリワットも発生していない。しかしLBOであれば3ワット以上を入力してグリーンレーザーは全く発生しなかった。QCW発振させてようやく1ミリワットぐらい出てきた。

 規格化変換効率は1%強。
 ネット上の資料では変換効率が入力エネルギーの2乗に比例するとされていたのに、この資料では単純比例という前提になっている。つまり、入力1ワットなら変換1%だが10ワットにすれば10%ぐらいになるだろうってこと。
 PPMgSLT のネット上の例を見ると、変換効率は15〜20%で頭打ちになる雰囲気だ。そうなるとグリーン出力10ワットを越えるのは骨が折れそうだ。

 グリーン出力10〜数十ワットというのは、極めて厄介なエアポケットに入ってしまっている。
 クラス3までならKTPで小型凶悪モジュールが世の中に溢れている。
 グリーン1〜数ワットの場合は、導波路型QPMが凄まじい変換効率を発揮している。
 そしてYAG基本波が数百ワット以上の超大出力になれば十分なエネルギー密度を作れるので、LBOが実用になる。

 ところが10〜数十ワットの領域では、低い工作レベルで利用可能っぽい波長変換方法が無い。
 QPMは耐久性が低いが、パルスレーザーに対する耐久性はちゃんと3桁ぐらいアップするようだ。そうなると、QCW発振により変換効率を稼ぐ手法は有効ってことになる。
 QCW発振はタネ火レーザーシステムが別に必要となるため、システム重量が2〜3キロアップしてしまう。だが、それ以上にグリーン出力を稼げるなら意味はある。

 いずれにしろ、LBOを試験したのと同じ条件で試験しないと基本方針を決められない。一番の焦点は、CWで僅かでもグリーンレーザーを発生させられるかどうか。
 そしてCWだと Nd:KGW による1067nm だがQCWでは Nd:YVO4 増幅の 1064nm
と変換前波長が異なるため、位相整合温度が変わる。
 メーカーが試験にチタンサファイアレーザーを使ったのは恐らく、波長可変だから。波長に合わせて結晶温度を変えるのではなく、室温に合わせて波長の方を変えたと踏んでいる。さもないとこんな一般的ではない波長で試験しないだろ。

 1064nm では28℃より若干高温。1067nm は70〜80℃になるかもしれない。60℃を越えるとペルチェでは難しいので、位相整合温度が決まらないと結晶オーブンをどうするかも決められない。

 試験に使われたレンズが焦点距離75ミリと、自分が調達したのと同じなのが面白い。それでビームウエストの太さが約0.04ミリだと、集光ビーム円錐はかなり太めだろう。

 基本波とグリーンの分離にスプリッター2枚を使っているのは、ごく一般的手法であり自分も同じ計画である。赤外線カットフィルターは加熱されるため大出力では使えない。また、グリーン透過率が95%程度しかない。
 これに対し、グリーンを反射する方式なら99%以上を反射出来る。基本波も2%ぐらい反射してしまうが、2回使えばグリーンは98%が残るのに対して基本波はほぼ消えてしまう。45度傾斜を2枚使うことで、ビームの進行方向も元に戻せる。

written by higashino [レーザー] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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