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2012年8月15日(水) 20:24
コスト100分の1、名古屋のベンチャー企業が2017年の宇宙旅行を目指し、独自エンジンでビジネスに乗り出す。
そんなニュースが目に入った。
数年前に話題になった、2018年に宇宙エレベーター建設・・・みたいな怪しい夢物語が頭に浮かんだ。
安価に宇宙に行く手段として、空気のあるうちはジェットエンジンとして動作。無くなればロケットエンジンとして動作。中間領域ではスクラムジェット。アメリカが大陸間の超高速旅客機を構想した歴史は古い。スクラムジェットは技術的難易度が高く、未だに実用化の目処は立っていない。
そこに、特許技術のハイブリッドエンジンを引っ提げて、日本のベンチャーが宇宙ビジネスに参入。それも5年後の有人飛行を目指す。そんな短時間でハイブリッドエンジンを実用化できるわけがないだろ。
何年も電子工作を趣味で楽しんで、モノ作りが机上の理屈通りに進まないことを思い知らされている。
独自のハイブリッドエンジンを5年以内に完成させ、有人飛行可能な信頼性で商業稼動させるだと?
これは2018年宇宙エレベーターに匹敵する大風呂敷に聞こえても仕方あるまい。
半信半疑で、何を考えているのだろうと問題の会社PDエアロスペースのサイトを開いた。
宇宙旅行は、想像通り散々話題のスペースシップワンなどと同様で、最大高度100キロの弾道飛行。人工衛星になる2%程度のエネルギーで済む、お手軽宇宙旅行である。そこからロケット追加して衛星投入のオプションもあるが、普通のロケットの1%程度のペイロードがせいぜいだろう。それでも、100分の1のペイロードを100分の1の価格で打ち上げる、というビジネスモデルには確実に需要はあると思う。
それはともかく、問題はエンジンだ。
ベースは、個人のDIYでも製作例が多数存在意する、パルスジェットエンジン。とにかく構造が簡単。
で、空気が無くなると、代わりに酸化剤を使用して、そのままシンプルなパルスジェット動作させてしまう。理屈は単純すぎて、個人製作もできるんじゃないかと思ってしまうほど。
タービンジェットに比べて、パスルジェットは原始的で性能も低いと甘く見ていた。だが、それをロケット転用して共用エンジンに使うのは、アイデアとして筋が良い。構造が単純というメリットが、最大限に活かされるからだ。
ポイントは、100キロまでの弾道飛行だということ。そのため、マッハ3ぐらいまで加速できれば良く、スクラムジェットのような高速を出す必要がない。マッハ3なら、パルスジェット改ロケットでも到達可能という次第。
ある性能までは、安価で難易度の低い技術が使用可能。それを超えると、技術的ブレークスルーが必要だったりコストの急上昇を招く。そんなことが珍しくない。レーザー趣味でも散々経験している。宇宙の最底辺とされる100キロまでギリギリ届く弾道飛行。これは、グリーンレーザーならKTPで波長変換可能な出力みたいなもので、安上がりで済む。
ビジネスとして成立し、技術的にも手が届く。すべてをクリア可能なスイートスポットをピタリと狙っている。決して怪しげなプロジェクトではない。
アメリカの民間宇宙ビジネスを横目に羨ましがっていた日本人にとっては、希望の星かもしれない。こんな経済状況だ。ちょっとは夢を見せて貰ってもいいんじゃない?
written by higashino [科学コラム] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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