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2008年8月24日(日) 18:52

宇宙エレベーター

 非常に夢のある本である。宇宙エレベーター。  最近ではかなりメジャーな概念になって来たが、実現は遙か未来でSFの世界だけの話。そう思われていたのではないだろうか?  それが実は短期間に実現可能になっているという話。下手すれば中央リニア新幹線より先に実現するかも!ってほど。  必要なリソースを最小化し、出来るだけ既存の技術を使う。実現の難易度を低くするための設計を行えば、総工費1兆円程度で可能。それによって宇宙に出て行くコストが20分の1になる。それこそビルゲイツでも決断すれば、今すぐ建設が始まってもおかしくない。  しかし今すぐ建設を開始するのは無理。技術問題がたった1つだけ未解決なのだ。これはもう宇宙エレベーターに少しでも興味があれば分かるだろうが、必要な引っ張り強度を持ったワイヤーが無いのだ。  実は必要な引っ張り強度を持つ物質は存在する。それがCNTすなわちカーボンナノチューブ。欠けているのは、製造技術だけ。長大で欠陥の小さなCNTワイヤーの量産技術さえ完成すれば、即座に建設可能となる。実はそこまで人類の科学は進歩を遂げていた、という話。  だが、低コストの製造技術というのは得てして最大の障害になる。  例えば、反物質。これもかなり知られているが、反物質は実験室レベルでは製造出来る。単に低コストで量産する製造技術が存在しないだけなのだ。果たしてそんな製造技術が数十年で登場するものだろうか?  CNTの場合は反物質と異なり、数年のうちに可能になるだろうと本では述べられている。だが、これこそ根拠レスの希望的観測だ。100年だっても量産出来ていないかもしれない。  少なくとも、低コストで量産する製造技術の見込みが立ってからでなければ、宇宙エレベーターの実現性について何も言うことは出来ないだろう。このまま100年塩浸けになっても全く意外ではない。研究室で発見された素晴らしい素材が、どう頑張っても量産出来ない。それは極めてありがちなことだ。  とにかく、どんなにコストが掛かってもいいから長大なCNTを製造したい。そう考えてさえも技術は無い。これが非常な問題で、現物を手に入れて試験しなければ本当にCNTが使い物になるか分からない。先行して試験を行い、製造コストが下がるのを待つという戦術も取れない。完全にクリティカルパスになっちまっている。 本の中でも触れられている。例えば耐摩耗性とか環境耐性。  更に、全体の規模を小さくし建設コストを押さえようとすると、宇宙エレベーターの性能が落ちる。これは明日のネタね。

written by higashino [科学コラム] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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