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2007年5月31日(木) 18:28
アブない実験を楽しむなら数学や理科の知識もまあ直接役に立つが、実際に生活する上では殆ど役に立たない。少なくとも直接には。微分積分なんて出来なくても買い物に困らない。だから、「勉強しても結局は役に立たないだろ」と理系を避ける風潮がある(どんな科目でも風潮はあるが)。
しかしそれは違う。理系科目の価値は知識を直接に活かすことよりも、論理的思考の訓練にある。理科でも特に物理。そして数学。これらは、勉強した内容を忘れてしまっても勉強したという行為自体が将来の財産となる。
何かトラブルが発生した場合に、論理を組み立てて原因を推理することが出来るか?解決策の候補を挙げられるか?
それらは理系科目による過去の「訓練」によって築かれる能力である。この能力が無いと、失敗した際に改良という行為が出来ず、「失敗は成功の母」とならない。
コイルガンを作るような趣味の世界のみならず、実生活を送る上でも非常に重要な話である。今の時代、大抵の知識なんてググれば簡単に手に入る。知らなければ調べれば良いのだ。しかし論理的思考能力はそう容易には手に入らない。インターネット時代であっても、いや知識の不足を容易に補えるインターネット時代であればこそ、理系科目をサボってると決定的にハンデとなる。
しかし、面白くもない勉強をするのは辛い。コイルガンなどヤバめの実験は眉をひそめられがちだが、楽しみながら理系の勉強が出来るという点で極めて有用だ。
さて、コイル再建に取り掛かる。
まずは1段目の5ミリコイルから。エポキシ接着防止のポリエチレン板を切り出し、砲尾用ポリカーボネイトワッシャーを切り出す。1段目の場合は更にピアノ線スリットを作る冶具も切り出さねばならない。
いざコイルを巻く前の作業が非常に多い。
以前使っていたSUS長ネジはコイルが引き抜けずゴミと化したので、新しく買って来た。
1段目は0.35ミリのエナメル線をいい具合にほぼジャスト5メートル消費。
ピアノ線用スリットを作る冶具は、前回より少し厚いポリエチレンを採用。
このコイルは1〜3段目までを一体成形する予定だが、それが完成した段階でまずは3段式コイルガンとして実験を開始したい。使用パーツの動作確認という意味もある。
1〜3段目まではコイル幅が違うため、これまたどっちが銃口側であるか迷う心配は無い。
1段目コイルが半硬化状態で2段目コイルを巻く。0.5ミリのエナメル線を9メートル使用し、12ミリ強の幅である。
1段目のピアノ線スリット冶具は、一度引き抜いてから刺し直してある。2段目を巻いた圧力でスリットが狭まるのを防ぐ。
コイルガン10を始動させるまでにやるべき雑事は多い。特にコンデンサー充電器の製作。多段式では厳密な制御が必要であり、それなのに初期条件がバラついてはやりにくい。
つまり、コンデンサーの電圧も安定していて欲しい。そうなると強力だが電圧変動の大きな初期の充電器ではなく、ストームタイガー用に製作したような外付けOPアンプを採用した充電器を作りたい。能力は20ワット級必要だ。
コイルガン10は実験後に全長30センチ以内の大型拳銃タイプにまとめたい。それを睨みつつ充電器を作るとなれば、電源は8.4Vの電動ガンミニバッテリーとなる。また、Sタンク等ラジコン戦車への発展も考えると、7.2Vラジコンバッテリーでも動作可能としたい。システム規模を大きくしないため、2本ではなく1本で動かしたい。
バッテリーの電圧変化も考えると、充電器の電源電圧は7.2〜9.6Vあたりで動作出来ればOKだろう。
ニッケル水素4本のように電圧が低過ぎてFETドライブ電源を別に用意せねばならないという問題が無い。だから構造はストームタイガー用より単純になるだろう。
written by higashino [コイルガン] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
2007年5月30日(水) 17:21
前面L字と右側面三角をハンダ付けしただけの段階で、他のパーツをテープ仮止めして主砲をセットしてみる。主砲の尻が干渉しないか?防盾や戦闘室を取り付けると砲身がちゃんとフルに上下可能か?いろいろ確認せねばならない。
ハンダ付けした後で修正するのでは面倒だ。
尻が床板に干渉しないためには、床板を側面板の下に重ねねばならない。その1ミリが大違い。ギリギリで戦闘室の取り付けは可能。
発覚した問題は、床板にハンダ付けされた2つのナットである。これは、砲架全体を車体に接着する場合の強度を高めるため短いネジを立てる意図がある。ところが、ナットに砲の尻がぶつかって充分な仰角を与えられない。
ナットは外すことにした。ハンダを追加投入してたっぷり暖めるとナットごと流れ落ちた。
砲の尻はうまく床板の上に入り込み、実物通り85度近くまで仰角が可能となった。ただし防盾との干渉には注意。恐らく防盾を少し削らねばならないだろう。
今度はコイル配線が干渉するので、左側面板も少し削った。しかしL字金具による強化で、全く不安は感じない。
パチンコ玉は最悪少しコイル内に押し込まれれば床と干渉しない。それではパワーダウンになるが、仰角80度とかでは余り気にする必要もないだろう。最後はパチンコ玉検出マイクロスイッチが床にぶつかって仰角の限界となりそうだ。
床というのは旧ナット穴が2つ見えている床板のことではない。車体側の話である。
形状の精度という点では若干問題あるものの、実用上は全く問題にならないと思われる。
ハンダ付けにより組み立てたSUSは素晴らしく頑丈なだけでなく、意外に組み立て易い。切り出しが大変だが、SUSによるフルスクラッチは思いがけないほど現実的だと気付く。
フルスクラッチでSタンクを作るに際しても、車体に1ミリ厚ステンレスを使うのが良いかもしれない。加工の苦労さえ乗り切れば、最高の品が完成するだろう。
砲本体は両側からネジ止めなので、防盾を装着する前であれば自由に取り外せる。これで完成ではなく砲身上下サーボと接続するための「何か」を砲本体に取り付けねばならないのだが、作業手順に注意することで特に問題無く進行させられそうだ。
防盾&戦闘室と何度も仮組みして空間の確認を行っている。ギリギリで空間が足りるか少し削れば何とかなりそうな綱渡りが成功しそう。
written by higashino [コイルガン戦車1/35] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
2007年5月29日(火) 21:37
仮組みを繰り返して砲耳穴の位置を決める。決めたら腹をくくって開けるしかない。後の現物合わせで修正し切れないほど悪い位置に開けてしまったら、大変な苦労をして切り出したSUS製パーツがゴミとなるが、手作り製品は常にそんなリスクと背中合わせなのだ。
板厚の関係から左右の側面三角板は穴の位置が違う。底面板には車体に接着する際の強度を高める目的で、ネジ取り付け穴を作成。
右の側面板にナットをハンダ付けするが、苦労した。位置が合うようにネジともう1つのナットで固定したら、ハンダが流れて一緒にくっついてしまった。こんな時にハンダ付け不能なアルミ製のネジやナットがあると冶具として便利なのだが、柔らかなアルミでは冶具以外には使い物にならないだろうから売っていない。
外径2.6ミリのアルミパイプで何とか使える冶具を製作。厳密な位置合わせは無理だ。
ちゃんと3ミリネジが通るようナットの取り付け成功。
冶具を押さえるのに裏からガムテープ止めしても燃えはしない。SUSのハンダ付けは意外に簡単だ。
いよいよ板同士のハンダ付け。面を合わせるためアルミ板の台で作業する。すんなりくっついた。もちろん土台のアルミ板は感動的なまでに全くくっつかない。エポキシがくっつかないガムテープやポリエチレンであっても、ある程度の粘着力は発揮される。場合によっては剥離が厄介になる。しかしアルミはハンダでは僅かな粘着力も発揮されない。
冶具や土台は何の抵抗も無くスルッと分離出来る。
written by higashino [コイルガン戦車1/35] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
2007年5月28日(月) 17:10
砲架製作のため、厚さ1ミリのステンレス板から切り出した。本日はこれにて終了!と済ませたくなるほど大変な作業である。
SUSは加工に苦労する。これだけのものを切り出すのは・・・
三角の板は側面用だが、左側面用は一部が切り取られている。コイル配線と干渉するのを避けるためである。それに伴う強度低下を防ぐため、L字型の板がある。
各パーツの厳密な寸法は例によって現物合わせ。板同士をハンダ付け合体させる時に調整する。果たして調整出来るのか?
たった1ミリの厚さでも無視出来ない。2つの板を組み合わせる場合、重ね方によって寸法が1ミリ変化する。どのような重ね方がベストか?それを決定せねばならない。
オリジナルのタミヤ製に付いている砲耳は邪魔になる。切り取った方が良さそうだ。
また、前面装甲部分に段差が出来ると防盾とフィットしなくなる。右側面用は写真のようなL字板の後ろではなく、横にくっつけるべきだ。その1ミリが大違い。
2つの板の重ね具合が変わると位置も1ミリ動く。すると、砲耳用の穴を開けるべき位置も1ミリ動く。仮組みを繰り返して決定版を決めないと、砲耳穴を開けられない。
written by higashino [コイルガン戦車1/35] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
2007年5月27日(日) 14:58
邪魔な尻尾を切り落としたら、IGBT本体の逆極性保護ダイオードを取り付ける。
ゲート保護ツェナの足で端子を抱え込むように固定する。
これもアルミ製ミニバイスで固定し、放熱を確保しつつハンダ付け。たっぷりハンダを乗せる。
終わったら反対に固定し、ダイオードの逆側をハンダ付けせねばならない。
しかしダイオード1個取り付けるだけと言ってしまえばそれだけの話。どうってことはない。ところが、同じ作業を14回繰り返すのだと考えたとたん、嫌気がさす。
製作がなかなか進まないが、使える時間が僅かなのだから仕方ない。自分はどこかの研究所で実験しているのではない。余暇の中から時間を確保して趣味で実験しているのだ。
1日24時間の中で、小さなカケラほどしか実験に時間を使えない。やりたいことは余りに多く、使える時間は余りに少ない。
written by higashino [コイルガン] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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