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2016年03月15日の記事

2016年3月15日(火) 22:06

人類の敵ではない

 パターン認識は、コンピューターが苦手とし人間が得意としていた分野である。
 コンピューターで画像を認識させるのにニューロが有効なのは、古くから知られていた。バブルの頃の家電で、やたら「ニューロ」とか「ファジー」が宣伝文句に使われていたことがある。
 ニューロは、人間の脳神経細胞をマネた手法である。学習させて興味深いことをあれこれやらせることが出来るが、実用になるのは3層構造まで。それ以上になると具体的な学習アルゴリズムの実装方法が分からず、実現できなかった。それでは応用範囲が限定され、ニューロのブームはすぐに去ってしまった。

 だが最近になって、4層以上のニューロネットワークを学習させる具体的な実装方法が発明された。
 これにより、再びニューロが脚光を浴びている。深層学習と呼ばれている。

 深層学習により、画像認識で人間を凌駕するかもしれない性能が出るようになった。
 ところで、コンピューターに画像を与える場合、2次元をピクセル単位に分割するのが普通である。ネットに溢れている大量の画像も、ほぼピクセル分割されたものばかりである。
 だとすれば、碁盤を19×19の画像とみなせば、そのまんま画像認識させられるのではないか?

 囲碁をコンピューターで処理しようとすると、パターン認識の実装が相当に重い。重いだけでなく、適切な処理アルゴリズムも難しい。ならば、盤面を画像として放り込み、深層学習させれば?
 AlphaGo は12層のニューロネットワークを持ち、盤面を画像として入力し「良さそうな手」を出力する学習を行った。これが、かなりの効果があると判明した。
 1)における改善が、可能になったのだ。ブレイクスルーである。

 またモンテカルロ法でも、良さそうな手を優先して着手することは効果がある。だから、深層学習は1)と2)の両方で改善に寄与する。

 人間が囲碁で先読みを行う場合、パターン認識だけを使っているのではない。補助的に、いろいろな手法を使っている。だから、パターン認識だけでは人知に及ばない。しかしここで、コンピューターの高速性が使える。
 1)においても2)においても、必ずしも人間を凌駕できていないかもしれないが相当に接近できるようになった。その最後の一押しとして、力ずくによる読みの数の多さで追い付く。

 基本的には、確率だ。
 質の良くない出力でも、数多く集めて統計的に処理すれば、質が向上する。力ずくで数を集めることにより出力品質の向上が、基本的な判断能力の甘さを上回れば、総合的には強くなる。
 しかし確率であるから、失敗や読み抜けの可能性をゼロにすることは不可能である。ゼロにできるのは、全部の場合を虱潰しに調べる旧来の方式だけだ。

 AlphaGo は、膨大な学習により基本的な判断能力を向上させた。膨大な CPU
と GPU を並列動作させ、数を増やすことで出力品質を向上させた。それでも、読み抜けをゼロにはできない。
 人間のプロが遂に、その穴を発見して突いた。そして、勝った。

 5局すべてが終わり、人工知能の歪な強さが明らかになった。やたら強い部分と、どうしようもない部分が共存している。
 機械は故障するものであり、人工知能はミスするものである。そうやって人類は新しい知能と付き合って行くことになるだろう。
 それだけではない。今回仮に人間が AlphaGo の着手を検討し、明らかな破滅手を人間が打ち直していたらどうなったか?
 人工知能の強さと、人間の強さを兼ね備えた、強力な打ち手となっただろう。人工知能は人類の敵ではない。共存することで、人類の知力もまた強化されるのだ。うまく利用することで、人類の未来は、もっと明るくなる。

written by higashino [ネット・PC] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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