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2019年03月04日の記事

2019年3月4日(月) 21:33

導線の太さ

 どうやら、インダクタンスのシミュレートして計算するのは難しそうだ。有料ソフトを使えば、どうということはないのだが。
 結局のところ、インダクタンスは近似式を仮定してコイルガンのシミュレーターを作り、実射結果と合うようにモデルを修正して行く、という手法を採らざるを得ないのではなかろうか。
 鉄芯ありのインダクタンスは、磁界の強さで変化するし周波数でも変化する。当初思っていたよりも遥かに厄介で、とても手に負えない。

 調べれば調べるほど、この世にコイルガンのシミュレーターが存在しない理由を実感できる。ありえないほど複雑だ。それなのに、どうしようもなく実用性がない。
 プロジェクタイルの加速力は、鉄材の磁束飽和で上限が決まる。磁束密度の差は、磁束飽和とゼロの場合が最大値であって、それを上回ることは不可能である。そしてその理論上限の加速で、銃身長を加速し続けた場合の速度が、理論上の最高弾速となる。それは現実的な設計の場合、武器としては役立たずと言わざるを得ない低さだ。
 シミュレーターを作れるほどの研究者にとって、コイルガンなどに時間を潰すのは無駄でしかない。

 桁違いに強力な磁場を発生させることで、磁束飽和したプロジェクタイルを力ずくで更に加速させる・・・ということは不可能なのだ。どんなに力ずくで頑張っても、限界は超えられない。超伝導リニアなどが桁違いの磁場で常伝動リニアを圧倒できるのは、車体側も軌道側も、両方とも空芯コイルであって磁束飽和しないからである。

 ただし、オモチャとして充分な性能を出すことは可能だ。
 エアガンの規制ジュールでは物足りないので、もうちょっとパワフルな合法遊具が欲しい。そういうニーズには合致する。一般向けには、そういうニーズにはスリングライフルを薦めるが、ラジコン搭載用としてならコイルガンの方が扱い易い。

 さて、ここでコイル巻き線に使用する導線の太さについて考えてみたい。同一外形のコイルを製作するにあたり、太い導線と細い導線は、どちらがベターなのだろうか?
 導線の太さは、どのように選択すべきなのか?

 ここで、コイルの断面積あたり電流が一定として、太さが2倍異なる導線の得失について考察する。以下の表に存在する数字は、すべてが相対値である。

導線直径 1 2 太さが2倍違う場合の比較
導線断面積 1 4 導線直径 ^ 2
抵抗値/m 4 1 導線断面積に反比例
巻き数 4 1 導線断面積に反比例
インダクタンス 16 1 巻き数 ^ 2
導線長 4 1
抵抗値合計 16 1 抵抗値/m × 導線長
導線電流 1 4 導線断面積に比例
電圧降下量 4 1 抵抗値合計 × 導線電流
ジュール熱 1 1 電圧降下量 × 導線電流

 太さが変わっても、ジュール熱は変わらない。すなわち、コイルの発熱・無駄に消えるエネルギーは変わらない。
 電流は、太い方が大きくなる。つまり、スイッチング素子の負担が増し、コイル以外の回路におけるジュール熱も増える。
 インダクタンスと電圧降下量は、細い方が大きくなる。つまり、電流が増大し難くなりLC共振周期も長くなり、通電時間が長くなる。 

 よって設計の基本ポリシーとしては、通電時間の想定から始まる。
 通電時間と電源コンデンサーの容量が決まると、それを実現可能なインダクタンスの最大値が分かる。
 そして許されるインダクタンスの範囲内で、最も細い導線を選択する。ただし前述の通り、インダクタンスの計算は一筋縄で出来ない。

 通電時間はプロジェクタイルの速度とコイル長が絡む。高速になっているほど通電時間は短くなければならないし、コイルが長いほど通電時間は長くできる。コイルの長さは重要パラメーターということになるが、適切な長さを判断するにはシミュレーションと実験の裏付けが必要だ。
 コイルを短くしたいなら通電時間も短くなり、インダクタンスを小さくせねばならない。それには太い導線が必要で、大電流を扱うスイッチング素子が制約条件となる。

 電源コンデンサーの容量も設計パラメーターに含まれるため、最適なコイルを実現できてもコンデンサーを増設すると最適ではなくなる。

 超強磁場を磁束濃縮法で作る場合など、爆縮用磁場を発生させる外部コイルは、たった1巻きなのが通例である。これはピーク磁場(=ピーク電流)まで可能な限り短時間で到達せねばならないため、インダクタンスを最小にする必要があるからである。スイッチング素子には究極の大負荷が掛かるので、半導体素子は使用されない。

written by higashino [コイルガン設計] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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