2013年5月31日(金) 22:02
ハイサイドIGBTを短絡ピンに置換し、ローサイドだけで犯人探しやってみる。
まず、実測されたコンデンサー放電波形やコイルの実測インダクタンスを元に、シミュレーションのパラメーターを調整。コイルの直流抵抗は0.67Ωぐらい。
緑がコンデンサー電圧、青がコイル電流。

シミュレーション結果を、オシロの実測と重ねてみる。重要なのは、コンデンサー放電の「途中」でコイル電流はピークを迎える点。ローサイドIGBTのコレクター電位(黄)が謎の盛り上がりを見せているのは、電流のピーク付近ではないか?
IGBTがオンになると、正常な場合のコレクター電位は2Vぐらい。だが耐電流をオーバーすると、コレクター電位が上昇する。回路の欠陥ではなく、単純に過電流で謎パターンが現れたのではないか?
330V放電のピーク電流は、シミュレーションだと270Aを超える。しかし250V放電だと210A程度。謎パターンは210A以下では出現していない、という部分でも現実に合致する。

だが、使用しているIGBTの耐電流は200Aである。それを4並列しているのだから、負荷バランスが少々崩れていても210Aまでしか耐えられないのはおかしい。確かにIGBTの配線4系統は対称ではないが、それにしても理想800A耐電流が210Aに落ちるほど酷い配線とは思えない。
過電流が犯人だと分かり易いが、幾ら何でも計算が合わな過ぎる。
今度はローサイドIGBTを詳細にチェック。黄色はPICによるゲート操作電位で、青がローサイドIGBTのコレクター電位。120〜130Vからの放電では、想定通りのパターンが計測された。しかし若干おかしい。無負荷で計測した時は、ゲート操作電位の立ち上がりこそ角が丸くなっていたが、テーブル部分は綺麗に5V水平になっていた。それが、凹んでいる。

330V放電では、一発でローサイドIGBTが破壊された。ゲート操作電位は急激に落ち込み、4Vあたりに下がっている。遂に犯人をまた1人捕まえた。
IGBTのゲート電位が下がると、飽和電圧が大きくなり耐電流は小さくなる。ターンオン期間中に、想定外にゲート操作電位が下がったため、電流に耐えられず破壊されたのだ。

以前のコイルガンでも、ゲート操作電位の低下で破壊されたことがある。当時はハイサイドのドライブ電源として、コンデンサーに蓄電していた。その容量が不足し、やはりターンオン期間中に電位低下を起こした。
今回は別電源を用意しているが、ゲートの消費電荷が想定外に大きかったようだ。
IGBTはFETと似たような使い方が出来るため、ついFETの仲間としてイメージしてしまう。しかし、ON抵抗が定義できず飽和電圧での表現となるなど、トランジスターの仲間に近いかもしれない。
FETはゲートをONにすれば、ゲートに電荷を更に投入しなくてもONのままである。これに対しトランジスターは、電流を流し続けないとONが継続しない。
IGBTのゲートもON期間中ずっと電荷を喰らい続け、しかもコレクター電流が大きいほど大喰らいになっているようだ。
コイルガン領域の高電圧・大電流において、IGBTに匹敵する性能のFETが登場すれば、さっさとFETに乗り換えたい。だが、現状ではIGBTが性能で完全にリードしているから、放電回路を頑張ってIGBTを適切にドライブせねばならない。
「ストロボ用」を謳うFETが登場するかどうか?がポイント。
written by higashino [コイルガン戦車S] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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