2017年8月16日(水) 21:13
ドローンの操縦は、難しい。
マルチローターはハードウェアがシンプルになるが、操縦は楽にならない。空中に浮いている物体は、基本的に不安定である。上昇力が重力を僅かでも上回れば、単に上昇するだけではなく加速度が付いて上昇速度がどんどん上がる。逆に重力を僅かでも下回れば、単に下降するだけでなく加速度が付いて下降速度がどんどん上がり、すぐ地面に衝突する。これを墜落と言う。
墜落しそうだからと上昇力をアップさせて重力を少しでも上回れば、今度は加速度が付きつつ上昇しまくる。同じ高さに留まり続けるには、上昇力を常に調整し続けねばならない。
これが上下だけでなく、左右にも前後にも同様である。いや、更に回転まで加わる。
大きな球体の上に置いた小さなパチンコ玉を、落とさず安定させるようなものである。いや、そんなパチンコ玉は前後左右の2軸バランスだけ取れば良いが、ドローンは上下まで加わった3軸+さらにスピン3軸までバランスさせねばならず、桁違いに難しい。
現実には、これに風の影響まで加わるのだ。
だからラジコンの世界で、操縦が最も難しいとされるのがラジコンヘリなのだ。ドローンも力学的にはヘリの仲間であり、操縦は同様に究極に難しい。
懐かしの月面着陸ゲームをプレイすれば、ドローン操縦が難しい理由を実感できるだろう。
さて、これでは実用にならないので、一般にドローンと呼ばれるものは操縦を補助する機能を内蔵している。
具体的には、フィードバックを自動的に行って座標を安定させるのだ。例えば、コントローラーで上下の動きが指示されていない場合は、上昇力を自動的に重力と均衡させて同一高度を保つ。左右の動きが指示されていない場合も、左右に移動しないよう自動的に位置を保つ。
操縦で移動や旋回が支持されていないなら、空中で停止するよう自動的に全ローターの回転数を調整する。
こうして操縦は簡単になるのだが、非常に大きな問題がある。それは、フィードバック制御を行うためには、ドローンが自分自身の状態を知らねばならないという点だ。
高度が上昇しているからローターの回転数を落として上昇力を小さくする。そういう制御を行うためには、高度が上昇していることを知らねばならない。人間ならドローンを見て判断できるが、ドローン自身はどうやって知れば良いのか?
ここで登場するのがセンサーである。
ドローンはいろいろなセンサーを搭載し、自らの高度や前後左右の位置や、スピン状態を把握している。それに基づいて、フィードバック制御を行い、姿勢を安定させ操縦を楽にする。
しかし、高度や座標やスピン状態をセンサーで把握するのは、実はそれほど簡単ではない。
written by higashino [マルチローター] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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