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2022年4月4日(月) 22:20

レガシー3Dの活用

 VR180変換して良好な視聴環境が得られたことで、旧来3Dの難点と利点が明らかになって来た。

 難点は、まず近距離に対応困難なこと。視聴で疲労せず近距離の立体視を行うのは難しい。近距離の映像もかなり残っていたのだが、視聴で1日以上も尾を引く頭痛に悩まされる結果となり、公開を断念した。
 次に、立体感が弱いこと。立体感は距離が近いほど得やすいわけで、撮影距離を確保する必要がある関係からの必然だ。そのため、特に人物が立体ではなく切り抜いた板のように見えてしまうのだ。
 更に、機材の大半が両眼視差を確保していないこと。肉眼の両眼視差は64ミリと言われ、オキュラスでは60〜68ミリの範囲で調整可能である。しかし、旧来の3Dビデオカメラは、60ミリ未満のものが多く、この時点で正常な立体感が得られない。奥行きが狭まるのだ。おかげでレゴブロックが立方体ではなく、菱形に歪んだ気味悪い物体に見えてしまい、やはり公開を断念。

 こうして改めて確認すると、旧来の3Dが失速したのも仕方がないと言える。ここに挙げた欠点を解決しているのが、VR180 3D など昨今の仮想現実技術だ。
 ならば旧来の3Dはもう不用かと言えば、そうでもない。旧来の3Dには利点もあって、それが VR180 3D の弱点を補完してくれるのだ。

 利点は、欠点の逆で撮影距離が長くても対応できること。
 DUAL FISHEYE による撮影は、近距離にしか対応できない。DUAL だろうが何だろうが FISHEYE なのだから、近づいて撮るしかない。被写体に接近できない場合は、どうにもならない。ズームという概念は、VR180 3D には存在しない。
 ズームレンズの便利さと必要性について、改めて書くまでもないだろう。つまり、接近できる被写体を VR180 3D 撮影し、接近できない被写体を旧来の3Dビデオで撮影する。そういう役割分担が成り立つのだ。接近できなくても VR180 3D の撮影は可能だが、立体感という点では旧来の3Dビデオカメラをズーム無しで使ったのと変わらない。すると、被写体を大きく写せないというデメリットだけが目立つ。まあ 3D ではない VR180 ではあるが、それで満足できるなら DUAL FISHEYE など持ち出さない。

 多くの状況において前半球だけでも十分だとの知見に基づき、VR180 が生まれた。同様に、前半球どころか更に狭い範囲でも十分な映像も多いのだ。そういう映像は、旧来の3Dビデオカメラで撮影した上で VR180 3D 変換すれば良い(もちろん映像は中央部にしか存在しない)。
 それが接近困難な被写体である場合、十分に本来の VR180 3D の補完として存在価値があるのだ。 

 副次的ノウハウとして、輻輳角が重要なことを確認できた。
 仮想スクリーンを無限遠に設定するのは、良くない。無限遠のスクリーンは輻輳角がゼロになる。しかし映像は無限遠を撮影したものではない。それなりに近距離の映像だから、視差と無関係に頭は映像までの距離を想定する。それが数メートルしかないのに、輻輳角ゼロでは頭が混乱する。映像の内容に見合った距離に仮想スクリーンの距離を設定することで、視聴時の疲労が減るのだ。

 こうなると、旧来の3Dビデオカメラも確保しておきたくなる。
 だがまずは、手持ちの3Dビデオカメラを復活させるのが先だろう。

written by higashino [Virtual Reality] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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