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2019年1月28日(月) 21:39

新IGBT

 回生型コイルガンの製作において、これまで2種類のストロボ用IGBTを使用した。
 まずは元祖コイルガン・ストームタイガーで活躍した GT8G121 である。これは1000回以上の射撃実績があったものの、その後壊れてしまった。
 次が、段数を増やした強力な手持ち射撃用コイルガンに採用した GT10G131 である。これは GT8G121 の次世代品種であり、ターンオンが若干遅い以外は性能がアップしている。ところが、データーシート上はスペックが上がっているにも関わらず、コイルガンに使用したら壊れまくった。コンデンサー電圧を下げても容易に壊れまくり、全く使い物にならなかった。
 ならばと GT8G121 に戻そうにも、そっちも開発中に壊れまくった関係で在庫が不足し、戻せなかった。

 こうして、コイルガンからはいったん手を引いた。回生型に耐えられるスイッチング素子が無い。まだ、科学技術がアイデアに追い付いていない。

 しかし元祖コイルガン・ストームタイガーは、曲りなりにも1000発以上は生きていた。もう少しだけスイッチング素子を冗長化すれば、復活可能なのではないか?
 そこに幸いにして、主砲コイルや装填装置など作り直すには手間が掛かり過ぎるパーツを捨てずに保存していたと判明。こうして、レストアする気になった。

 ここで念のため最新のIGBT事情を調べたところ、意外な方面で情報が引っ掛かった。それは、ストロボ用IGBT本来の用途である、カメラのストロボである。
 安物の中華ストロボを買ったらすぐに壊れてしまい、IGBTだけ買ってきて自力修理したという話題である。そこで使用されているのが、今回新たに入手した RJP5001APP という次第。

 一般に、ストロボ用IGBTは極端に入手が困難である。GT8G121 も GT10G131 も、筆舌に尽くし難い苦労の末に入手した。だから、GT8G121 を追加購入しようなどど簡単に決断できない。これに対し RJP5001APP は、容易に入手できる。だからこそ、一般人が修理に使用しようって話になる。
 興味を引かれたのは、ストロボの故障内容だ。カメラ用ストロボは一般に、フル発光だけでなく発光量を落とすことができるし、発光量を落とせば連続発光できる。それを可能にするのが、ターンオフ可能なIGBTというスイッチング素子である。故障内容はフル発光しかできなくなるというもので、これは明らかにIGBTがターンオフできなくなっていることを意味する。

 コイルガンでも、IGBTが壊れるのはターンオフと相場が決まっている。
 ターンオフがキチンとできて、しかもターンオフ時の破壊が再現されない。そのような修理パーツとして RJP5001APP が推奨されているのだ。だとすれば、コイルガンにも適しているのではなかろうか?
 コイルガンでIGBTを壊しまくり、原因を調査しまくり、何が問題なのかほぼ明らかになっている。I2t である。IGBTのデータシートにはI2t が記載されていないが、記載されている素子から類推すると、パッケージのでかいものほど I2t 耐性が大きい傾向にある。

 その点からも、RJP5001APP は期待できる。パッケージがでかいと限られた空間に実装するのが困難になるので、つい「劣っている」という目で見てしまう。もちろん巨大なブロック型IGBTではラジコン戦車に搭載できないが、RJP5001APP のサイズなら許容範囲である。

GT8G121 GT10G131 RJP5001APP
耐圧 400V 400V 500V
連続耐電流 8A
パルス耐電流 150A@1ms 200A 300A@2000μF
飽和電圧標準 3.5V 2.3V 4.7V
飽和電圧最大 7V 10V
ゲート操作電圧 4〜6V 4〜6V 12〜17V
ゲート入力容量 3800pF 2800pF 2050pF
ターンオン時間 4.8μ秒 5.9μ秒 0.53μ秒
ターンオフ時間 3.8μ秒 3.8μ秒 0.75μ秒
ターンオフdV/dt 400V/μ秒 400V/μ秒 1000V/μ秒

 それだけではない。RJP5001APP は、ターンオフが高速な上に dV/dt 耐性も大きい。ターンオフを高速で行えば、I2t は減少する。これだけでも、以前のIGBTに比べて圧倒的に強い。
 唯一飽和電圧だけが高めだが、より大容量のメインコンデンサーに対応可能なので、容量を増やして押し切れば良い。

 この RJP5001APP が、コイルガン・ストームタイガーのレストアを決断させた最後の一押しとなった。
 GT8G121 が実用ギリギリ境界線だったことを考えると、並列数を GT8G121 の半数にした RJP5001APP が実用になる確率は、かなり高い。この場合、新ストームタイガーにおける使用総数は16個となり、実装空間は確保可能だ。
 以下、データーシートの追記。

・耐圧は500Vだが、コンデンサーは300V以内が望ましく最大350Vまで。
・電流は200A以内が望ましく、最大300Aまで。
・メインコンデンサーは1500μF以内が望ましく、最大2000μFまで。
・ゲート電位は12V以上あれば良いが、14V以上を推奨。

・300A以内のパルス通電で、寿命は5000回。
・電圧が加わっている時間が、合計5000時間で寿命。
・射撃間隔は5秒以上開けるのが望ましい。
・スイッチング周波数は70KHz以内で。

 コイルガン戦車で問題になるのは、寿命5000回というところぐらいだ。開発中に1000〜2000発を撃つ可能性があるが、本運用を開始したら3000発とかそう簡単に撃ち尽くせるものではない気がする。
 またゲート操作が12V以上必要なので、ローサイドもPIC直接ドライブはできない。6箇所のスイッチングすべてで、TLP250のお世話になる。

written by higashino [コイルガン戦車 1/24] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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2019年1月25日(金) 23:59

ターンオフサージ

 コンデンサー充電器の基本は成功したが、実用にするためには正確な電圧で停止させねばならない。ところが簡易に試験したところ、全く停止しない。しかし、電圧は正常に認識できているようだ。充電停止中は。
 充電を開始すると、電圧が認識できなくなる。そこで、A/D変換前の分圧電圧をオシロで確認。

 その結果、強烈なサージが発生していた。明らかに、チョッパー周波数と一致している。これで電圧を事実上マトモに認識できなくなっているようだ。

 分圧抵抗を充電器基板ではなくメインコンデンサーに取り付け、分圧結果だけを引き込むと見掛けのサージはマシになった。しかし、それでも充電が停止してくれるほどではない。

 青線はバッテリー電圧であり、こっちはサージがあるものの小さく、チョッパー周波数の決定に大した影響は出ていない。

 念のため青線でFETゲート電位を重ねると、予想通りサージの発生はターンオフに一致していた。大量量のメインコンデンサーで平滑が効くはずなのに、それでも激しいサージが計測されている。これでは電圧を正確に把握できない。だが、サージの発生タイミングは明確である。

 そこでPWM割り込みを使い、ターンオフ直後を回避したタイミングでサンプリングを行うようにしてみた。すると、嘘のようにA/D変換値が安定するようになった。この程度のスイッチング周波数だと、8ビットPICでも充分にタイミング回避して処理する時間がある。
 ただし、PWM割り込みを使うと、PWMを停止できなくなる。停止すると割り込みも発生しなくなり、コンデンサー電圧をモニターできない。まあそういうのは小手先の回避策でどうにでもなる。

 若干厄介なのは、本番充電器では2つのコイルを交互に動かすこと。つまり、サージ発生頻度も2倍になる。サンプリングのタイミングをしっかり管理しないと、サージを拾うかもしれない。
 その試験を行うには、2つのコイルを実装した充電器を製作せねばならない。

written by higashino [コイルガン戦車 1/24] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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2019年1月24日(木) 21:37

メインコイル選定

 コイルは秋月でも売っているが、大型のものは無い。
 秋月コイルの中でも大きな方に属する3つを用意。手前のでかいのが、昨日使っていた本命コイル。
 でかいコイルほど、高価。

 まずはインダクタンスを測定したところ、公称とまるで掛け離れた値ばかり。そして三者三様バラバラだ。
 取り合えず試験基板に順番にハンダ付けし、動かしてみる。インダクタンスの違いにより、チョッパー周期を変える必要がある。それでも、周波数変更のために各種容量のフィルムコンデンサーを交換していた時代に比べれば気軽になったものだ。何より、半端な値でも自在に設定できるのが強い。

 結論として、コイルのでかさと言うか価格が性能と連動していた。

 高いでかいコイルほど、充電能力が高い。インダクタンスは無関係に見える。

 200円のコイツが、本命コイルほどではないが最高性能を出した。
 本命コイルとの性能差は、3%ていどしかない。

 平均電流も予定の0.9Aまで少し余裕があるので、ちょっと平均電流を上げるだけで昨日同様の性能になる。

 これだけのサイズ差があるのに性能差は3%しかないのだから、小さい秋月200円が魅力的である。

 コイルガン充電器が副次的なパーツでしかないラジコン用ガスガンなら、文句なしに秋月200円の採用だろう。
 コイルガン充電器が重要な意味を持つコイルガン戦車でも、コイルの直径が充電器の占有空間を決定付ける。秋月200円コイルならば、5〜6ミリ長いメインコンデンサーを搭載可能になる。旧充電器に比べれば、ほぼ1センチ長いメインコンデンサーを搭載できる。

 これは、非常に大きなアドバンテージである。
 ストロボ用コンデンサーは極端に入手が難しく、希望サイズのものが買えるとは限らない。設置空間に余裕が生まれる意味は、大きい。

 本命コイルは秋月200円コイルに比べ、インダクタンスが2倍半以上ある。

 コイルを取替え引替えしたところ、性能とインダクタンスに相関を感じなかった。そこで、23巻きほどいて、秋月200円コイル並のインダクタンスに落としてみた。
 これにより、直流抵抗が減少する。秋月200円コイルのインダクタンスで充分に役立つのだとすれば、性能が上がるかもしれない。

 だが実験すると、性能は秋月200円コイルよりも低くなった。
 さすがに手巻きではなく市販品となると、巻き数は最適化されているようだ。

 これで、秋月200円コイルの採用が決定した。

written by higashino [コイルガン戦車 1/24] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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2019年1月23日(水) 21:50

充電器快調

 実験用基板を、伝統のテストセットに接続。

 バトルタンク修理のため、新しく1台をオクで入手するつもりである。
 マルイのバトルタンクは生産終了品なので、キャタピラ等のオプションを確保しておくことも重要だ。適価であれば、バトルタンクは確保しておくべきだ。
 修理で必要なのは主砲だけなので、それ以外の車体は余る。ならばそれで、コイルガン戦車の車体を新たに作り直すことが可能だ。

 エネループ6本仕様が現状だが、オリジナルと同じ8本仕様にできる。当時は8本も必要なことが厄介に感じたが、プロポの電池が2本だけで済む現在、より多くのエネルギーが使えるという意味で8本の方が遥かに魅力的である。
 また、BB弾発射機能と同様に重視している「走り」の点でも、6本から8本になれば最高速が上げられる。コイルガン戦車は重いだけに、パワーに余力がある意味は大きい。

 かくして、電池ボックスは6本用と2本用を用意。スイッチ2箇所で、6Nと8Nの切り替えが出来るようにしてある。そして、実験用基板の消費電流を計測できるようにアナログ電流計。目安は平均電流1.8Aだが、コイル1つで試験するため0.9Aが目安。そこで、電流計はフルスケール1Aのものを使用。

 まずは、キープしていたコイルの中で最大の奴から。これでも、旧コイルガン充電器のメインコイルより一段階小さい。

 昇圧チョッパーは消費電流が激変する。そこで、入力側に平滑コンデンサーを接続するのが非常に効果的である。コンデンサーが無いと、消費電流が変動しまくりコイルも鳴く。このコンデンサーを付けると、電流計の針が安定し、コイルは静かになり、そして充電速度は上がる。
 ほんと、目に見えて違う。いや、耳にも聞こえて違う。昇圧チョッパーと言えば、キュイーンと独特の動作音がするイメージだが、あれは入力側の平滑容量不足らしい。もちろんスイッチング周波数を基本とした音は出ているだろうが、通常は「キュイーン」という擬音よりはかなりの高周波のはずである。

 充電能力は、放電抵抗をONにしたまま動作させると分かり易い。このテストセットは、2KΩのセメント抵抗が5直列になっている。仮に100Vで平衡すれば、1ワット。200Vで平衡すれば4ワットとなる。非常に計算し易い。

 6Nならば約211Vで、8Nだと約244Vで平衡した。すなわち、充電能力はバッテリー電圧にほぼ正確に比例している。いずれも、平均消費電流は0.83Aぐらいで同一。バッテリー電圧からチョッパー周波数を自動変更するという方式は、非常に有効に機能していることが分かる。バッテリーが消耗しても、平均電流は一定のまま比例して充電能力が低下するだけだ。
 エネループを充電すると、初期電圧は1.45Vぐらい。消耗して1.25Vを切ると急激に終了する。1.2Vまで低下した時点では既に空同然だ。電圧変動は2割に満たない。つまり、充電器の性能も、2割以下の変動しかない。

 パーツの誤差も考慮して最悪を想定してもバッテリー消耗状態で、6Nで3.5ワット以上、8Nで4.5ワット以上は確実に出せる。
 本番では2つを交互に動作させるから、6Nで7ワット以上、8Nなら9ワット以上となる。その時点で平均消費電流は、1.7A未満。この試験では消費電流に DC-DC コンバーター分も含んでいるため、車載時の効率は更に高い。
 間違いなく、旧充電器よりも高性能だ。8Nで作り直すとして、実動時の性能は旧充電器の2倍になるだろう。

 基本的に、コンデンサー充電器の開発は成功したと考えて良いだろう。完成には、充電停止電圧の安定化とか副次的機能の実装が必要になるが、天王山は超えた。
 次はいちおう、より小さなコイルでの性能チェック。FETがでかいため、これより小さなコイルが実用になってもそれほど意味はない。しかし、確認しておく意味はある。

 なお、コンデンサー充電器はラジコン用ガスガンでも使用する。そっちは6N確定なので、6Nでの性能確認も必要だ。

written by higashino [コイルガン戦車 1/24] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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2019年1月22日(火) 22:07

分圧失敗

 コイルガン戦車とラジコン用ガスガンの両方で活用することを考えた、新型コンデンサー充電器。まずは適正なコイルと定数を探るため、実験用基板を作成する。

 手始めにバッテリー電圧をモニターしたところ、少しずつ電圧が上昇して行く。安定するまでに分オーダーの時間を要する。
 PICソフトのバグを疑ってテスターで電圧を見ると、実際にゆっくりと上昇する。しかも、上昇した後にテスターを当てると、ゆっくりと下降したりする。電圧が安定するまで論外に時間を要するばかりか、僅かな外乱で値が変化しまくる。
 なるほど、これじゃ高電圧の測定に分圧コンデンサーが使用されない訳だ。

 分圧コンデンサーが実用になるのであれば、電荷を無駄に捨てる分圧抵抗など誰も使わないだろう。だから何らかの問題を秘めているのは明白だったが、やはり問題が実証されると未練が残らないというメリットがある。
 仕方ない、旧充電器のように分圧抵抗に戻そう。

 さてそうなると、電荷が無駄になるため電圧測定は1箇所だけで行いたい。悩ましいのは、測定結果を複数のPICが欲しがること。
 コンデンサー充電器の制御PICは、バッテリー電圧とコンデンサー電圧を把握したい。一方で送信機にテレメトリーを送り返す受信機PICも、バッテリー電圧とコンデンサー電圧を知りたい。
 そのため当初設計では、コンデンサー充電器が自らの把握した電圧を受信機PICに送信することになっていた。だが、そのために3線余計に必要になる。これは、大きな欠点だ。

 分圧コンデンサーが使えれば、気にせず2つのPICが別々に電圧を測定しても良かった。だが、分圧抵抗を2箇所に設置するような無駄は避けたい。

 バッテリー電圧に関しては極端な高精度は必要ないので、分圧点から2線引き出して2つのPICへ接続すれば良いだろう。
 問題は高精度が欲しいコンデンサー電圧だが・・・まてよ精度を得るためのコストは、大半が高精度の基準電圧だった。非常に高価な精密基準電圧を、2つのA/Dコンバーターで共有すれば良い。そして2つのPICはそれぞれA/Dコンバーターを1つずつ専用に支配する。これならば、それほど高価ではないA/Dコンバーターを1つ増やすだけで済む。

written by higashino [コイルガン戦車 1/24] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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