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2006年10月の記事

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2006年10月31日(火) 17:12

ストロボ用ダイオード

 赤外線LEDとフォトトランジスターは、どちらも直径5ミリの砲弾型である。光ファイバーを接続するアダプターはどちらも同じ形状で作れる。市販品はサイズと価格の両面で論外だ。
 しかし、金属パイプを切っての加工は面倒。パイプを切るとバリが出て内径が狭くなる。それを削って整える手間は想像以上である。

 しかも電源問題に気付く。
 IGBTをONにし続ける期間は数百マイクロ秒である。ON←→OFFのスイッチングは数マイクロ秒で完了させねばならない。この遅延は、赤外線LEDの反応時間、フォトトランジスターのスイッチング時間、ブースタートランジスターの反応時間、IGBTゲート充電時間、そしてIGBT自体の反応時間・・・と数々のディレイが積み上げられる。
 だから、各部分のディレイは1マイクロ秒のオーダーに収めねばならない。

 IGBTゲートを急速チャージする場合、数百ミリアンペアを流す。しかし、6Vの電源から100万分の1秒以内にそれだけの電流を流すのは難しいのではないか?
 100万分の1秒掛かって数百ミリアンペアでは困る。遙かに短い時間で定格電流に達し、それから100万分の1秒間流れ続ける、という感じでなければならない。何より、電圧降下しては困る。電解は論外としてOSコンでも苦しく、積層セラコン使うのが確実ではないか?

 4パラで使ってもIGBTのゲート容量は0.02μFに達しない。だから、秋月などで安売りしている25V10μFの積層セラコンで充分だろう。実質容量の低下を考慮しても足りると思われるし、サイズも100μFのOSコンより小さくて済む。

 むしろ赤外線LED側が問題だ。
 IGBTのゲート側は一瞬でチャージされた後は数ミリアンペアしか消費しない。逆バイアス抵抗の分である。それに対し、発光するLED側は数百マイクロ秒間ずっと光り続けねばならない。数十ミリアンペアではあるが期間が遙かに長いため、それだけ消費電力も多い。
 LEDを鋭く最大輝度に立ち上げねばならないため、やはり超低インピーダンスな電源でないといけない。これは積層セラコンをズラリと並べたコンデンサーバンクを用意せねばならないかもしれない。

 別にそれほどのリソース的負荷ではないので、用意してしまえば良いのだが。

ストロボ用ダイオード

 ところで、ストロボ用電解コンデンサーがあってストロボ用IGBTがあるのなら、ストロボ用ダイオードなんてのも無いのか?
 これは素朴な疑問である。コイルガンではパルス大電流耐性が重要であり、そこに特化したパーツを使用することでサイズ重量コストを大幅に節約可能となる。コイルガン専用素子など製造されていないが、ストロボ用があればほぼ適合する。
 ストロボ用のキセノンフラッシュ管はスイッチング素子を必要とせずダイオードも必要としない。ところが、トリガーパルス任せにするのではなくIGBTでスイッチングするフラッシュ回路も結構ポピューラーらしいのだ。そして、調べるとストロボ用ダイオードも東芝や松下などが作っている。

 パルス波形にはLCタイプとCRタイプがある。
 LCタイプは正弦波だがCRタイプは最初がピークで後は急速に下がって行く。例えば↓はフライホイールダイオードの電流シミュレーション波形である。初期にピークとなりダラダラと低下して行く。400μ秒でIGBTがOFFになりブレーキングダイオードに電流が切り替わるとしたために一気にゼロになっているが、切り替わらなければほぼCRタイプである。
 ストロボ用と称するダイオードは、このような電流波形に対応している。

 試しに東芝のCMC02が入手出来ないか調べている。入手したばかりのストロボ用IGBT同様に、パルス定格150Aとなっている。ただ、IGBTには注釈が無いのに対しダイオードの方は3秒間隔で寿命7000回と想定されている。だが、何しろ小さいチップ型なので、4パラではなく8パラ位で使えば充分に実用的ではないだろうか?

 ↓こっちはコイル電流(赤)とブレーキングユニットのダイオード(青)の電流波形。170μ秒の時点でIGBTがOFFになることで、ダイオードに一気にピーク電流が流れてその後は当たり前だが赤と重なって青は見えない。
 緑はお馴染みサージ電圧。シミュレーションは試作コイルのデータを使用した。机上では充分に定格に収まっている。
 こっちもダイオードはCRタイプの電流波形であり、CMC02を8パラに出来れば小型に仕上がりそうである。

 ただ、充分に定格に余裕を持たせたとしても、パーツの個数はトータルで非常に多い。実用コイルガンを完成させたとしても、それなりの頻度で故障パーツが出るのは避けられないだろう。
 診断装置の開発や故障部分を容易に交換可能とする配慮など、「実用」ならではの課題も積み上がる(まあ研究用でも重要ではあろう)。

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2006年10月30日(月) 17:39

良くある話(汗)

 エアガンを楽しんでいた頃、やはり魅力は遠距離射撃。20メートル30メートル先にヒットさせるのが醍醐味だったのである。どんなにパワーがあってもちょっと離れると当たらないエアガンは全く楽しめない。至近距離でスチール缶を撃ち抜けたとしても、だから何?である。
 これが研究となればもちろん別で、どれだけパワーが出せるか効率は何%か・・・は重要な問題ではある。

 遠射は最低でも20メートル。出来れば30メートル以上が楽しい。しかし30メートル先を狙うには山なり弾道であったとしても、それなりの初速が必要となる。極端な話、30メートル先に届かない初速では話にならない。パワー第一でなくても、楽しむためには最低限必要な初速ってものがある。
 それがパチンコ玉で実現可能なのか?実はその点が最も不安である。開発中にドジ踏んでトランジスターが焼けたとしても、コイルガンは完成に持ち込めるだろう。だけど、性能が出せるかどうかは分からない。

 2つのトランジスターを密着させず足結合。
 このシンプルな状態で6V電源を接続する。右側の足に6Vを、左側の足にGNDだ。これだけでトランジスターが異常発熱した。やはりおかしい。
 ベースが宙に浮いていて全く電流が流れないのに、どうしてコレクターとエミッターの間に電流が流れるんだ?

 はい、その通りです。+と−が逆でした(大汗)
 左側はNPNトランジスター。右側はPNPトランジスターである。Hブリッジのイメージからついうっかり、NPNをローサイドにPNPをハイサイドに接続してしまう。
 机上でチェックしても、無意識の思い込みがあると当人には気付けない。ヒューマンエラー発生の典型的パターンだな。ブースターの場合は、NPNを+側に接続。PNPをGND側に接続するのが正しい。写真では左側に6Vだ。これで、秋月インバーターを接続しただけでは電流が流れないことを確認。幸いトランジスターは壊れていないようだ。

 コイルユニットが1つだけの場合は、誘導サージがそれほど深刻ではない。ギチギチに実装するのではなく少し配線に余裕を持たせて組み直す。
 ゲートドライブとなるエミッターに電圧計を接続し、OSコンデンサーには秋月6V出力を接続。

 フォトトランジスターに赤レーザーポインターを照射すると、電圧計の針が振れた。5ボルト半まで出ている。秋月インバーターは正確には6.25Vになっている。電圧降下は想定の範囲内。
 IGBTゲートは4〜6Vでドライブせねばならない。バッチリだ★ちゃんと動いてるじゃないの。

 ただ、考えてみるとOSコンではなくフィルムやセラミックなどの高周波特性に優れたコンデンサーを使うべきだ。マイクロ秒オーダーで一気に電流を供給したいのだから、OSコンでは苦しいだろう。電圧10V以下ならば10μF以上の容量でもそう大きくならないはず。

 続く問題は、レーザーポインターではなく赤外線LEDをそれも光ファイバー経由で照射した場合に、電圧が上がってくれるかどうかだ。
 上がるとして、どの程度なら光軸ズレ等があっても大丈夫か。組み立て上のマージンを確認せねばならない。

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2006年10月29日(日) 18:17

いきなり詰まる

 サイリスターが最初からいきなり壊れていたのに懲りたので、今度は慎重に段階を踏んで動作確認することに。

 まずはIGBT保護ダイオードを装着。こうして見ると31DF4は巨大だ。決してでかいパーツではないのだが、他がコンパクトなのに。
 IGBTが4つともしっかりハンダ付けされているか、導通をチェックする。

 OSコンデンサーには6.8Vのツェナを保護に入れる。IGBTのゲートにはトランジスターによる降下後の電圧が加わるので、これで大丈夫なはず。

 準備が出来たところで、OSコンに秋月インバーター6Vを接続。フォトトランジスターにはロクに光が当たっておらず殆ど電流が流れない状況にしてある。インバーターに電力を供給するATX電源のスイッチを入れる。
 ところが、OSコン両端の電位差が6Vにならない。1V半ほどしかなくそれも安定しない。どうなってんだ?と思ったところに異臭。慌ててATX電源を切る。

 ブースト用トランジスターが焼けそうに熱い。なぜだ?
 フォトトランジスターに電流が流れなければ、ブースターに大電流が流れる訳ないのだが?
 何てこった。光スイッチという単位でも駄目で、更に細かく試験重ねないと駄目なのか。ブースターの動作確認し、フォトトランジスターを追加してON動作を確認し、抵抗を追加してOFF動作を確認し、やっとおもむろにIGBTと接続して光スイッチとして動作確認し・・・

 間違っていないはずだがデーターシートを調べ、足の接続を勘違いしていなかったか確認する。とにかく、机上でチェックしてもどこも間違っていない。これはマジでトランジスター2つ組み合わせた段階から順番に動作チェックするしかない。

 先は長い。しかし、レーザー砲みたいに二進も三進も行かなくなるボスキャラは多分居ないだろう。居るとすれば、どう頑張っても余りにも弾速が出ないという性能の問題だけだ。正直なところ、見た目ささやかなコイルが1つだけで、パチンコ玉を秒速10メートル程度まで加速出来そうな気がしない。
 幾らパワー第一ではないと言っても限度がある。弾速が遅過ぎては楽しめない。

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2006年10月28日(土) 17:39

IGBT登場

 まるで映画フィルムか何かのような謎の物体。今回のコイルガンで主役を張るIGBTだ。

 黒共立モジュール改の電源に使っている三端子レギュレーターと同じパッケージに収まっている。それも短足タイプ。

 ゲートに51Ωの抵抗を取り付ける。
 ドレインとソースはコイルと同じ0.8ミリのエナメル線を流用。ドレインは放熱版と共通なので、放熱版の方に取り付ける。そもそもソレを前提に中央の足は元々カットされている状態。

 4つ組み立てる。

 昨日製作したゲートドライバーをゲート抵抗に接続。

 IGBTゲートのドライブに関係する配線はとにかく徹底的に短くする。

 600AのON・OFFが可能な光スイッチが、このサイズです★かなり頑張っていると思う。まだ31DF4とツェナを付けてないけど。

 最終的には40セットとか使用するので、各ユニットがこのレベルのサイズ・重量に収まらないと話にならない。

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2006年10月27日(金) 17:42

ゲートドライバー組み立て

 調べると、サイリスターのゲートとカソードが導通していた。カソードはGNDなので、ゲートが常時GNDになっていて絶対にONにならない。いつ壊れたんだ?
 いや、「壊れていた」のか「壊れた」のか「壊した」のかも分からない。
 このサイリスターは1個しか買っていないし、どうせIGBTがすぐ来るので修理は行わず、光ゲートドライバーを組むことにした。

 スイッチング信号を普通の銅線ではなく光ファイバーで送るのは、言うまでもなく誘導サージ対策だ。コイルにパルス電流を流せばほぼ必然である。
 となれば、配線を極限まで短くしなければ意味がない。

 ハイサイド、ローサイドの両トランジスターをピタリとくっつけて、足を最短接続。これに、フォトトランジスターと逆バイアス抵抗も物理的にギリギリの状態で取り付ける。
 写真下側でクロスしているエミッター足が、IGBTのゲートをドライブする。抵抗も接続している右側の端子がGNDに接続される。左側が6V電源側となる。

 OSコンデンサーを取り付ける。レーザー銃改め現・熱線銃の電源用に大量購入したものがピッタリなので使用。10V100μFである。実はこのコンデンサーに6Vを供給する方法が問題なのだ。銅線引き回して充電すれば、その銅線で誘導サージが発生してしまう。
 だが、これこそバリスターかツェナダイオードでOKかもしれない。

 ブレーキングユニットにバリスターが使えないのは、コイル由来のサージのため大電流必至だからである。
 バリスターの寿命はサージ電圧ではなく、バリスターを流れる電流の大きさで決まる。誘導サージでは電流が小さいため、バリスターが消耗しない。
 使い捨てなバリスターだが、1000A単位に数回耐えられるものを1A2A以下で使えば、半永久的な寿命がある。6V充電用配線を伝うサージをバリスターやツェナでカットした上で、コンデンサーの平滑効果に期待したい。IGBTのゲート電圧オーバー予防も考えると、ツェナの方が適しているように思える。

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