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2012年5月13日(日) 10:09
最近妙にSSY-1を欲しがる人が目立つので、一夜で動画をでっち上げてみた。
単なる小型ローパワーのパスルYAGレーザーヘッドに過ぎず、害虫退治にも使えない。無理して入手するようなものではない。
いやいや、動画ぐらいのパワーで十分だから欲しい。中にはそう感じる人がいるかもしれませんが、動画では無理して過剰なジュールを投入しています。だから、数十発の発光でフラッシュ管が破損してしまった。レーザーポインターに対して無理な出力アップ改造をするとLDが死にますが、同様にフラッシュ管が死んでしまう。
しょせんはレンジファインダー。ターゲットにダメージを与える目的には不適です。
フラッシュ管やレーザーミラーやYAGロッドを単独で入手し、組み立てるのが遥かにお勧め。
SSY-1は米軍放出品であり、輸出が制限されている。そのため、機能性能に比べて入手の難易度が極端に高い。つまり、努力に見合わない。
汎用パーツを使えば、努力の割に遥かに強力なパルスレーザーが得られる。汎用パーツもそれなりに入手は面倒なものの、SSY-1ほどではない。
自分が手持ちのSSY-1を売らないのは、これがレアものブランド化しているため。在庫して邪魔にならない小ささなので、不用だけど取り合えずキープしておくか、と。入手はどんどん難しくなってるわけで。
SSY-1に関する質問はコメント欄で受け付けます。ただし、入手方法はお答えできません。
自分は極めて危険な工作の情報を公開しています。悪用を防ぐため、パーツの入手方法は非公開とする方針です。入手方法を公開しているのは、大して危険性のないパーツか、あちこちに入手方法が公開されていて今更伏せても仕方ないものです。
written by higashino [パルスレーザー] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
2010年2月13日(土) 15:53
タネ火YAGをまずはCW発振させてみる。しかし、全くグリーンレーザーが発生しない。
今度はQCW発振に切り替える。すると、ちゃんとグリーンレーザーが出た。しかし、余りにも暗い。計測するまでもなく1ミリワットぐらいだと分かる。
タネ火YAGの励起用LDのスイッチを入れると、一瞬綺麗な緑の三日月が現れてすぐ3つに分かれる。パワーが弱いだけでなくTEM02になっちまってる。
三日月なのは明らかに光軸がズレているから。
試しに出力側でパワーメーターを使うと、レーザーの3分の2ぐらいしか透過して来ていない。
しかし逆に言えば、3分の2は透過しているのにこんな弱いグリーンしか発生していないってことだ。これでは光軸を合わせても余り期待出来ないが、三日月で結果をうんぬんする訳にも行かない。
光軸合わせは、発生したグリーンのパターンを確認しつつビームエキスパンダーの調整で行った。
結晶オーブンの温度は、もちろん変化させてチェックしている。許容温度幅は2〜3℃あるため、最適温度を外れているから変換効率が3桁も低い・・・などという罠はない。
一瞬綺麗なTEM00の強いビームが現れるが、するに変形してTEM01になる。その後いったん暗くなり、再度少し明るくなって安定する。
だが、少し明るくはなっても当初に比べるとかなり暗い。
明るさの変化はタネ火YAGの励起用LDの出力変化である程度の説明は出来るが、TEM00でなくなる理由は分からない。タネ火YAGはメーカー製ヘッドであり、いきなり発振モードが不安定になるとは考え難い。
ただ、いずれにしろ照射直後の明るい状態でさえ、光出力は数ミリワットでしかない。計測などするまでもなく、改造した共立モジュールより遙かに暗いのは明白だ。YAG基本波で3ワットも叩き込んでいるのに!
試しにビームエキスパンダーを外すと、QCW発振でも全くグリーンが出なくなった。入射ビームが細くなったことでレンズで絞り切れず、焦点のエネルギー密度が1桁低下したせいだろう。つまり、グリーンレーザーが発生する下限ギリギリなので変換効率が異様に低いのだと思われる。
実際、LBOの破壊限界は太陽光線の1兆倍ぐらいだ。1億倍ではショボい緑しか発生せず、1000億倍ぐらいまでエネルギーを集中させてようやく数十%の変換効率になるということだろう。
だが、ここから更にエネルギー密度を3桁上げる方法など、思い付かない。
蛍光寿命の関係から、QCWのピークエネルギーを更に上げるのは難しい。周波数を落として2〜3倍には出来るかもしれないが変換効率と引き替えに平均出力は低下する。
YAG基本波を20倍ぐらいに出来るかも知れない。だがQCWでなければ意味がないので、自前共振器ではなく1パスの増幅器がそれだけの働きをしてくれるという相当に虫の良い皮算用が前提だ。
それらを組み合わせ、細かな改良をすることでエネルギー密度を100倍に出来る可能性はある。だが、あくまで運が向きまくった場合の話。
集光スポットに関しては、これ以上小さくしようとするとビーム円錐の角度が大きくなり、許容角をはみ出してしまう。周辺のビームが波長変換されなくなる。ビームウエスト近辺では平行光線に近くなるが、それは非常に短い部分なのでLBOの長さが全くの無意味と化す。
実行するとしても結晶オーブンの断熱材の厚みなどもあり、焦点距離25ミリのレンズが限界だろう。ただし、ビームウエスト近辺でのエネルギー密度は1桁近く上げられる。
ネット上のグリーンレーザーを見ていると、そこまで苦労しなくてもあっさりと1割以上の変換効率を得ているように見える。一体どんな魔法を使っているんだ?
針の穴に糸を通すような効率アップの可能性が見えるものの、余りに分の悪い賭である。
written by higashino [パルスレーザー] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(3)] [TB(0)]
2010年2月12日(金) 21:00
自前共振器か、このまま増幅器を試すか。決断の重要要素が、SHG変換効率である。
以下は、order レベルでの話をする。すなわち、有効数字1桁ってことです。円と正方形の面積差など誤算の範囲内です。
また、レーザーの強さは平方センチあたりのワット数で表現するのが普通ですが、ここではあえて太陽光線の何倍と表現してみます。論文じゃないし読者は一般人を想定してる訳で。
太陽光線は1平方メートルあたり1キロワットぐらい。つまり、1ミリ四方に1ミリワット。レーザーポインター並。
タネ火YAGは、理論上は0.1ミリ以下に絞れているはずだけど、球面収差とかあるしビーム品質も究極ではない。そこで、0.1〜0.2ミリのスポットになると考えれば、そこに3ワット。0.1ミリ四方に1ワット程度となります。つまり、1ミリ四方なら100ワット。
太陽光線の10万倍の光強度です。
QCW発振させると、平均出力は2割近くダウンする一方で2000分の1の時間軸にエネルギーが押し込められる。そのため、ワット数は1000倍以上になります。
太陽光線の1億倍ぐらいです。
LBO結晶に太陽光線の10万倍の強度の光を撃ち込んだら、どの程度の波長変換効率になるか?
1億倍なら、どうか?
これから行うのは、そういう実験ってことです。
調整台のバネとしてOリングを利用する訳だが、数年前のレーザー製作で使ったものを流用しようとしたら劣化してヒビ割れまくっていて役に立たなかった。
そこで仕方なく、高価だがシリコン製のOリングを採用。2つ重ねている。また、ネジは六角レンチを使うタイプでないと作業空間を取れずハマる可能性がある。
完全ではないが光路は密閉される。
集光レンズより手前はオープンだが、これは最終的な組み立て時にパイプをあてがって密閉の予定。
今後のパーツ構成に不確定要素が多過ぎるため、まだ細部を作れない。
written by higashino [パルスレーザー] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
2010年2月10日(水) 21:51
外径25ミリ、内径10ミリのワッッシャーに換装し、いい感じにレンズが固定出来た。
さて、こいつがレーザーをどの位置に集光させるかだが、増幅器が無い場合ははっきりしている。問題は、増幅器に大量のエネルギーを注入した場合である。
それを考えていて、とんでもない事実に気が付いた。余りにも衝撃的なので、改めて明日説明するつもりだ。レーザー銃の製作計画が根本からひっくり返りかねない水爆級の事実である。
ビームエキスパンダーとの間合いは、余分に取ってある。
増幅器をセットしてもなお10センチ近くの空間がある。ここには、ガングリップを取り付ける。それだけではない。増幅器の熱レンズにより、焦点位置が移動してしまう。合成焦点の移動量は、間合いが開いているほど小さくなる。
しかし余りに間合いを開けるのもデメリットあるので、グリップを取り付けるのに必要なギリギリの空間だけを確保することにした。
ここでレーザーを発振させ、焦点の位置を確認。ド真ん中よりも1ミリほど左下に集光している。ビームエキスパンダーも今回のレンズも全く位置の調整やってないから、誤差1ミリなら想定内だ。
本番組み立てでは当然ながら調整機能をフル動員して光軸合わせをするが、今は仮組みである。1ミリずれてても試験は出来るので、このまま先に進む。
波長変換試験に備え、いよいよ本番用のLBO結晶を取り出す。3×3×15ミリ。運用温度148〜149℃。
結晶には・マークが付いている。
結晶は設置角度の調整を要するが、波長変換への影響が大きな回転軸と小さな回転軸がある。・マークが付いた面と垂直な回転軸の影響が大きい。
従って、この軸の微調整が行い易くなるような向きで、調整装置に取り付けねばならない。
今回は角度ではなく温度でチューニングする非臨界位相整合なので、余り神経質になる必要はない。
極めて単純な制御で結晶オーブンが安定化した事実は大きい。と言うのは、同様の制御は定電流回路にも応用可能である。
定電流回路においては、シャント抵抗に電流を流して両側の電位差を計測することで電流値を測定する。その電流値に対してフィードバックを掛けるが、回路に使用する素子の遅延やコンデンサー容量により電圧入力と出力電流に時間差が生じる。結晶オーブンの熱容量により温度変化に慣性が生じるのと同様だ。その影響をキャンセルするのに、同様の単純処理が効果的だと予想出来る。
特にレーザーダイオードのように負荷変動が小さいターゲットの場合、コンデンサー容量を増やすことで出力を簡単に安定化させられる。ところがコンデンサー容量が増えるほど、フィードバックの反応遅延が増大する。そこにオペアンプを利用した一般的な定電流回路を使うと、なかなか安定しないと危惧される。
どうやら定電流回路もPICの出番だ。
written by higashino [パルスレーザー] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
2010年2月9日(火) 21:25
レンズを2枚のOリングでサンドイッチし、大型ワッシャーで押さえ付ける。
しかし、どうやら採用したワッシャーは失敗だったようだ。中央の穴は5ミリ用だが、小さ過ぎる。レーザーの太さは3ミリだが熱レンズ効果で拡散して来るし、ワッシャーのアソビが予想外に大きい。5ミリではレーザーを遮る可能性がかなり高い。
内径10ミリのワッシャーもあったが厚いので避けた。しかしレンズ抑え用水道管が長過ぎて結局切断したので、ワッシャーが少々厚くてももう問題ではない。
これは買い直して来なくては。
PICは演算能力が低いし、A/D変換の分解能も悪い。そのため、複雑な計算に基づいた制御が出来ない。
だが、単純な処理で結晶オーブンの安定性を大幅にアップさせることに成功★
6〜7秒ほど過去の温度計測値と現在の計測値を元にして、将来の温度を線形予測。現在温度を2倍して過去温度を引く、といえば分かるだろう。
たったこれだけの安直な単純予想値を算出し、その予想値に対してフィードバック制御を行うのである。
ここで言う温度とは摂氏ではなく、ナマのA/D変換値である。
完全安定までは10分ほど掛かるのに変わりないが、そこに至るまでの温度振動が大幅に減少。予想通り「ダンパー」として強力な効果を発揮している。
また、ターゲット値を1単位変化させた場合も温度振動が大きくなることはなく、スムーズに追従する。本来なら何秒過去の値を利用するのがベストであるか調べるべきだが、温度変化の自動記録機能がないため非常に手間を要する。現状で十分に実用的なので、このまま採用することにした。
written by higashino [パルスレーザー] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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