2023年3月30日(木) 21:54
キヤノンが EOS-R5 の大規模ファームアップデートで、IBIS を活用したピクセルシフトを実現するかもしれないと噂になっていたが、予想より早く実装された。残念ながら EOS-R5Cは IBIS を搭載していないので関係がない。
しかしこれで EOS-R5 mkII にピクセルシフトが搭載されることも確実になった。
現在、EOS R5/R5C に DUAL FISHEYE を組み合わせた場合の分解能は、約20PPD である。
これは、ステッチ時の解像度が片目あたり約3684ドットと公式に発表されていて、自作ステッチソフトでもその値を採用している。180度で3684ピクセルだから、1度あたり20ピクセル強となる。
肉眼は約60PPD とされているので、肉眼の3分の1の解像度しかないのだ。
搭載された IBIS ハイレゾは3×3なので、分解能が3倍になる。つまり、ほぼ肉眼と同等の解像度が実現される!
少なくとも静止画に関する限り、肉眼なみ分解能での VR180 3D 記録が遂に実現しそうなのだ。
通常ピクセルシフトでは色情報も収集するので、実解像度が記録解像度に劣るというベイヤーセンサーの欠点も目立たなくなる。これはキヤノン、本気でVRニーズを取りに来たな!
そう感じるファームアップだ。後継機で手持ちも可能になれば、大阪万博は肉眼解像度の VR180 3D で撮りまくれるかも・・・
だが、ここまで書いて重要な問題に気付いた。肉眼に追い付くのはあくまで記録解像度であり、レンズの性能は追い付くのだろうか?
DUAL FISHEYE のレンズとしての画質はLを名乗るのにふさわしいと評価しているものの、最高にカリカリの描写をするレンズではない。
もっと客観的に、理論から考えてみよう。
望遠鏡などでは、分解能は2点を見分ける最小の角度で定義する。60PPD の記録ならぬ実解像度を得たければ、1度の60分の1すなわち60秒角を見分けねばならない。
天体望遠鏡のカタログスペックでは、分解能は(116÷口径ミリ)秒角で記載されている。例えば、口径200ミリならば 0.58 秒だ。
分解能 60 秒以下を実現する場合、口径が1.93ミリより大きくなければならない。
DUSL FISHEYE は焦点距離が5.2ミリなので、口径1.93ミリ以上を確保するにはF値が2.7未満でなければならない。現実の DUAL FISHEYE はF値が2.8〜16なので、足りていない!
とは言え、F2.8 で撮影すれば「ほぼ足りている」とは言える。ピクセルシフトでは色情報も揃うことを考えれば、現在入手できる実写VR撮影機器で唯一、肉眼並の分解能で記録可能なものとなりそうだ。その場合、絞りは必ず開放にすること。
どうせ三脚に据えて静止画でしか実現できないのであれば、スライダー上でカメラを左右に移動させて2回撮りできる状況下に限り、DUAL ではない通常の円周魚眼で撮影した方が画質は上がるだろう。ただ残念なことに、いま RF マウントの円周魚眼は発売されていない。
この理論限界があるため、コンデジタイプのVR撮影機器で肉眼並の分解能を得るのは困難である。
よくある1/2インチセンサーの場合、円周魚眼レンズの焦点距離は1.5ミリぐらいしかない。これで口径を1.93ミリより大きくしようとすれば、F値が1よりかなり小さくなる。通常のレンズではなく円周魚眼レンズの場合、そこまでF値を小さくすることは困難だ。コンデジタイプでも豪華版なら1インチセンサーを積んでいるが、それでもかなりキツい。
written by higashino [Virtual Reality] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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