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2023年8月22日(火) 22:25
昨今話題の量子コンピューター。発達すると、どのようなことが出来るだろうか?
一般には、暗号が高速で解けるとか巡回セールスマン問題が高速で解けると言われている。すなわち、膨大な組み合わせを片っ端から総当りで調べてみないと最適解が判明しない問題が解ける。そんな感じでアバウトに理解していた。だが、いざそれで具体的にどのような問題に有用か?と考えてみると、これがなかなか厄介だと気付いた。
量子コンピューターが有用と思われる具体的な問題が、なかなか思い付かないのではない。思い付くのだが、それが本当に量子コンピューターで高速に解けるのかどうか分からないのだ。上記のようなアバウトな理解では、量子コンピューターが有用かどうか判断できないのである。そのような問題を、いくつか挙げてみよう。これらについて量子コンピューターがどこまで効果的であるかを解説できれば、人並み以上に量子コンピューターを理解していると言えるように感じる。もちろん自分は、その域に達していない。自信がある方は、挑戦してみて欲しい。
1)超解像
超解像とは、画像の解像度を上げる処理である。実際の解像度が上がっていなくても、肉眼で見たら解像度が上がっているように感じる場合も超解像に含めるようであり、古くからアンシャープマスクなどが高速かつ効果的手法として使用されている。しかしここでは、存在しない細部の情報を推測し実際の解像度まで上げてしまう超解像について取り上げる。
特に最近ではAI技術の発達により、細部をAIで推測して解像度を上げる処理が幾つか提案されている。しかし、試してみると効果が案外小さいのだ。OpenCV
などで実際に試したりもしたが、効果は失望させられるものばかりだった。
ここで、絵画ではなく写真撮影を念頭にして、ピンボケ画像をシャープにするような状況を考えてみる。すると、本来のシャープな画像が、ボケることで解像度を下げている。ボケてしまった画像しかない状態で、本来のシャープな映像を推測したい。この場合、シャープな映像(仮定)を総当りで発生させ、それを計算でピンボケさせる。それを実際のピンボケ映像と比較し、差が最小のもののシャープな映像(仮定)を超解像結果とすれば良い。これを正面から通常の計算機で処理すると膨大な時間を要するが、量子コンピューターなら高速で処理できるのではなかろうか?
2)レンズ設計
レンズ1枚では収差を減らせないので、実用する上では複数のレンズを組み合わせて収差を減らすのが一般的である。ミラーレス一眼の交換レンズでも、レンズの組み合わせを入力すると収差を計算する優秀なソフトの発達により、どんどん画質の良いレンズが登場するようになっている。だが、レンズの組み合わせは余りに膨大である。10〜20枚を組み合わせるのは当たり前で、個々のレンズも形状は千差万別。そのような状況で最高画質を追求するのは容易ではない。結局のところ、過去のノウハウに頼って組み合わせを絞り、あるていどの方針に従ってレンズ構成を試行錯誤することになる。
しかし量子コンピューターであれば、あらゆる組み合わせを片っ端から調べることにより最高画質のレンズを実用的な時間で発見できてしまうかもしれない。
3)二人零和有限確定完全情報ゲーム
囲碁や将棋などプレイヤーが2人いるゲームにおいて、双方に可能なすべての手順を総当りで調べ、双方最適手順(解決)を計算する。これは、量子コンピューターが高速処理可能な範囲に含まれるのだろうか?
written by higashino [科学コラム] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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