2012年6月8日(金) 21:32
レーザー趣味の当初は、大出力のグリーンレーザーを発振させることが最大の目的だった。現在でも願望は持っているのだが、極めて困難なことが理解できてしまったので最優先にはしていない。
古くから存在する赤色や最近大流行の青色は、安価で強力な半導体レーザーダイオードが存在する。ところが、緑色だけはLDが無い。現在でも、赤外線レーザーを波長変換して発生させるのが一般的だ。
ところが自前で波長変換させても、著しく変換効率が低くてまるで出力が出ない。その大きな理由の1つは、偏光である。波長変換に使う素子は、方向性がある。波長変換前の基本波の偏光がうまく結晶の方向と合っていなければ、変換効率が上がらない。
偏光の向きを合わせるためには、そもそも直線偏光レーザーである必要がある。ランダム偏光では、向き合わせもへったくれもない。
一方で金属などにレーザーを照射した場合の反射率は、偏光の向きによって変わる。加工用レーザーが直線偏光していると、向きによって加工性が変わってしまう。これは非常に使い勝手が悪い。
かくして、加工用レーザーではランダム偏光が一般的である。IPG社でもデフォルトはランダム変更であり、SHG用として別に直線偏光の製品を用意しているぐらいだ。
だから困ったことに、レーザー銃でグリーンレーザーを発生させるのは非効率。ランダム偏光だと波長変換効率が低い。直線偏光だと、ターゲットを焼く性能にムラが生じる。
ところが幸か不幸か、選択の余地は事実上存在しない。なぜなら、ファイバーレーザーで直線偏光を発生させるのは非常に高コストなのだ。
ファイバーを曲げたり外力が加わると、内部光の偏光状態は簡単に変わってしまう。このため、偏光に関して何も考慮せずに製作したファイバーレーザーはランダム偏光になる。直線偏光にするためには、ビームが通るすべての光ファイバーを偏波保持ファイバーで統一せねばならない。FBGからアクティブファイバーからデリバリーファイバーから、すべてである。
偏波保持ファイバーは、通常のファイバーに比べて倍額ぐらいになる。しかも、偏波保持ファイバーには向きがある。融着の際には、ねじれを合わせねばならない。そのような機能を持った融着接続器は、高級高価な品である。
自作レーザー銃は、ランダム偏光で行かざるを得ない。
written by higashino [ファイバーレーザー] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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