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2008年11月30日(日) 20:52
凸レンズ本番を調整で投入できないのは残念だが、ホッとした部分もある。とにかく取り付けに神経を磨り減らすのだ。絶対に傷つけてはいけないため、付けたり外したりは1回でも少なくしたい。再注文は可能だから傷付けても別に死ぬ訳ではない。しかし金銭的にも精神的にも大ダメージになる。特に、レーザー製作のモチベーションが下がっている現状においては。
共振さえすれば一気に気分が盛り上がるのだが、長年苦労して来て非常に懐疑的になってしまっている。外部共振器によるCW発振というのはプロは古くからやっているが、だから簡単というものではない。
キャビティーを台から降ろして慎重に凸レンズを外し、箱に収める。ピンホールをセットし、キャビティー台を元通りに置く。秋月グリーンレーザーを照射すると、ピタリと元通りにビームが貫通した。ピンホールでも、短時間で一気に処理すれば0.1ミリまでは追い込めそうだ。秋月グリーンレーザーの安定性の方が問題なのかもしれない。かなりビーム品質は良いものの、製品として売られているDPSSでさえビーム照射向きの不変度はカタログスペックの1つに存在する。
この廉価DPSSが、日によって0.1ミリラジアン以下で照射向きがズレてもおかしくない。
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2008年11月29日(土) 18:05
調整作業を数日遅らせたのは、準備を完全に整えておきたかったからだ。
現在の調整装置はかなり安定しているが、それでも温度変化などの影響か調整用レーザーの反射光は0.1ミリラジアン単位で移動する。できるだけ短時間で一気に調整を追い込みたいのだ。
追い込んでもそれで完了ではない。まずは0.4ミリの芯紙で応急調整しているスペーサーの代わりに、正確にはどれだけの厚さの金属薄板を挟めば良いかを確定させねばらなない。その薄板を取り付けるにあたっては一度アルミアングルを外すことになろうし、その後更にパーツ位置を追い込まねばならない。
そこでまた調整用の秋月グリーンレーザーが正確に反射して来るか確認する必要も出てくる。要は正式な凸レンズをハメても、一度は外さねばならないってことだ。何度もレンズを外したくないし、外すならレンズを傷つけない周辺環境も整えておきたかった。
いざ調整を開始すると、凸レンズが全く浮かないようマウントにしっかりハメるのは結構手間だと気づく。そればかりではなく、この最強の調整法が実は実行不可能だと気づいた。かなり馬鹿だ。凸面で反射したレーザーは拡散するため、反射して来た位置は正確には分からないのだ。
背面平面で反射したレーザーも、凸面を2回透過することでやっぱり拡散してしまう。
そんなことは当たり前であり、凸レンズによる調整など最初から不可能だったのだ。
たぶん、以前気付いたがすっかり忘れていたということだろう(汗)
ただ、拡散したレーザーそのものは結構綺麗に拡散しており、ほぼ凸レンズの芯に照射されたのは間違いない。
当初の予定通りピンホールを使って追い込めば、それなりの精度で調整出来そうだ。
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2008年11月28日(金) 17:28
本番使用の凸レンズを直接利用しての現物調整は、昔も検討した。レンズ自体の製造誤差まで考慮した調整が可能なため、精度的には最強だ。
原理は非常に簡単である。
レンズの凸面と背面平面で反射された秋月グリーンレーザーが、両方とも射出口に戻ってくるようにすればいい。
レンズの中心から外れた場所にレーザーが照射された場合、両方揃って射出口に戻ってくるということはない。大抵はどっちも戻って来ないし、一方が戻るよう調整してももう一方が戻って来ない。
中心を外れて照射されたレーザーは、凸面で脇に弾かれてしまう。
レンズの向きを変えると、中心から外れて照射されたレーザーを正面に弾き返すことが可能となる。しかしその場合は背面平面で反射されたレーザーは脇に逸れてしまう。
2つの反射光を2つとも射出口に戻すためには、レーザーがレンズの中心に照射されねばならない。その上で、レンズの向きも適正でなければならない。
2枚の凸レンズそれぞれについて、2つの反射光が2つとも射出口に戻るようになっていれば、レーザー光線は2枚の凸レンズの中心を結んでいることになる。そのレーザーが薄ディスク結晶で反射してやはり射出口に戻るなら、薄ディスク結晶と垂直になっている訳でコレで調整の目的が達成される。
凸レンズ製造時の偏芯までも考慮した完璧な調整が可能という点で、理想的な手法である。それがなぜボツになったかと言うと、各パーツの位置を合わせられないと判断したためである。当時固定されていた凸レンズマウントの位置は理想から遠く、調整可能範囲内では理想配置に持ち込めそうになかった。
だが、今は違う。かなり理想配置に近づいていて、パーツや秋月レーザーの調整可能範囲に理想配置が含まれている可能性が高い。恐らく理想配置からのズレは0.5ミリ以内だろう。ここまで調整が煮詰まっているなら、理想的調整法を用いることも出来るのでは?
凸レンズのROCは12.9ミリなので、センターから0.1ミリ外れた位置に照射されたレーザーは約1センチもズレて戻ってくる。この調整法なら理屈の上では必要な誤差以下に余裕で追い込める。
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2008年11月27日(木) 17:14
これは、工具箱の位置をISSと一緒に表示してくれるサイト。昼夜の区別もしてくれるため、マジで工具箱を観察しようとすると役に立つはず。
双眼鏡で狙う場合、地上が夜で工具箱だけ日光が当たっている状態が狙い目である。工具箱は350〜360キロの高度なので地上との昼夜は余り変わらず、日没後僅かの時間または日の出直前の僅かな時間でなければそのような好条件は訪れない。日本上空を通過し、しかもそれが明暗境界線付近だという条件が揃わないと観測は難しい。
これに対し、地上も工具箱も両方が夜になっている時間帯は遙かに長く、容易に条件が揃う。そしてレーザー照射で輝かせるには桁違いに有利でもある。
ところが、実際にはレーザー照射は不可能に近い。
というのも、工具箱に日光が当たっていないと位置が分からない。どこにレーザーを向ければ良いのか分からない。もちろん軌道計算は厳密に行われているが、数値だけに頼って夜空の正しい向きにレーザーを照射出来るのか?
直線距離で500キロとして、工具箱は秒速7〜8キロで動いている。真横に飛んでいく訳ではないから、見た目の移動速度はもっと落ちる。それでも秒速数キロで飛ぶ30センチの物体だ。数値だけに頼ってレーザーをヒットさせるのは無理じゃないか?
これが日光を受けて輝いているなら、可能性はある。グリーンレーザーは数ミリワットの光出力しかなくても日没直後の空に緑の筋が見える。それこそ星まで届くかのように見える緑の棒を振り回すことで、簡単に狙った場所をポイント出来る。ターゲットが見えてさえいれば。見えない相手を照射するなら、相手が居そうな場所をサーチライトよろしく漁ることになる。
だが、その見えない相手とは秒速数キロで飛ぶ30センチの物体なのだ。500キロ先を。
照射するレーザーを小さく絞るほどレーザー出力が節約出来るが、ヒットさせるのは困難になる。観測を容易にしようとすれば照射が困難となる。どの程度までレーザーの拡散が許容出来るのだろうか?
【ワシントン=勝田敏彦】米航空宇宙局(NASA)のスペースシャトル・エンデバーの宇宙飛行士が船外活動中に紛失し、宇宙ごみとなった工具入りかばんが、相次いで目撃されている。太陽光を反射し、肉眼でなんとか見える6等星に近い明るさがあるという。米主要メディアが伝えた。
紛失したかばんは国際宇宙ステーション(ISS)に近い軌道を持つことがすでに計算されている。米やカナダのアマチュア天文ファンが双眼鏡などで見つけてインターネットで報告している。白っぽく、太陽光を反射しやすいらしい。
工具箱は発見時に8等星だったが、かなり視認性は良く6等級近くまで明るいこともあるとか。そこで、日光の直射を受けた場合に7等星の明るさで輝くと想定してみよう。一方、望遠鏡で視認出来る星はどの程度の明るさか?
冥王星がまだ惑星だった時代、太陽系で最も遠い惑星を肉眼で観察するのは1つのステイタスだった。残念ながら自分はそんなでかい望遠鏡を持っていなかったが、カタログスペックは置いて冥王星が15等級ぐらい。それを観察するには25〜30センチ級が必要というのが一般的だった。反射式でドブソニアンなど簡易式なら個人所有は無茶ではない。それで秒速7キロの工具箱をトレース出来るかどうかはこの際考えないとして、15等星がギリギリ観察可能としよう。
すると、日光直射より8等級暗い輝きまで見えることになる。8等級とは約1600倍。つまり、40倍大きなレーザー直径まで許容出来るということだ。
30ワットの強力レーザーだと、40センチにコリメートせねばならなかったのが16メートルで良いことになる。これなら数秒角なので現実にコリメートも可能だ。とはいえ、秒速数キロで飛んでいるものを直径16メートルの円に捉えねばならない。もっと日常的なスケールに縮小すると、こうなる。
夜に50メートル先を秒速数十センチで飛んでいる蚊に、直径1.6ミリのレーザー光線をヒットさせるようなものだ。蚊はほぼ等速直線運動しているものの、現実の蚊より遙かに小さい。風に流されている直径0.03ミリの埃という方が適切かもしれない。
どう考えても、不可能です。
そもそも軌道上の工具箱をレーザー照射するって、レーザー出力が違うだけでやってることは衛星とか大陸間弾道弾を撃墜するのと同じ。なにげにやりたくなる行為ではあるが、実はSDI計画を個人のDIYで実現させようとするマッドな挑戦なのだ (^_^;)
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2008年11月26日(水) 17:44
宇宙空間で行方不明になった工具箱、アマチュア天文学者が地上観察に成功
【Technobahn 2008/11/25 10:23】 工具箱を地上から発見したというニュースが話題になっているが、更に凄い展開を見せている。観測によって決定した工具箱の軌道を元に、その現在位置をリアルタイムで表示するサイトが出現したのだ。
日本上空に接近するのを楽しみに待つのも良し、マップの背景を航空写真に切り替えてプラネタリウム気分かスクリーンセーバー気分に浸るも良し
(^_^;)
肉眼で見るのは無理だが、衛星軌道上の物体が意外に明るいことに驚くかもしれない。当然?誰でも考えるのは、現在位置がトレースされているなら地上からレーザーを照射して光らせたら面白いんじゃないか?ということだろう。月面をレーザーで照射するのは無理だが、1000倍も近い工具箱なら照射出来ないか?
簡単な原理として、工具箱が輝くのは太陽光線を反射しているからだ。つまり、太陽光線と同じ明るさで照射すれば、工具箱の明るさは2倍になる。太陽の向きとレーザーの照射向き、そして観測者の方向が絡む。だからそんな単純な話ではないが、オーダーとしては太陽光線と同レベルが必要と仮定して間違っていまい。
工具箱の高度が360キロ程度なので、日本にかなり接近して条件がベストに近い場合は直線距離にして500キロというところだろう。つまり、500キロ先で太陽光線並の明るさを残したレーザー照射が必要なのだ。
グリーンレーザーは1ワットあたり580ルーメンである。個人で所有可能なレーザーとしてはかなり強烈な光出力3ワットの機種が使えるとして、1740ルーメン。一方、宇宙空間の太陽光線は14万ルクス程度なので、1740ルーメンでは124平方センチに集中させねばならない。直径12〜13センチだ。残念ながら工具箱が30センチなので全体を照射できず、アウト。
光出力が10倍の30ワットで照射直径を40センチに出来て、ようやくギリギリだろう。
まだ問題がある。レーザー光線は500キロ先で直径40センチにまで絞り込めるのか?
理想的なビーム品質と光学系だとして、グリーンレーザーを直径10センチのレンズでコリメートすると500キロ先では直径3.4メートルに広がる。40センチに絞るには、直径85センチのレンズが必要だ。個人所有は、かなり無理がある。しかし反射式望遠鏡なら個人でも30センチ級を買うのは無茶ではなく、手が届きそうな気もして来る。数十ワットのグリーンレーザーに数十センチの望遠鏡。たかが工具箱を照らしたいだけのために入手しようするのは相当なバカだが、可能性が十分ありそうに感じられるのが怖い。
でも幸い?なことに、可能性はない。それは大気が存在するせいだ。地上から観測する限り、望遠鏡の分解能はせいぜい1秒角である。大気のゆらきによって光が乱されるからだ。だから、宇宙望遠鏡の価値がある。
1秒角とは1キロ先で約5ミリ。500キロ先で2メートル半。結局、レーザー光線もその程度までしか絞り込めない。パルスレーザーなら影響を殆ど受けないし出力も桁違いに上げられる。しかし望遠鏡超しにしろ肉眼観測出来ないのでは面白みが無い。
結局、最後はここに帰着してしまう。
しかし実は、ここまでは前置き。だって内容は月面照射の場合とほぼ同じなわけで。
では、工具箱が地球の影に入っている時を狙えば?
工具箱自体の観測は、地上が夜で工具箱だけに日光が当たっているタイミングで行われた。両方とも日光が当たっていないなら、どうだ?
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