Darkside(https対応しました)

2022年4月25日(月) 21:17

60p でも足りない

 動画においてはカクカク感を避けるため、高速シャッターは使わないのがセオリーになっている。確かに大抵の場合は、スローシャッターが良い感じに決まる。
 だが、動きの速い被写体とVRの組み合わせだと、コトはそれほど簡単ではないと分かって来た。

 通常の動画だと、高速移動する物体はカメラで追うものだ。スローシャッターだと背景は良い感じに流れ、被写体は停止に近い状態で見易い。何の問題もない。
 ところがVRでは、被写体をカメラで追わない方が普通。カメラではなく、ヘッドセットをかぶった鑑賞者が自分の頭を動かして被写体を追う。カメラは基本的に固定。そうでないと、現実感が失われるばかりかVR酔いの原因になる。そしてこの場合、スローシャッターだと被写体がブレてしまうのだ。

 駅を通過する特急列車など、視点を停止させていると良く見えない高速物体。
 現実世界だと、列車の動きに合わせて頭を動かすと、視野の中で一瞬の停止状態が得られる。
 VR世界で同様に頭を動かすと、視野の中にはブレた物体が停止するという、不自然なことになるのだ。
 ならばと高速シャッターにすると、今度は視点を動かさずに高速移動物体を見送った場合に動きがパラパラしてしまう。

 VRだと、高速シャッターでもスローシャッターでも、不自然な映像が出現してしまい、現実とは違うのだと我に返らされてしまう。
 当面は妥協として、180度シャッターということになるだろうか。
 いずれにしろこの問題が生じるような映像だと、60pでも明白に不足でありまして30pなどお話にならない。VRには、ハイフレームレートが望ましい。ただでさえ高い解像度の動画が必要なのに、要求ハードが更に高性能になってしまう。撮影機器はもちろん、再生機器も問題だ。オキュラスでは6K60pまでしか実用にならない。8K120pなんて撮影が可能だったとしても、それを再生できるパソコンなりヘッドセットなりが、どれぐらい存在するのだろう?

 こういう被写体は、まだVRには不適として通常撮影で済ませるしかないのかもしれない。
 普通のレンズを使い、普通の2D動画として撮影するのであれば、8K60pは十分なスペックだ。何でもかんでもVRで撮れば良いってものじゃない。

 ダンスなどは、問題がない被写体である。
 手足は高速で動くが、ふつう見ている方は手足の動きを目で追わない。視点はあくまで体付近を漂っている。こういう場合は、スローシャッターで何の不自然さも感じない映像になる。そして30pでも、大抵は実用的だ。

written by higashino [Virtual Reality] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

この記事へのトラックバックPingURL

Comments

TrackBacks

Darkside(https対応しました)

Generated by MySketch GE 1.4.1

Remodelling origin is MySketch 2.7.4