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2014年8月31日(日) 19:06
これは、頓挫した最新コイルガンの計画で初期に書いた図である。
エアガンでは、発射するBB弾にバックスピンを掛けるのが一般的である。これにより浮力が生じ、弾道が水平になる。
命中精度を上げるには、BB弾が銃身の天井に接触したまま飛び出すのが良いとされる。銃身がガイドとなってBB弾の位置を安定させるからである。実銃では、銃身に刻まれたライフリングに弾丸が食い込むので、弾丸は安定する。
問題は、バックスピンと干渉させないためには銃身の天井を使わねばならないこと。
エアガンにしろコイルガンにしろ、弾丸は重力に引かれて落ちてしまう。
だから、ずっと天井にくっつけたままにするのは困難である。そのため、エアガンでは銃身の短い製品に命中精度の高いものが多いという逆転現象がありがちである。
最新コイルガンでは、この問題に対策を講じ、本当に効果があるかどうかも調べようとした。その遥か前に頓挫してしまったが。
マルチコプターのような空中からコイルガンを発射すると、興味深い現象が生じる。
コイルガンを吊り下げ、システム全体の重心より低い位置に設置する。
ここで発射すると、反動でコイルガンは重心の回りを回転する。結果として、銃口側は下がり、砲尾側は上がる。コイルガンの前方を銃身とし、それ以外の部分のパーツを後方に設置してやれば、発射の反動で銃身は下がり、弾丸を銃身の天井に貼り付けておくことが可能かもしれない。
コイルガン戦車でも類似の機構を考えたことはあるが、地面の傾斜によらず確実に働かせ、それから元の位置に戻すのが難しい。これが空中発射となると、簡単に実現できてしまう。
ただし、重量制限のキツい空モノにおいて、これまで同様に効率の低い球形弾を採用するかどうかは悩ましい。
written by higashino [マルチローター] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
2014年8月30日(土) 19:40
画像認識によって水平移動量を得る場合、傾きと距離が問題となる。
傾きはジャイロセンサーによって検出し、電子式手ぶれ(ヘリぶれ)補正をすれば緩和できる。マウスセンサーと異なり、民生イメージセンサーを使用する場合は画素数に余裕があるため、補正が可能となる。ADNS-3090 は30×30だが、PX4FLOWは切り出し後でも64×64の解像度がある。
距離に関しては超音波センサーだが、これは数メートルの近接判定では役立つが遠距離に弱い。自分が飛行させるところを想像すると、コイルガン搭載版なら高度数メートル以下だろう。しかし撮影機なら10メートル以上にしたくなる場合もありそうだ。音波だからセンサーにホーンを取り付けて指向性をアップさせることにより、10メートル程度までは対応できる。だが、もう少し遠距離のセンスも出来ると嬉しい。
初期はコイルガン搭載機を優先開発するので、PX4FLOWにホーン外付けでもいいだろう。しかし、撮影機には別のセンサーも必要と思われる。なぜなら、超音波の指向性はそれほど良くないので、壁に接近すると壁からの反射を拾う可能性がある。もちろん、近接センサーとしてはスキャン動作が不要となり、指向性が適度に悪いという超音波の特性はプラスに働く。要は、適材適所である。現実世界には無数の状況があるので、特性の異なる複数のセンサーを組み合わせねばならない。
距離センサーとしては他に、レーザーセンサーや視差センサーがある。
視差センサーとは、2つのカメラの視差から距離を判断するものである。マウスのFLOWセンサーが、時間の異なる2画像の移動量を見るように、位置の異なる2画像を比較するわけだ。だが、遠距離対応のためにはカメラの位置を遠ざけねばならず、すると近い場所の視差が大きくなり過ぎて確認できない。それに、ピンポイントで距離を判定するのも苦手。
やはり最強は、レーザーセンサーだろう。
レーザーレンジファインダーは、安くても3万円ぐらいする。
面白そうだとは思っても、自作は相当に大変である。購入はもちろん、自作コストも相当に掛かる。面白いというだけで手を出すには敷居が高い。だが、マルチコプターであれば、距離の直接測定には大きな実用上の意味がある。採用の動機になり得る。
ただ、残念なことにレーザーレンジファインダーには基板タイプのキットが販売されていない。レーザーを使って視差による距離判定を行うものは存在するが、それでは本来の性能は出ない。
ここでも例によってだが、自分がマルチコプター関連で欲しいと思うものは、とっくに世の中に存在している。
赤外線を使って40メートルまでの測距が行えるユニットが、70ドルぐらいだ。しかし日本から購入することはできない。だが逆に言えば、ある程度の数を生産してそれもレーザー使わない簡易版なのに、7000〜8000円するという意味でもある。
ガチにレーザーレンジファインダーを作るとして、パーツ代はどれぐらいになるか?
バンドパスフィルターを省略するとか、受光素子を通常のフォトダイオードにするとか、手抜きしようとすればあれこれ手抜きする余地がある。だがそれでは、まっとうな性能も出ないしピーカン屋外での動作も安定しないだろう。
恐ろしいことに、40メートルまで測定可能な中国製のレーザーレンジファインダーが、7980円で売っている。
だが原理から考察して、どこをどう見ても屋外で使えるとは信じられないし、パーツ代を考えれば手抜きに手抜きしまくっているのは想像に難くない。自作に必要なパーツは、意外にもすべて個人購入可能である。しかし各所から掻き集めると、郵送費だけで5桁になりかねない。4桁で収まっても、5桁に近い可能性が高い。レーザー趣味と同じで、海外頼りとなるせいだ。秋葉原で売っているようなパーツは、殆どない。例えば、「アバランシェ・フォト・ダイオード」を探してみよう。
だからトータルでは、ニコンなどブランドものの市販品を買うのと大差ないコストが掛かるだろう。マジメに作ればだが。
パルスレーザー駆動回路などの要素技術は適宜開発しておきたいが、オプションの測距ユニット自体は後回しにしよう。
written by higashino [マルチローター] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
2014年8月29日(金) 21:08
ADNS-3090 というICを、直接購入できれば話は簡単である。しかしこれは、秋葉原で売ってるようなシロモノではない。メーカーがマウスを生産する際に発注し、桁違いの単位で生産され納入されるパターンである。数年前に登場しているので、念のためどこかで生産して在庫を積み上げるような段階でもない。どこにも流出していない。
この手のICは、時期を逃すと個人が入手するのは至難となる。運が良ければ3個3000円とかいい感じに買えるのだが、もう無理だ。メーカーが身売りしたのが痛い。
では ADNS-3080 はどうか。
直接入手は難しいが、基板にセットしてM12マウンントのレンズを装着した製品として、マルチコプター関連のショップに少量だけ出回っている。マウスを買うぐらいの値段で確実に手に入るため、有力である。
だが、更に情報収集すると、自分でも引っ掛かっていた懸念が事実らしいと判明。すなわち、マウス用の光学センサーは暗所に弱いということだ。何しろ至近距離からLEDを照射し、数ミリの距離から撮影しているのである。しかも使用される照明環境は、かなり固定されている。それに合わせてセンサーの特性が調整されているのは明白である。
曇った屋外なら十分に機能するが、室内だと難しいようである。まあ室内なら超音波で壁を検出する方法も使えるが、撮像装置にとって暗所に弱いというのはマイナスイメージがでかい。
想定内の弱点だったので、既に使用レンズとしてF1.4より明るいのを探していた。だがM12マウントではF2までしかないのも懸念だった。Cマウントなら明るいレンズがあるが、重量が馬鹿にならない。
だが、自分が考えたことなどマルチコプターの世界では既出もいいところで、とっくに専用の画像処理センサーが販売されていたのである!
PX4FLOWという製品である。
Unlike many mouse sensors, it also works indoors and in low outdoor light conditions without the need for an illumination LED.
当たり前のように、超音波距離センサーとセット。秋月でも扱っている安価なものとはいえ、3軸ジャイロもセット。誰でも行き着く所は同じらしい。魅力としては、強力なCPUを搭載しているだけでなく自前のプログラムを書き込むことも可能な点。取り合えずそのまま使用し、後から自力でパワーアップさせることができる。
しかし、誰でも買える製品を使うのも、何だか癪に障る。こうなったら、CCDやCPUもバラ買いして同様の品を自作できないか?
これは、CCDの購入がネックとなる。ADNS-3090 を個人購入するのと同じように、CCDの個人購入は絶望的である。もちろん、どんなCCDでもいいから欲しいというのであれば可能だが、それはマウス用光学センサーだって同じ。CCDを個人入手する現実的な手段はマウスと同じで、カメラやビデオのジャンクからパーツ取りすること。
適切スペックのCCDを入手し、CPUに A/D 変換して取り込んで・・・と考えると苦労の割に重い完成品しか得られない可能性が高い。価格もかなり積み上がるだろう。そう考えると、こっちも安価ではないにしろPX4FLOWを素直に購入するのがマシという結論に至った。
調べれば調べるほどマルチコプターの世界は想像外に先に進んでいる。これは、個人が無人航空機を自作することを政府機関が真剣に懸念するのも当然だ。いやほんと、21世紀を実感するわ。
written by higashino [マルチローター] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
2014年8月28日(木) 21:26
手元に届いた Death Adder 3500 の実物。バラす前に普通にマウスとして機能することを確認する。
単に接続するだけで問題なく認識される。ドライバーCDみたいなものは箱に入っていない。
ホイールやマークが無駄に青く光るのは、高級マウスならではの演出か。
マウスとしては大型で好きになれない。マイクロソフトマウスも、でかくてイマイチだったのを思い出す。ゲームではなく普通にパソコン使う分には、もっと小さい方がいい。マウスカーソルを動かしてみても、通常のマウスと異なる感覚はない。こいつは高級品だと感じさせてくれるものが何もない。
やはり高級マウスはFPSなどのゲームやらないと違いは分からないのだろう。つまり、一般人には不用のものだ。
普通にマウスとして使いたくなる誘惑が皆無なので、これ幸いとすぐに分解。シールおよび摩擦避けパーツを剥がすと、ネジにアクセスできる。3箇所を外すと、いとも簡単に2つになった。内部基板は実装密度が低く、しっかりコネクターが使用されている。
外部は高級だが、内部は自分が作るものと大差ない。
鎮座していたのは ADNS-3090 ではなく、PAN3509DH-TXWA だったのだ。
3090 が毎秒60インチ対応なのに、3509 は37インチ。
3090 が20G対応なのに、3509 は15Gまで。
3090 が 3500 DPI なのに、3509 は 1600 DPI である。
唯一勝っているのは、3090 が3.3V電源でPIC等での扱いが要注意なのに対し、5V電源であること。要するに、本来より低性能のセンサーを実装したパチモンだったのだ!
箱にはしっかりと 3500 DPI とか 3.5G と記載されている。この場合のGはスペックにある重力加速度ではなく、世代を意味する。
つまり、オリジナルの箱と筐体に、パチモンの基板を実装して販売されていたのである。
注文時に安いからと、「並行輸入品」としっかり書かれていたのを気にしなかった。要は、安っぽかったりサポートに問題があったりしても、センサーさえ取り出せば関係ないからと価格優先で購入した。そうしたら、肝心のセンサーがランクの低い別物だったというオチ。
基板からして、LEDのアノードに黒配線、カソードに赤配線がハンダ付けされるという逆使用。LEDの足を切らないままというのはまあいいとしても・・・
かくして、自分でも想像していなかったことだが、このページがゲーマーの方々に有用な情報を提供するハメになってしまった。外見からは全くの判別不可能。パチモンが混じっているので、並行輸入品は避けましょう。
まだまだ MADE IN CHINA の倫理は、こんな程度だ。
しかしおかげで、極めて厄介な事態に陥った。ADNS-3090 が搭載されている可能性が高いマウスは高級品で、おおむね5000円以上する。それが、実際に ADNS-3090 を積んでいるかどうかは博打なのだ。一つ前の ADNS-3080 はスペック上では劣るが、評判が高い。ではそっちを狙うかと言えば、搭載マウスはもはやほぼ流通していない。
中古やジャンクで入手するのは、博打に過ぎる。パチモンだと知って流されていても、クレームのつけようがない。そして新品よりもパチモンの確率が高いことは自明である。
written by higashino [マルチローター] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
2014年8月27日(水) 20:57
広島の土砂崩れで、人が入れない場所をラジコンヘリで確認するニュースが流れていた。
アナウンスはラジコンヘリだが、見なくてもマルチコプターだろうと分かった。ローターが1つの普通のヘリに比べて空中姿勢が安定するため、空撮に向いている。
マルチコプターはローター4つのタイプが多いが、ニュースで流れたのは6ローター。離陸重量5キロ級の大型機で、機材とセンサーをゴテゴテに積んでいる。
他局では4ローターの小型機が写っており、この世界で超有名なファントム2に見えた。
自分が製作予定なのも、4ローターの小型機である。
ぶつけたときに相手に与えるダメージは、軽ければ軽いほど小さく遅ければ遅いほど小さい。だから、必要最小限の重さの機体を作り、低速専用のフライトコントローラーを自作する。高速機動の爽快感を味わうべく、広大なラジコン飛行場に遠征して飛ばす・・・もともと自分はそんな空マニアではない。
身近な場所で手軽に飛ばすことができて、操作ミスしないように自律制御でガチガチに守られた機体を作りたい。
自律制御に関してじっくり考えるほど、いろいろな問題・課題が浮き上がる。マルチローターの制御は非常に奥が深く、それだけにネタとして面白いと思う。
例えば空撮を業務としてマルチローターを扱うのであれば、制御ソフトの開発などやってる暇がないだろう。しかし電子工作ネタとしてマルチローターを扱う場合、制御ソフトを自作せずして何やるんだという感じである。モーターやフレームを購入せずに済ませても良いのでは?と思えるほどセンサー&制御は難題で面白い。
ADNS-3090 は、移動量をデジタル値として内蔵レジスターからシリアル通信により読み出すこともできる。こういうのも例によって、実際にPIC等でアクセスしてみないとうまく通信でいるかどうか分からない。データーシートを眺めているだけでは、ほんと分からない。読み出したら自動的にゼロリセットされるのは当然とはいえ便利だ。
制御のメインは dsPIC で行うとしても、センサーには旧 PIC を分散配置して前処理させた方がいいかな、とか想像が広がる。
ADNS-3090 を搭載したマウスで安いやつは・・・と探して Razer Death Adder
3500 を選択。新品3980円まで下がっていた。これより安いのは突発的な特価品でないと難しいようだ。オクでもゲーミングマウスは、やたら高い。
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