2024年5月10日(金) 19:54
これまで3回の破損を無事に生き延びた2つのユニットだけで、射撃してみる。2つだけでもピーク耐電流は1600Aある。これに対し、実際のピーク電流は1000A以下の可能性が大きい。明らかに安全係数は1.5以上あるので、これでも壊れないはずだ。壊れなければ、追加生産分のユニットで組み立てミスを犯した可能性が高くなる。
果たして、コンデンサーを充電し射撃してみると、あっさり短絡故障判定になった。
今回は、コンデンサーの放電電圧変化をキッチリとオシロで捉えた。結果は、見事にシミュレーションと一致している。ということは、電流に関してもシミュレーションと大差ないと考えられる。やはり、ピーク電流は1000A以下と思われる。つまり、ユニットは組み立てミスではない。
根本的に、おかしい。十分なマージンを取った設計なのに、壊れまくる。

ここまで確実に壊れるのであれば、定格の中に見落としたものがあって、それをオーバーしてしまっている。だが、データーシートは結構シンプルで、ターンオフしないのにオーバーしてそうな定格など無い。
いや、実は1つあるのだ。ただ、余りにも納得できない部分なので無視していた。しかし、それ以外のすべてが否定的なので消去法で残ってしまう。

それが、この図だ。
実は、ピーク耐電流200Aというのは、コンデンサー容量が約250μF以下でなければ成立しない。それよりコンデンサー容量が大きくなると、ピーク耐電流は小さくなる。
現状ではコンデンサー容量が800μFなので、ピーク耐電流は70Aぐらいしかない。4並列ユニット1つで280Aだ。3ユニット並列で使っても840Aしかなく、ピーク1000Aで破壊されるのは当然となる。もちろん2ユニット並列では論外。
別にこの図を見落としていたのではなく、それこそコイルガンを作り始めた初期から認識していた。では、なぜ無視して来たのか?
それは、この図があくまでもIGBTを1個だけ使用した場合のものだと考えていたからである。実際に使用する際は、4つのIGBTを並列したユニットを実装している。
図A)は、800μFのコンデンサーを4並列IGBTで放電する実装であり、現実の実装である。実際はこのような4並列を1ユニットとしてそれを更に3ユニット並列なわけだが。
図B)はIGBTをハイサイドに移動したもので、ゲートドライブが困難になるので現実には行わない実装である。だが、図A)と図B)で回路のピーク耐電流が同一であることに疑問の余地はないだろう。
問題は図C)で、自分の昔からの認識として、図B)と図C)でもコイルに流れる電流のピーク許容値は同一だ。だから、IGBT1つあたりのコンデンサー容量が約250μFより小さくなる個数だけ並列すれば、各IGBTのピーク耐電流は200Aを確保できると考えていたのである。
仮に図C)のような回路を実際その通りに実装して、各IGBTがピーク電流200A以下で壊れたら「詐欺だ!」と言いたくなる。
IGBT1つあたりのコンデンサー容量が約250μFより小さくなる個数だけ並列するのは容易であり、自分は常にそのような実装しかしていない。だから、コンデンサー容量など気にせずIGBT1つあたりピーク耐電流200Aで設計していたのである。
ところが現実に起きている事実として、図C)と図A)のピーク耐電流は同一では無いようなのだ。理不尽に過ぎると思う。
これまでは回生型ばかり作っていたので、ターンオフ時に破壊されていると考えていた。しかしターンオフしない回路でも明らかに定格未満で破壊されている。シンプルな条件でも破壊されていて、もはや図C)と図A)は異なることを受け入れざるをえない。
そしてそれを受け入れた場合、IGBTの並列数に関わりなく、コンデンサー容量を減らすことが設計上極めて重要という結論になる。同じ個数のIGBTで、ピーク耐電流が大きく変化してしまう。
written by higashino [コイルガン機動戦闘車] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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