2009年2月6日(金) 17:18
コイルガン10の計画は中断していたが、製作したパーツは幸い行方不明になっていない。
放電回路のハイサイドには、ゲートドライブ用の電源が必要だ。エネループ6本から5.5Vを作り出すDCコンバーターを発掘。ラジコンバッテリーを接続すると、5.5〜5.6Vの間で安定出力された。実際は5.8Vに上げねばならないが、超小型半固定抵抗の調整だけで簡単に出力電圧を変えられる。
一緒に転がっているのは、ゲートドライバーの予備。
放電回路はカメラのストロボ用に特化したパーツを採用している。高圧コンデンサーに電荷を貯めて、それを一気に放出するところが似ているからだ。カメラのストロボには調光という概念がある。電荷を一気に放出するだけでなく、一部だけ放出するとかプリ発光→メイン発光と連続させたり。そのためには、フラッシュ管に流れている大電流を任意のタイミングでOFFに出来ねばならない。
それに対応したパーツが、ストロボ用なのだ。
しかしストロボの大電流をOFFにするのに比べると、コイルガンの大電流をOFFにするのは桁違いに難しい。理由は、回路のインダクタンスが大きいから。インダクタンスが大きいほど、OFF時に発生するサージが強力になる。カメラなら、回路のインダクタンスが小さくなるように設計する。ところが、コイルガンではコイルが絶対不可欠である以上、インダクタンスを小さくすることが出来ない。
巨大なインダクタンスを持った回路に大電流を流し、それを出来るだけ短時間にOFFする。そこでサージをいかに押さえ込むか。とんでもない挑戦になる。スイッチング素子をOFFする速度が重要で、ノロければ使い物にならない一方で速いとサージ電圧が高くなる。そのため、ちょうど適切な速度でスイッチングせねばならない。
コイルガンの実験で何度も何度も素子をサージで破壊しながら安定条件を探った。かなりアナログ的な調整、ノウハウが必要である。特定のパーツを使ったゲートドライバーで、供給電圧なども厳密に安全値が決まる。当初は5.5Vが最適としていたハイサイドの電圧も5.8Vに改訂されている。
24分の1ストームタイガーに搭載予定なのは、順送り回生型・4段式コイルガンである。動作原理は以前から公開している通り。
放電の説明に使用した回路図と同じ、4段式だ。ハイサイドに2個、ローサイドに4個のスイッチング素子を必要とする。コンデンサーは3箇所。330V200μF
すなわち1個あたり11ジュールとなるが、コイル2個に同時通電開始するC1に2個セットで使用し合計44ジュールを予定している。C2やC3は回生電流も助っ人に入る。開発中断した10段式コイルガンを4段に減らしてラジコンに積むと考えればいい。
放電回路特にハイサイドの組み立ては面倒臭いこと極まる。それが幸いに残っていたのはかなり助かる。左の大型回路は IGBT-H4 と IGBT-L4 そしてダイオードの組み合わせ。右の少し小さいのは IGBT-H1 と IGBT-L1 そしてダイオードの組み合わせ。銃口側の L4 は高速でOFFにしたいので、インダクタンスを小さめに巻く。するとピーク電流が大きくなり、放電回路に使うパーツの並列数を増やさねばならない→大型化という次第。
真鍮筒は光ファイバーの受光部。ハイサイド IGBT を光でスイッチング出来る。スイッチング速度を最適化するためアナログ的調整が行われている。更に電圧スペックも合わないので
TLP250 に置換出来ない。
ローサイド IGBT はPIC直結制御で 1KΩの抵抗を挟んだ運用になっていた。これも定数が2KΩに改訂されているので注意せねばならない。
下敷きになっているのはダイオードで、小型ながらストロボ用ならではのピーク電流150Aに耐える。それが4並列に組んである。ストームタイガーの主砲が放電回路を壊しまくり、どんどん流用されて数が減った。しかし4段式コイルガンなら、余る。
written by higashino [コイルガン戦車 1/24] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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