2010年5月17日(月) 21:46
ニコニコ動画ではゲームやアニメに登場する架空のアイテムを実際に作ってしまうのが、昔から人気ジャンルである。ハイポーションのようなギャグから、リアルな武器をマジメに作るところまで性格は様々だが、どれも閲覧数は多い。
最近ではコナンの動力付きスケボーを作ってみた動画が登場。これはガチで、少し前にはギャグ系の動力付き便所スリッパが面白かった。
類似と言う訳でもないが、昔から作ろうと野望を抱く者が結構多いのに電動インラインスケートがある。エア・ギアという漫画に登場するエアトレックである。ぐぐると車の方がヒットするので少し厄介。
実際に動力付きインラインスケートが発売されたことがあるが、踵の部分にエンジン付けて外部からウィールに回転を与える方式だったと思う。ゴツくて重くてダサくて、とても買う気になれるシロモノではなかった。
インラインスケートは外見が車輪付きスキーブーツであり、スケボーに比べるとシルエットを乱さずに装着可能な物体が少ない。そのためイメージを壊さない動力化は困難で、エアトレックを作ろうとした企てで現実に形になったものは記憶にない。
だが、本来のような強力スペックではなくても、動画のネタに出来る程度のモノなら作れないか?
何年も研究を重ね、人間が乗って空を飛べるメーヴェを作ろうとしてるプロジェクットも実在するぐらいだし。
自分は製作する技術もエアトレックの「テストパイロット」を自前でやれる技術も、両方それなりに備えているつもりである。
急に気になって、少し検討してみた。
オリジナルの仕様は出力4キロワット。当然だがバッテリーも4キロワットの電力を供給出来ねばならない。コレだけで使い物になるアイテムではなくなるのが容易に想像出来る。現実には人間が腹にでもバッテリーを巻いて、配線だけをブーツに引っ張り込むしかあるまい。それにしてもラジコンバッテリーで最大200ワットが目安なので20本にもなる。まるでダイナマイト特攻だ(汗)
これは4キロワットも出そうとするからであり、実際はそれなりの速度で人間を動かすことが出来れば良い。
コイルガンは、ミリ秒単位だが電気自動車に匹敵する出力を発生させる。ジャンプの瞬間などだけ爆発的な出力を得るようなモノは作れないか?
しかしこれは難しい。位置エネルギーは mgh であり、60キロの人間を10センチ浮かすだけでも60×9.8×0.1=60ジュール弱を必要とする。投入エネルギーではなく出力が60ジュールというコイルガンが、エアトレックに搭載可能とは思えない。電流が大き過ぎるため、コンデンサーを体に装着して足先まで配線を伸ばすのは非現実的である。と言うか一歩間違えれば感電死確実だろ。やはり、定常出力の電気モーターを考えた方が良い。
出力は遙かに小さくても良いが、アイテムのシルエットはそうも行かない。エンジンやモーターを外付けしたのではイメージからかけ離れてしまう。電気自動車で脚光を浴びているようなインホイールモーターの一択だ。特に中国では自転車天国EV大好きからか、電動自転車用の安いインホイールモーターを作っている。
ところが、自転車は車輪がでかい。トルクを稼ぐには直径が大きい方が断然有利であり、自転車用のモーターは直径15センチ以上ある。重さも1個数キロ。こんなもの流用出来ない。いろいろ漁ってみたが、直径10センチ以下のインホイールモーターはどこも作っていない。直径だけなら小さなモーターはあるが、そういうのは長さ方向が長くてエアトレックの形状に合わない。
結論として、エアトレックを自作しようとすればまずインホイールモーターの自作から始めねばならない。
これは非常に敷居が高いが、ブラシレスモーターを自作するマニアは存在しており完全にアマチュアの手が届かない世界という訳ではなさそうだ。通常のモーターに比べると制御は難しいが、そっちは自分の得意分野でもある。コイルガンの経験も役立つしレーザー関係も一部に使える技術がある。
モーターさえ自作出来れば、ある程度遊べるエアトレックは作れると踏んでいる。すぐに話を進めるつもりはないが、カテゴリーだけは作っておく。
なお、完全にモーター出力だけで走行可能なインラインスケートを作ってしまうと、たぶん原動機付き自転車という扱いになってしまう。形式認定を受けるのは事実上不可能(セグウェイもそうだった)なので、合法的に公道を走ることは出来ない。
written by higashino [エアトレック] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(3)] [TB(0)]
Generated by MySketch GE 1.4.1
Remodelling origin is MySketch 2.7.4
『動力付きインラインスケートあれこれ』
アイディアを空想する人は多いが、実際に動く物を作る人は少ないから、拍手を贈りたい。
中国製のパワーブレードはよく走るものの、ルックスが悪い。
http://www.youtube.com/watch?v=lR8WBHQsXwQ
ブレーキがなくて止まれないため、英国では違法になるほど危険視されてるようです。
本当にエアを感じて滑りたいならこちらの方式のほうが優秀。
http://www.youtube.com/watch?v=IF21GNyg74E
動画では、本当に気持ち良さそうにスピードを出してます。あの安床さんもテストしている装置が写真入りで雑誌に紹介されてました。しかし、やっぱりブレーキがない。
強力な動力を使うと危険を伴うようです。慎重に頑張ってください。
written by 海援隊
『パワーがありすぎるものは日の目を見ないで没になる』
日本人で、重さ3キロ10馬力のエンジンを用いて、インラインなら時速120キロ、小径自転車なら時速150キロ、競輪のトラックで出した人がいます。惜しいことに、テスト中に骨折事故が発生して、市販されませんでした。今ではリチウムバッテリーが進化して、静かな電動プロペラで同じぐらい出せるそうですが、やはりすぐに止まれないものは市販不可能だそうです。
他には、電動エグゾスケルトンとウィール付きジャンピングスティルトを併用したものが開発されているようですが、3年経っても動画がアップされません。時速70キロから5メートルジャンプできますが、西洋人のアクロバットチームのプロがテスト直後に椎間板ヘルニアになって引退を余儀なくされたため、予算が付かなくなり市販に向けた開発が中止されたままのようです。
written by 海援隊
『いえ、作ってないので』
作りたいなあってだけで作ってないから褒められるほどのものではないです。
DIYやれば分かりますが1作品1年以上なんて当たり前。仕事で開発やってるわけじゃないから使える時間が絶対的に少ない。
もし着手できたとしても3年で出来るかどうか分からないと思います。
written by IDK