2014年12月29日(月) 21:58
びっくりした。
年末と言う事で、いろいろと普段と異なる番組が放送されている。
そこで目に留まったのが、フィギュアスケートのアイスショー。いきなり信じられないものを見てビビった。
演出用のレーザーの向きがおかしいので目の錯覚かと思ったが、次のカットでは本当におかしいことが判明。
見ての通り、レーザー光線が床の氷に照射されて模様を描いている。
レーザーで模様や文字を描くのはありふれた演出であり、それ自体は珍しくも何ともない。問題は、天井や壁ではなく床に描いたという点。まっとうな業者は、絶対に床には照射しない。
レーザーポインターが規制されたことでも分かるように、レーザーは極めて目に悪い。演出用レーザーは、レーザーポインターに比べると1000倍とか10000倍の出力がある。だから、絶対に目に入らないようにせねばならない。だから、ちゃんとした業者であれば人間の目の高さよりも低い位置に演出用レーザーを照射することは、絶対に行なわないのだ。
ディスコとかクラブという類の怪しげな店で、客を興奮させるためにワザとレーザーを危険に使うことはあるらしい。しかしこれは、普通のアイスショーであってTV放送さえ行なわれるまっとうなイベントだ。それで常識外れのレーザーの使い方をしていたから、ビビった。
演出用レーザーで模様を描くには、レーザーを鏡で反射させてその鏡を高速で動かす。レーザープロジェクターとかガルバノメーターと呼ばれていて、うちのサイトでも自作記事を書いたことはある。つまり、鏡を動かす機械的部分が故障すると、レーザー光線も動かずに一点を照射してしまうのだ。そのようなリスクをゼロにするため、最初から目の高さより高い位置にしか照射しないように設置するのである。
床にレーザーを照射して、故障によりレーザーの向きが固定されたら?
そこに、客やスケーターが居たら?
浅田真央や高橋大輔が失明していたかもしれない。信じられない暴挙である。そして恐らく、暴挙であることを殆ど誰も気付いていない。
鏡が故障したらレーザー照射を停止させる安全装置は、恐らく組み込まれている。だが、安全装置も故障確率はゼロではない。どんな機械でも、故障することはありえる。
だから、原理的に絶対に事故が発生しないよう、照射向きを高くしておくものなのだ。
written by higashino [科学コラム] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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