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2016年8月12日(金) 21:00

命のバックアップ

 ノード同士の接続と、各接続の信号強度。そんな単純なハードウェアで知能が実現できるというのは、直感的に納得し難い。それゆえに、自我とは何か?知能とは何か?魂は存在するのか?などなど哲学的な疑問が生じていたと思われる。
 しかし試してみると、数万ノードと数百万接続というオーダーでも、単機能であれば相当に知的な作業が可能だと判明した。
 人間の脳には、数百億ノードに兆単位の接続が存在する。それほどの規模になれば、十分に知的な振る舞いが可能だろう。
 これが知能のすべてであり、自我も意識も人格も魂も実現されている。そういう考え方は別に新しいものではない。単に、それが正しい可能性が高まっている、というだけだ。

 いったんこれを認めると、派生していろいろなことを考えてしまう。

 知的生命を「ダウンロード」したり複製したりする(それが可能である)というのは、古典的な考えだ。
 ディープラーニングでの経験則として、信号強度は16ビット精度で実用になるらしい。となると、接続1つあたり2バイトで表現可能。
 ノードは小脳1000億を含めて、5バイトあればIDを割り当て可能。接続先リストを並べると、1接続あたりやはり5バイトで、信号強度に2バイト。大雑把に、8バイトあれば1接続を表現できる。
 やや多めに見積もって脳内に10兆接続あるとしても、80兆バイトすなわち80テラバイトあればダウンロードできる。

 最近のHDDはコストパフォーマンスで3TBあたりがベスト。8TBだって2〜3万円で買える。個人がRAIDを組めるレベルで、1人の人間のすべてをダウンロード可能ということだ。信号強度に16ビットでは不安だから24ビットあるいは32ビット使ったとしても、1接続あたり1バイトないし2バイト増えるだけなので大勢に影響はない。
 接続数に関してはノート1つあたり数万という説もあるので、そうなると何桁が増えてしまう。だが、それでもハードウェア的には「命」のバックアップを取るというのは現実的な話になっている。

※もちろん、神経細胞の結線と信号強度を、どうやって読み出すのか?という最大の問題は放置されている。

 想像は際限なく広がってしまうが、まずは命のバックアップを考えてみたい。
 人間は、脳の神経細胞にある程度以上のダメージを負うと、死ぬ。死んだ人間は、生き返られない。それは、壊れたHDDからデーターが永遠に失われるようなものだ。データー復旧サービスというものもあるが、実際にはデーターが消えていないから可能なのであり、銃弾に破壊されたHDDからデーターを復旧させるのは頭を撃ち抜かれた人間を生き返らせるぐらい不可能である。

 確実に破壊されたHDDのデーターを復活させる手段は、バックアップから戻すことしかない。
 では、脳のすべてをダウンロードしてバックアップしてあったとして、死後にそれをレストアしたら「生き返った」と言えるだろうか?
 HDDのデーターは、バックアップを取った時点までしか復活しない。それ以降に書き換えられたデーターは、復活しない。それでも、実用上は大抵の場合何とか許容範囲だろう。
 同様に、復活脳もバックアップを取った時点までの記憶しか持っていないはずだ。それでも人格はほぼ復活であり、十分に生き返ったと考えて良いのだろうか?

・脳のバックアップを毎日取れる程度の、個人使用可能なお手軽超科学装置。
・脳神経細胞を培養し復活させ、そこに脳のバックアップをレストアできる超医療。

 そういうものができて、注意深くバックアップを取っておく生活が当たり前になったとして、死に対する恐怖は薄れるだろうか?

written by higashino [科学コラム] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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2016年8月11日(木) 20:07

知能とは

 お盆休み中に、また人工知能に関連して考えてみたい。
 その間は、裏でTASのためのスクリプトを走らせっ放しにしている。手動作業が必要なTAS関連作業は、何かと多忙なので手を出し難い。

 さて、またまた人工知能ネタとは、どういうことか。
 宇宙開発ネタもそうだが、何か新しい思い付きがあれば記事を書きたくなる。宇宙開発でいえば、最近のキッカケは「知的生命体は人口爆発しない」という考え方だった。
 今回の記事を書きたくなったのは、「知能はニューロンだけで成立する」という考えが浮かんだことがキッカケだ。

 脳の神経細胞の構造を模倣したニューロネットワークは、古くから計算機の世界で活用されていた。家電製品がニューロとかファジーとかいう宣伝文句を使っていたのは、驚くほど昔である。
 多層構造の神経細胞がネットワークを形成している脳の構造およびそれを模倣したニューロネットワークに関しては、余りに周知としてここではわざわざ説明を繰り返さない。

 さて、電子回路として実装されたニューロネットワークは、昔からそれなりに有用だった。しかし、実現できることにも限界があり、長らく放置状態だった。だが、最近になって再び脚光を浴びるようになった。構造が多層になると効果的な学習ができなかったのが、効果的に学習させる手法が開発されたのである。これで従来は実用できなかった多層ネットワークが実用になり、そうすると従来は無理だったさまざまなことができるようになったのだ。
 通常のプログラムが苦手な画像認識、あるいは直感と呼ばれるような何か。人間の脳が簡単に出来るのに、コンピュータープログラムでは実現困難なことが、ニューロネットワークで実現できるようになった。AlphaGo などは、コンピュータープログラムが得意な局所的な先読みが苦手で、人間が得意とする対局感では人間を遥かに凌駕するという逆転現象まで生じている。

 そこで、前述の話に戻る。
 もしかすると、人間の知能のすべては、ニューロネットワークだけで実現可能なのではないか?
 人間の知能のすべては、脳に存在する神経細胞だけで実現されているのではないか?
 これには、自我や意識というものも含まれる。

 すなわち、魂などというものは存在しない。すべては、脳に存在する神経細胞によって生み出されているのだ・・・と。

written by higashino [科学コラム] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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2016年5月16日(月) 21:41

時代遅れの鉄道

 人工知能の導入について、どうも良く分からないことが多い。すなわち、さっさと導入してしかるべき分野が放置されているのだ。
 特に、鉄道関係に多い。鉄道は自動改札の導入により、人間を機械に置換する点では先を進んでいる。だが、人工知能は導入しようとしない。

 クルマの自動運転が大きな話題になっているのに、鉄道の自動運転はちっとも進まない。2次元の移動であり、行ける場所の自由度も広いクルマが自動運転できそうなのに、決められたレールの上を1次元で移動する鉄道が、なぜ自動運転できないのか?
 難易度からすれば、クルマよりも桁違いに簡単なはずだ。はっきり言って、MSXみたいな8ビットパソコンでも鉄道の自動運転プログラムは作れるだろう。

 システムという点でも、鉄道は明治時代から進歩していない。
 数多くの鉄道を衝突させずに運行させるノウハウが明治時代の日本にはなく、外国人技術者はノウハウを教えてくれない。盗み見てダイヤグラムという技術を知ったという逸話が残っている。平成になっても、やってることは当時と同じである。
 鉄道が遅延すると、関係する列車すべてが遅延するのだ。特急が遅れているので、この列車もこの駅で通過待ちします・・・という類の放送を誰でも何度も聞いたことがあるだろう。これがダイヤグラムの欠点である。

 ある列車が遅れたり、事故が発生したりする。その時に人工知能が新たな最適ダイヤグラムを組み直し、臨機応変に場合によっては普通列車を先行させる。そうやって、全体の遅延被害を最小限にする。そのような人工知能をなぜ導入しないのか。

 もっと細かなことを言えば、鉄道を時間厳守で動かすのが難しいのは、時刻表よりも早く出発させないからである。
 いろいろな事情で、鉄道が遅れることは多い。時刻表よりも早く出発させないから、遅延は常に積み上がる。だから、遅延させないことは至難であり、現場に過大な負担が生じる。
 たまたま時刻よりも早く着いた列車は、そのまま早く出発させれば良いのだ。
 時刻表よりも遅く出発する列車もあれば、早く出発する列車もある。平均すれば時刻表の時刻に出発している。そのような運用を行えば、時刻表通りに運行するのは遥かに楽になるはずだ。

 ダイヤグラムを人工知能で動的生成させる。それにより、遅延や事故の影響を最小限にし、出発タイミングの柔軟性を確保し、更には自動運転も行う。そのような、21世紀の列車システムを見たい。
 新幹線の海外売り込みにおいて、システム全体での請け負いが話題になる。新幹線列車というハードだけでなく、運行システムまでコミで輸出し競争力を確保したいようだ。しかし、明治のシステムに局所的な安全装置のフリカケを行った程度のシステムに、魅力などあるのだろうか?

 更に細かなネタ。
 ドアにベビーカー等が挟まったまま出発してしまう事故が、未だに多発している。その度に、適切なセンサーを用意する難しさが話題になる。ベビーカーのパイプを太くするように業界に要請が行っているらしい。
 をいをい、昭和じゃないんだからさぁ・・・やってることがピンボケすぎるだろ。

 Nシステムその他、画像認識や顔認識技術の進歩が喧伝されている。
 同様に、ドアに何かが挟まっているかどうかを人工知能に認識させれば良いのだ。
 どんなにパイプが細かろうとも、ベビーカーがドアに挟まれているかどうかを判定できない人間などいない。カメラと連動した人工知能に、ドアを監視させれば良いのだ。ドアにセンサーを取り付ける必要などない。

 なぜ鉄道では、人工知能の導入がこれほどまでに遅れているのだろうか?
 もしかして、前述したようなことを1つも実現できないほど、現在の人工知能は実は誇大広告なのだろうか?
 そんな体たらくで人類を脅かせるの?

written by higashino [科学コラム] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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2014年12月29日(月) 21:58

危険な演出

 びっくりした。
 年末と言う事で、いろいろと普段と異なる番組が放送されている。
 そこで目に留まったのが、フィギュアスケートのアイスショー。いきなり信じられないものを見てビビった。

 演出用のレーザーの向きがおかしいので目の錯覚かと思ったが、次のカットでは本当におかしいことが判明。
 見ての通り、レーザー光線が床の氷に照射されて模様を描いている。

 レーザーで模様や文字を描くのはありふれた演出であり、それ自体は珍しくも何ともない。問題は、天井や壁ではなく床に描いたという点。まっとうな業者は、絶対に床には照射しない。
 レーザーポインターが規制されたことでも分かるように、レーザーは極めて目に悪い。演出用レーザーは、レーザーポインターに比べると1000倍とか10000倍の出力がある。だから、絶対に目に入らないようにせねばならない。だから、ちゃんとした業者であれば人間の目の高さよりも低い位置に演出用レーザーを照射することは、絶対に行なわないのだ。

 ディスコとかクラブという類の怪しげな店で、客を興奮させるためにワザとレーザーを危険に使うことはあるらしい。しかしこれは、普通のアイスショーであってTV放送さえ行なわれるまっとうなイベントだ。それで常識外れのレーザーの使い方をしていたから、ビビった。

 演出用レーザーで模様を描くには、レーザーを鏡で反射させてその鏡を高速で動かす。レーザープロジェクターとかガルバノメーターと呼ばれていて、うちのサイトでも自作記事を書いたことはある。つまり、鏡を動かす機械的部分が故障すると、レーザー光線も動かずに一点を照射してしまうのだ。そのようなリスクをゼロにするため、最初から目の高さより高い位置にしか照射しないように設置するのである。
 床にレーザーを照射して、故障によりレーザーの向きが固定されたら?
 そこに、客やスケーターが居たら?
 浅田真央や高橋大輔が失明していたかもしれない。信じられない暴挙である。そして恐らく、暴挙であることを殆ど誰も気付いていない。

 鏡が故障したらレーザー照射を停止させる安全装置は、恐らく組み込まれている。だが、安全装置も故障確率はゼロではない。どんな機械でも、故障することはありえる。
 だから、原理的に絶対に事故が発生しないよう、照射向きを高くしておくものなのだ。

written by higashino [科学コラム] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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2014年11月21日(金) 21:27

爆轟

 突然だが、銃の発射原理をご存知だろうっか?
 そんなもの分かり切っているだろ、火薬を爆発させて発生した高圧ガスで弾丸を加速・・・というのが一般人の認識だろう。しかし実際にそれをやると、銃が壊れて射手が負傷する。

 このあたりの事情は、ガンマニアであれば理解している。
 火薬の爆発は、専門用語で「爆轟」と称する。誘爆速度は秒速7〜8キロもあるため、数センチの火薬であれば10万分の1秒以下で全体が爆発し、高圧ガスとなる。
 ところが銃の場合、弾丸が銃身を進んで銃口から飛び出すまでに1万分の1秒ぐらいを要する。10万分の1秒では、初期位置からほとんど動いていない。そのため、高圧ガスが高圧になり過ぎて銃が破壊されてしまう。もちろん思い切り頑丈に作れば大丈夫だが、点火直後の一時的な超高圧にだけ耐えるために重量を増加させるのは割に合わない。

 そのため、銃に使用されている火薬は、わざとゆっくり「燃焼」するように製造されている。
 具体的には、火薬をある程度の大きさに固めてしまうのだ。

爆薬
 火山灰のように非常に細かなパウダーで、爆轟により超高圧ガスを発生させる。
火薬
 目視可能な大きさの固まり多数で、燃焼により高圧ガスを発生させる。

 火薬と爆薬は化学成分は同一で、物理的形状が異なるだけである。
 サイズや形状を変えて固めることで、燃焼速度を変化させられる。それによって、発生した高圧ガスが高圧になり過ぎることなく1万分の1秒を効率的に使用して弾丸を加速できるよう、火薬製造メーカーが知恵を絞っている。だから、拳銃用とライフル用では、火薬の見た目が異なる。
 これで問題を起こしたのが旧日本軍で、大陸侵攻したところ銃の爆発が相次いで兵士が負傷した。原因は、想定外の低温。実包は、プライマーと呼ばれる少量の爆薬を尻に取り付けてある。トリガーを引くと激針がプライマーを叩き、爆轟させる。すると、本体の火薬に誘爆して弾丸が発射される。ところが低温になると、大抵の物質は脆くなる。
 低温で脆くなった火薬が、激針の衝撃で粉末状になってしまい、燃焼ではなく爆轟して銃を破壊したのだ。

 さて、なぜこんな話題を出したかと言うと、大規模なエアバッグのリコールがニュースになっていたからである。
 欠陥エアバッグを製造してしまったメーカーが、原因を説明している報道を聞いた。エアバッグを膨張させるガスを発生させる化学物質を製造する際に、固化圧力が不足していた、湿度の管理も甘かった・・・と。その瞬間に、旧日本軍のミスを思い出したのである。そして、以下は自分が考えたこと。
 まるで、火薬製造の不具合だよな。しかし、まさか火薬使ってるわけないし、何らかの別の物質だろう。それにしても、固化圧力が不足したぐらいでアウトなんて危険過ぎるだろ。命を委ねるエアバッグというシステムを、そんなアナログな原理で動かすなどあり得ない。結果を制御できないじゃないか。発生圧力をデジタル的に明確に予測可能な原理を使用して膨張させ、確信を持って安全係数を保証できるように設計するはずだ。クルマというバイタルな製品パーツを作るのに、アナログに頼ったおっかない設計はできない。道理が通らない。一体何が起きていたのだろう。

 そこで、エアバッグについてググってみた。驚いたことに、エアバッグを膨張させるのにマジで火薬が使われていたのである!

 何と、タカタが窮地に陥っている理由は、旧日本軍と同じだったのである。火薬が使用される理由は、高圧ガスなど別の手段ではエアバッグを膨張させるのが時間的に間に合わないということらしい。要するに、対案がないから仕方なく火薬を燃焼させている。今回は、その火薬が固化不良で爆轟してしまい、手りゅう弾状態に。
 銃器と実包の製造に長けた欧米のメーカーならまだしも、巨大でもない日本の企業が火薬を独自製造はマズかった。仮に自分が同じ立場に置かれたら、エアバッグ用火薬の製造は、火薬の製造慣れしているメーカーに外注する。コストその他をうんぬんする以前に、リスク管理として自社製造はあり得ない。

written by higashino [科学コラム] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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