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2010年2月8日(月) 21:38

そして勢いで接着

 アルミがハンダ付け出来ないものだから、パーツはすべてオートウエルドによる接着。硬化まで時間掛かりまくるのが辛いし、側面のスペーサーは半端硬化の段階で調整せねばならない。

 コンマ数ミリしかアソビがないため、スペーサーの先端が僅かに突き出ただけでもレンズを奥まで押し込めなくなる。
 せっせとグラインダーで削る。

 レーザー光学系なのに削り屑が残ってるとマズいので、作業の要所で水洗いと超音波洗浄を繰り返す。

 レンズを押し込んだ後に、奥にそのまま押し付けて固定するための中空ネジは水道管そのもの。それを保持しているフタを取り外し可能にしておくことで、将来レンズを取り出すことも出来る。

 フリーハンドによる接着なので、足の位置が揃っていない。しかし、ネジ止め位置の調整で対処可能な範囲だ。

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2010年2月7日(日) 19:02

とにかく勢いで作る

 何はともあれ次の目標であるSHG変換試験に向けて、必要な製作を行う。
 集光レンズの保持方法にかなり悩んだのだが、ほぼ構想が固まった。ジャンクパーツを漁って使えそうな筐体を探し出す。穴の直径が26ミリ弱で、1インチ光学系を収めるのにピッタリだ。

 固定のために水道管パーツを利用。残念ながら水道管関係の標準は26ミリのようで、僅かコンマ数ミリの違いにより差し込めない。

 一回り細いパーツを使い、固定金具は少し削ってハメようと考える。だが、1インチのレンズは側面から差し込むことは出来ず、正面の穴から落とし込まねばならない。下手な構造にすると、二度と取り出せなくなる。
 別に取り出せなくても良いという考えはあるが、それも製作に成功すればこそだ。以前失敗した薄ディスク共振器のパーツを流用しようとして、接着を外せず流用不能になっていていま泣きを見ている。

 レンズ1枚でも、レーザー用はそこらの市販品とは隔絶したシロモノである。取り出し不能にしてしまうのは、相当な決心が必要だ。

 エアガンのピストンヘッドではない。

 ジャンクパーツだが土台の部分をくりぬき、水道管パーツを通せる穴にする。
 ↑写真のパーツのフタになる。高さ37ミリなのでセンターまでは18.5ミリ。これにステンレスの足を取り付けると厚さ2ミリが加算され、20.5ミリとなる。レーザー光軸の中心は高さ20ミリ強だから、そのまま取り付けて調整可能範囲に収まる計算だ。

 レンズは3方向から支える。

 1方向は真下であり、ビームエキスパンダー固定金具を製作した要領でステンレス板にスペーサーをハンダ付けする。
 残る2方向のための穴を開け、接着に備えて表面塗装を剥がしておく。アルミだからハンダ付けできない。

 穴の位置がズレてしまったが、後から何とか辻褄合わせるしかない。

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2010年2月6日(土) 17:06

今後の開発計画

 マルチパス増幅やろうとすると、予定の増幅器は使えない。入り口も出口も1方向しかなく、側面は励起用LDで埋まってるから光の出し入れは出来ない。どうしてもこれでマルチパスやろうとすると、レーザーを偏光させる装置を設置して偏光板やミラーを駆使することになる。そうなると、どう考えても普通に光共振器を組み立てた方がマシだ。
 また、増幅器内部で結晶を一様に励起するのは難しく、どうしても加熱ムラが出る。これは屈折率のバラつきによって透過するレーザーを乱す。マルチパス増幅やれば乱れも複数回積み上がってビーム品質が急激に悪くなる。

 ビーム品質が悪くなると集光しても綺麗なスポットにまとまらず、グリーン変換の効率が低下する。

 光共振器なら最初から飽和増幅出来るし、タネ火レーザー不要などパーツの数も少ない。問題は、光軸調整が絶望的に難しいこと。
 ここで1つの可能性に思い至った。確かに考えつくあらゆる手段で光軸調整しようとして駄目だったが、いま手元には新しい手段が1つある!
 それは、YAGレーザーだ。VECTOR 1064 だ。

 左図は、グリーンレーザー開発を一度諦める直前。最終盤に試した光軸調整法である。ここでは、右端の薄ディスク結晶を出力平面ミラーに置き換えて見て欲しい。

 ビームスプリッターを共振器内部に設置し、調整用のグリーンレーザーを照射。合わせ鏡の像を観察して調整するというものだ。
 この方式が失敗したのは、共振器ミラーの反射率が原因である。1064nmを全反射する誘電多層膜は、532nmグリーンの反射率が1割程度しかない。このため、調整用レーザーが一往復しただけで強度が激減し、やってみると合わせ鏡としての像を観察するのが不可能だったのである。
 このとき、1064nmの光源が欲しいと思った。それが今は手元にある。

 VECTOR 1064 ならば、共振器ミラーで全反射される。ビームスプリッターを透過するたびに強度が半減するとしても、合わせ鏡の像を観察できる可能性はかなり高い。もちろん肉眼では観察出来ないが、安全面の問題があるためそれは可視光レーザーでも同様だ。
 自作共振器が実現するとタネ火レーザーは不要となるが、光軸調整手段という極めて重要な役割を得ることとなる。調整出来てしまえば、ビームスプリッターの代わりに結晶オーブンを設置してキャビティー内SHGやれば良い。

 という訳で、今後の開発計画を以下のように決めた。成否は、発生したグリーンレーザーの光出力によって判定する。

 

1)増幅器無しでのグリーン変換

 何はともあれグリーン変換の効率が低ければ話にならない。切り札のLBO非臨界位相整合の効力を確認する。ここでまっとうな変換効率が出ないようでは、先に進むのは論外。何とかなりそうだったら、2)以下の目標グリーン出力を具体的に設定する。実は目標値はとっくの昔に決まっているのだが、1)で余りにショボいことになったら公開したことを後悔するハメになる。だから、1)が成功するまでは秘密にしている、というのが正しい。

2)増幅器にNd:YVO4を搭載し増幅試験

 これを行うには、光出力180ワットのCWレーザーダイオード用電源を開発せねばならない。
 ここで満足の行くグリーン出力が得られれば当初計画の通りであり、各ユニットの完成度を高める仕上げ行程に進める。
 出力不足の場合は3)〜5)を行うが、どれを先に試すかは2)の結果を見ながら変わる可能性アリ。

3)増幅器の両側にミラーを設置して光共振器に再挑戦

 タネ火レーザーを光軸調整用に利用することで、共振に再度挑戦する。Nd:YVO4は2本つなげて使うため、増幅器はともかく共振器としてはうまく働かない可能性がある。しかし無事に共振すれば開発は終了し仕上げ行程へ進めるだろう。

4)増幅器に Nd:KGWを搭載し光共振器に再挑戦

 駄目だったらレーザー結晶を Nd:KGWに戻して共振させてみる。グリーン化にはBiBOだけでなくLBOも使用可能。基本波は1064nmではなく1067nm となるが、LBO非臨界位相整合では僅かに温度を下げることで対応可能。

5)励起用LDをQCWに交換してみる。

 これを行うには、光出力900ワットのQCWレーザーダイオード用電源を開発せねばならない。

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2010年2月5日(金) 21:06

増幅器の基本

 増幅器には考えるべき問題が大量にある。
 まずは原理だが、レーザー媒質にエネルギーを注入し励起状態の原子を蓄積しておく。ここにレーザーを照射すると、誘導放出が発生してどんどんレーザーが強くなる。

 ある光子が、どの程度の範囲の励起原子に誘導放出を起こさせるかという値が、誘導放出断面積である。これが広いほど、急激に誘導放出が雪崩を打って大きくなる。つまり、増幅器としては増幅率が高くなる。

 レーザーというデモ行進の参加者が周囲にもデモを呼びかけると、賛同した連中がデモに加わってデモ隊の人数が増えていく。そんなイメージである (^_^;)
 従って、最終的なデモ隊の人数を増やすには、条件がある。

1)最初のデモ隊の人数が多い(タネ火レーザー出力)
2)呼びかける声が届く範囲が広い(大きな誘導断面積)
3)参加予備軍の人口密度が高い(励起状態の原子が多い)
4)デモ隊の行進が長く続く(レーザー結晶が長い)

 この際だから原子ではなく分子と呼ぶか?(汗)

 まず1)だが、空冷で追い付かないほどタネ火レーザーの励起用LDをパワーアップするとシステム重量に影響が大きい。従って現状から大きく上げるのは難しく、QCWの3ワットという定格で考えねばならない。この部分は定電流回路の開発により若干の改善を行える。と言うより行わねばならない。

 次に2)だが、これはレーザー結晶の種類によって決まってしまう。Nd:YVO4はNd:YAGに比べると4倍以上の誘導断面積を持ち、遙かに大きな増幅率が期待できる。2本接続というハイリスクを犯してでも採用したくなる。

 3)に関しては、一般人を参加予備軍(励起状態)にするための励起用LD(アジテーター)の照射エネルギー「密度」を高めることで高くなる。単に密度を上げるだけならレンズで集光すればいいのだが、そうすると実質的に4)が短くなるから難しい。励起用LDをQCWにすれば、4)に影響を及ぼすことなく3)を高められる。ただしQCW増幅器はタネ火レーザーもQCW発振の必要があり、両者の周波数は一致させねばならない。

 4)には補足があり、一度通過したデモ隊がまた戻って同じ事をやればデモ隊を更に増やせる。これがマルチパス増幅である。

 

小信号増幅と飽和増幅

 参加予備軍の人口密度は、デモ参加者が増えればその分だけ低下する。予備軍→デモ本隊へと変わった訳だ。
 デモ隊が増えると低下量も大きくなり、デモ隊の膨れあがるペースも低下する。デモ隊が少ないうちは、ほとんど低下しない。
 参加予備軍すなわち励起状態のエネルギーが殆ど変化しないとみなせるような少人数のデモ隊について、どの程度のペースで膨れあがるかを小信号増幅率と呼ぶ。 

 一方でデモ隊の立場からすれば、参加予備軍は根こそぎデモ本隊に参加させたい。予備軍の大半をデモ隊へと巻き込んでしまうような増幅を、飽和増幅と呼ぶ。

 より強力なレーザー発振を目指すなら、もちろん飽和増幅させたい。
 だが、1パス増幅では困難である。少なくとも、タネ火が入射する側ではまだデモ隊が少なく、小信号増幅とならざるを得ない。かと言ってマルチパス増幅は、それはそれで難問を大量に抱えている。

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2010年2月4日(木) 21:52

ちょっと焦ったが動作

 完成したパワーメーターで励起用LDの測定を行ったところ、表示が0から動かない。

 808nm は僅かにカメラ感度があるため、発振しているかどうかは簡単に確認出来る。確かに受光部に当たっているのに、0.000がずっと続く。
 電源が入っていないなら、液晶表示も行われないはずだ。また、出力が接続された上での何かのミスなら、完全に表示が0.000というのは考えにくい。下位の桁が動いてしかるべきだ。

 そうなると、最初から配線が接続されていないという可能性が高い。チェックすると、パネルメーターへの電圧入力が1列ズレていた。これでは無接続と変わらない。
 パネルメーターの端子は片側6ピンだが、なぜか6列のピンヘッドが売っていなかった。仕方なく使わないピンを挟んで4列と2列に分けたが、これで配線時に錯誤したようだ。
 4列と2列のピンヘッドを隙間無く設置しようとしても、差し込めない。側壁が厚過ぎるのだ。

 励起用LDは、光出力11ワット以上出るものの10秒程度で9ワット強に落ちる。その後は9.1ワットでほぼ安定。
 定電圧+電流制限抵抗ならではの動きか。

 写真では、表示が切り替わる瞬間に撮れたようだ。

 続いて、YAGレーザーの出力を測定してみる。ビームエキスパンダーを通った後で、CW発振だと3.1ワット。QCW発振だと2.6ワットで安定。思っていたよりもQCWに伴う出力低下は少ない。
 QCWでも最初の10秒程度は3ワットを越えるので、ちゃんとしたカレントコントローラーを製作して励起用LDを動かせばQCWの3ワット出力も可能だろう。

 結晶オーブンのプログラムも少しずついじっては温度収束の状況を観察している。困ったことに、余りインテリジェントな制御は出来ない。熱容量の存在により温度変化にも慣性があるため、それを考慮して先回りの制御をしたい。ところが、それには現在温度だけでなく温度変化の速度を把握していなければならない。
 だが、A/D変換の分解能が10ビットと低いため、まともな計算は無理なのだ。少なくとも16ビット精度が欲しくなる。

 設定温度との乖離を元にした単純処理だと、ある程度安定するまで5分。ほぼ完全に安定するまでは10分程度を要する。もちろん加熱に要する時間に加えてだ。それでも日常運転になれば問題は小さいが、実験運転では少々困る。というのは、安定状態からターゲット温度を1単位(約0.2度に相当)変化させると、これまた安定に10分ほど掛かるのだ。実験時にはボタンで、ターゲット温度を変化させるのではなくPWM値を直接変化させる方が使い勝手がよさそうである。

 しかしもっとプログラムを煮詰めないとリスクがある。通常の室温変化なら問題ないが結晶をレーザーが透過することによる加熱で不安定になる可能性がある。PICのアセンブラで複雑な計算を行わせるのは難しく、単純な制御アルゴリズムを組むだけでも相当に時間を食われる。

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