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2014年3月15日(土) 18:03
論文コピペで話題になっているが、いろいろ論調がある中で同意できた仮説。それは、コピペが悪いことであると著者(あえて固有名は書かない)が本気で知らなかったのではないか、というものだ。
もし悪いことだという認識がありながらコピペやってたとしたら、想像を絶する事態である。
一度はボロクソに言われて却下された論文である。それを出し直すときに文章も写真もコピペし、大々的に世間に発表してTVカメラの前で微笑んでみせる。いったい心臓にどれほど毛が生えていれば、そんな行為を行えるのだろうか?
そんな精神を持った人間が居るとは信じられない。
それよりは、コピペが悪いことだと著者が認識していなかったのだ、という方がよほど説得力がある。
コピペが行われたのは、本筋ではなく導入部分である。研究本体に関係しない「軽い」部分は、コピペで済ませても構わない。写真も、分かりやすく説明する手段であって写真そのものには本筋の情報を含んでいないのだ・・・そんな考えで論文を書いてしまったのではないだろうか。
もちろんこれでもとんでもない話だが、そうなると気になるのは学術論文の書き方を誰も教育しなかったのだろうか?という点である。
大学院以上に進めばともかく、学部の場合は卒業論文は単なる形式的儀式という性質も強い。それでもタテマエとして大卒であればみんな卒業論文は書いているはずである。そして、マトモなゼミの教授であれば、学生に論文の書き方を教えているはずである(しかも、未確認だがたぶん著者は院に進んでいるのでは?)。
あれほどの研究を行い、有名な研究所に所属している。若くてもそれほどの研究者が、論文の書き方すら知らなかったというのは恐怖である。本人の資質という以前に、今時の日本の高等教育はどうなっているのだ?
それほどまでに、大学教育の質が落ちているのか?
さすがにそれも考え難いわけで・・・
コピペしてはいけない、というのは教授にとっては余りにも常識過ぎて言及しなかった一方で、著者世代には常識ではなかった。もしそうなら、手垢の付いたあのコトバを使いたくなる。
いずれであっても、日本の土台が劣化している。
数年前に、同様の恐怖を味わったことがある。
出産は早い方が良く、高齢出産はリスクが高くなるという話である。そんなことは常識だと思っていたので、知らなかった者の多さにビビった。
自分は男子校だったのだが、高校の生物の授業でしっかり教わった。卵子は生まれた後は作り出されない。35歳で受精すれば、それは体内に35年間保存されていた卵子が使用されているという意味だ。さすがに当時は驚いたし、同級生もみんな驚愕していた。衝撃過ぎる事実だったから、忘れなかった。
正確に言えば「ずっと保存されている」という事実は教わったが、「それが劣化する」という事実は教わらなかった。だが、常識で考えて劣化するのは当然と認識していた。
教えられなければ、コピペが悪いと分からない。そんなことはないだろう。それと同様だ。
男子校でさえそれぐらいの教育は行われていたのに、いまさら知らなかったという日本人の多さに唖然とした。
基本的な教育が劣化している。これでは国際競争力の回復など期待できない。
written by higashino [科学コラム] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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