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2013年10月31日(木) 23:59
PICのPWM機能を再度使用するようにプログラムを書き換え、プリスケーラー無しのPWM周波数20KHz弱で作動させてみた。結果は1V未満にしか充電されない。トランス1次コイルの波形はPWM周期ごとに僅かに動くだけ。
自励発振が開始するのに50〜100μ秒を要するので、周期50μ秒強の高周波PWMでDUTY50だと、発振に至らない。これ自体は完全に想定内である。以前も想定内だったが、想定通りに動作しなかった。今はそれが想定通りになっている。
そうすると、以前の試みをリトライしたくなる。
PWMは本来、こうやって実行するものである。電圧を充分に平滑化するには容量が不足しているものの、発振に違いが生じる程度の容量はある。
今回は電極を逆から出すようにして、個々の構成コンデンサーを流れる回路インダクタンスを一定化させてある。ただしそれでも、テスターだと10KHzでの容量値はなぜか計測不能のまま。
違いは一目瞭然。平滑コンデンサー以外に何も変わっていないのに、発振している。容量不足による電圧変動が、発振の振幅にも反映されているようだ。
充電速度は3割低下ぐらいか。低周波PWMでは、ON時はほぼ連続発振、OFF時はほぼ完全停止、だからDUTY50だと普通にフルパワーの半分で充電できる。しかし高周波の場合は電源電圧が全体的に低下するので、パワーの落ち込みが大きくなる。
昇圧回路は、電源電圧が高いほどパワーを出し易い。
コンデンサーバンクに150Vほど溜まった状態でも、妙な発振波形。充電能力は失われていない。
すんなりPWN制御ZVSが実用になりそうだ。ただし、PWMを使うと平均電圧降下により充電効率も低下すると思われる。よって、消費電力が過大になるのを防ぐ目的で使用するのは無駄が多いはずだ。ハンドガンタイプなら、別にフルパワー充電で構わない。
これで、ようやく正式版ハードの製作に取り掛かれる。
written by higashino [コイルガン戦車S] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
2013年10月30日(水) 21:39
トランス1次コイルの振幅が小さいと、2次に発生する電圧も下がる。
コンデンサーバンクの電圧上昇が200V付近から遅くなるのは、巻き数比の不足かもしれない。そう考えて、久しぶりに巻き数比70のトランス2号に交換。
これで電源を入れると、充電速度が更に低下した。
念のためバッテリーの電圧をチェックすると、ほぼ7.2Vである。かなり下がっている。
一般にラジコンバッテリーは公称7.2Vだが、フル充電すると8.4Vで、6.6Vまで下がるとほぼ空。7.2Vは、実用上の最終電圧である。それ以降は空に向かってアッという間に電圧が下がる。
フル充電からの初期の電圧低下も激しく、通常は7.6V台をキープする。
トランスを巻き数比50の現行品に戻し、共振コンデンサーを10μFに交換。
一瞬だけ通電し、トランス1次コイルの波形を確認。正弦波には遠いが、ノイズが発生しない綺麗な形になっている。
ここで急速充電器を十数分動かし、容量4500 (mA/h) のニッケル水素ラジコンバッテリーを1000ほど継ぎ足し充電。
改めてコンデンサーバンクの充電を試す。別に変化は無いと思った次の瞬間、コイルの鳴き声が急変しコンデンサーバンクの電圧がアッという間に200Vを突破。ZVS本来のパワーが復活した。
三角でも正弦でも矩形でもなく、ノイズバリバリでもない。久しく拝んだことがない波形が現れた。
コンデンサーバンクの電圧変化に応じて、まるで予測不能の波形になる。自励式ZVSを「設計」するなど諦めた方が良いのかもしれない。
DUTY50で200ジュールの充電が5秒で出来るので、平均40ワット。ON期間時80ワットの性能が出ている。昇圧チョッパーだと、この大きさではまず実現不可能。更に、絶縁してノイズを隔離できるのだから、これでZVSを使う意義充分だ。
ただし、なぜ性能が出るようになったのか?は不明である。
written by higashino [コイルガン戦車S] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
2013年10月29日(火) 21:42
共振コンデンサー容量1.5μFでの、トランス1次コイル波形。先端が尖り、振幅は大きいという御馴染みのパターン。
周期が短く、安定発振までの時間も短い。
最初大きかった振幅は、一気に小さくなりその後も徐々に小さくなる。以下、動作確認はすべてPWM周波数100Hzで行なっている。電源ONとOFFが、5ミリ秒ごとに切り替わる。
共振コンデンサー3μFだと、突入は大きいが基本的に振幅は小さくなる。周期は長くなる。安定までの時間は伸びる。
これまでの実験から、基本的には同様の傾向が続くと分かっている。
共振容量が増大すると・・・
・自励周期が伸びる
・振幅は小さくなる。
・波形はノコギリ→正弦→矩形へと変化。
イメージ的には正弦波に近くなるあたりが最適容量だが、実用上は充電ワット数が最大となる容量が最適である。
長時間の変動を見たくて時間スケールを大きく変えたら、時間分解能が不足して振幅欠落のグラフが出てしまった。しかし傾向は分かる。突入時に大きな振幅が急激に小さくなり、その後はコンデンサーバンクの電圧が上がるにつれてまた大きくなる。
共振コンデンサーを4.5μFにしても、ほとんど変化なさそうである。しかし充電速度は3μFの方が早い感じもする。
いずれにしろ、DUTY50とはいえ10秒間で200V程度までしか充電できていない。ZVSとは思えないほど、遅い。かと言って充電自体はできている。
そこで、久しぶりにシャント抵抗を引っ張り出し、配線。
右下は先日使用した、ヒューズに挿入する0.1Ωの汎用抵抗。
このシャント抵抗は定格30Aで、0.0025Ωという微小抵抗値を持つ。精度は1%。
30A流れると0.075Vの電圧降下を起こす。電流計用だが、オシロを接続することもできる。
縦方向の1目盛りが20mVということは、8Aに相当する。これを見ると、17〜33A。平均すると25Aぐらい流れている。
しかしそれほど流れるのは突入時だけで、その後は10Aそこそこに落ち込む。すなわち、トランス1次コイルの振幅が小さくなるのに応じて電流も減っている。バッテリー能力で可能な限りの高速充電が目的だと、こういうのは困る。だがラジコン搭載も見据えた場合は、電流が勝手に頭打ちになるのは好都合である。昇圧チョッパーと大差ない充電速度だとしても、VZSには絶縁可能というメリットがある。昇圧チョッパーでも、消しきれないノイズが発生してPICが悩まされた。だとすれば、自分のようにCPU制御を好む者にとって、絶縁可能なのは大きなアドバンテージとなる。
ただ、現状では効率の低さとワット数の小ささが同時発生しており、改善を要する。DUTY50でも10秒で200ジュールぐらいは充電できないと、ZVSとして出来が悪い。わざわざ大電流対応に配慮して、やって来ているのだから。
written by higashino [コイルガン戦車S] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
2013年10月28日(月) 21:14
ZVSは直感に反した挙動を示しまくるのだが、常識的に考えてトランス1次コイルにノイズが乗るほうがPIC基板への影響が小さいというのは、おかしい。たまたま偶然で影響が減っているだけで、実際にはどんな場合でもZVSがノイズを撒き散らしていると考えた方がいいだろう。
昇圧チョッパーでも、どうしてもノイズは撲滅できなかった。だからソフト的に配慮したのだが、マズいことにZVSでは共振周波数を制御できない。自励かつ外的条件により変化する。そうなると、ノイズが発生するタイミングも、不確定。
こうなったらもう、ZVS自励部分を電気的に絶縁するしかあるまい。
ZVSを使ったコンデンサー充電器の場合、トランスを使うのでコンデンサーバンクとは絶縁されている。PWM用FETも、絶縁済みである。
PIC基板は充電電圧をチェックするため、コンデンサーバンクとはGND共有せねばならない。放電回路も同様だ。しかし、コンデンサーバンクはノイズ源にならない。放電する数ミリ秒だけヤバいだけで、それも過去のコイルガン戦車でラジコンとの共存が可能なことは確認してある。
そもそも自分が開発した順送り回生型コイルガンは、効率ではなく低ノイズを目標とした仕組みである。ラジコンに安心して搭載できる、周囲の電子回路に影響を与えないコイルガン。そのために生み出したのだ。
よって、コイルガンのコンデンサーバンクと放電回路、およびZVS制御PICなどはGND共有したうえで、ZVS自励部分とは絶縁するというシステム構成は可能である。
さっそく試すべく、PIC基板の電源を作り変える。絶縁型 DC-DC コンバーターで5Vを作り、PICに供給。
PWM用FETゲートドライブのプラスマイナス15Vを作り出す別の DC-DC
コンバーターと、入力側電源線を束ね、ラジコンバッテリーへ。
昇圧チョッパーのノイズに悩まされたとき、同様にPIC基板を DC-DC コンバーターで別電源にしてみた。しかしノイズは全く遮断できなかった。三端子レギュレーターも無力だった。しかしそれは、昇圧チョッパーが原理上絶縁不可能だったからである。充電相手のコンデンサーバンクとGNDを共有せねばならず、ZVSのようにトランスなどで絶縁されていない。だから、せっかくPIC基板に絶縁型
DC-DC コンバーターを使っても、回り回ってGNDは共有されていたのだ。
今回はGNDも含め、ZVS自励部と完全に絶縁できる。
隔離は成功し、PICは嘘のように安定動作するようになった。100HzのPWMに従って、トランス1次コイルは発振と停止を繰り返している。途中で途切れたりしない。200V以上まで充電できる。
ただし、振幅がどんどん小さくなる現象は変わらない。自励用FETに DC-DC
コンバーターで独立に12Vを与えた場合は、振幅は変化しなかった。
時間分解能を上げて確認すると、ノイズの少ない綺麗な発振になっている。
振幅の変化だけは懸念材料だが、まずは続いて共振コンデンサーの容量を変えてみたい。というのも、ZVS作例として20μFは相当に大きめだ。これだけ大きな理由は、充電対象が空に近く高負荷の場合に、マシな発振をしてくれたからである。だが、そのときは自励用FETに12V独立供給しており、発振にノイズが入りまくっていた。高負荷時に本来の正弦波がノイズに埋もれて、高周波発振に見えていたという疑いがある。
発振が綺麗になっている状態で、改めて共振コンデンサーの容量を減らし、挙動を確認してみたい。
その結果を受けて、次の手を考える。電源分離が有効だと判明したのは大きい。
written by higashino [コイルガン戦車S] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
2013年10月27日(日) 19:29
自励用FETのゲート電荷供給源を、安定化12Vからセンタータップ(バッテリー正極)へと変更。ここはPWM用FETの後なので、PWMのOFF期間は電荷が供給されない。よって、OFF期間にトランス1次コイルの発振も完全に停止すると期待される。
センタータップ基準のトランス1次コイル電位モニター。
100μ秒ほど経過後に、安定して発振。ノイズは、ほぼ発生していない。やはり、センタータップと離れた電位からゲート電荷を供給させると、スムーズに自励できないようだ。
ターンオフサージは明確に観察可能だが、致命的にはほど遠い。高周波PWMならともかく、100Hzではどうということはないだろう。
ところが、マクロ的には異常。100Hzすなわち5ミリ秒ごとにONとOFFを繰り返しているが、2回目のON途中で発振停止。その後も間歇的に発振するだけ。ローサイドで電源を切り替えていたときのように、PICが暴走している。赤LEDが点滅し、激しいノイズでリセットが繰り替えされている状況が分かる。振幅も徐々に小さくなっている。
予想に反し、まるで訳が分からない。自励用FETのゲート電荷を、PWM用FETの前から取って常時電荷供給される状態で試してみた。それでも現象は変わらない。
・自励用FETのゲート電荷を、標準ZVS回路のようにバッテリ−正極から取った場合。
トランス1次コイルは綺麗な正弦波で発振する。
高負荷でも自励周波数はそれほど変わらず安定。
それなのに、PIC基板に猛烈なノイズが回り込んでPICが暴走する。
・自励用FETのゲート電荷を、独立電源12Vから取った場合。
トランス1次コイルにノイズ発生しまくり。
高負荷では異常発振する(充電は可能)。
それなのに、PICは安定して動作する。
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