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2014年1月2日(木) 10:21

無税国家(1)

 新年を迎え、珍しく経済ネタを書いてみたい。理由は、消費増税を控えているからだ。 Q:通貨を刷りまくったり国債を中央銀行に引き取らせたりして何が悪い? A:それを続けることが可能なら無税国家が成立してしまう。  これは最近良く目にする問答である。パーナンキの背理法と言うらしい。  しかし、経済学は自然科学ではない。永久機関が不可能なことは自明だが、無税国家が不可能なことは自明ではない。経済学者の言うことが外れまくりなのは、周知である。  そこで普段は自然科学な趣味を行っている者として、仮に無税国家を樹立したら何が起きるかを考察してみたい。  まず一般論ではなく具体的に日本という国家が無税国家になったら、何が起きるかはある程度分かり易い。  必要な経費はすべて、税金を取らず通貨を刷りまくって賄うとする。  現代の通貨は金本位制ではなく、中央政府の信用に基づいた不換紙幣である。だから、国民の信用が失われれば紙屑になる一方で、信用が失われない限りは価値を失わない。  目の前の万札を国民がありがたがっている限り、どんなに大量に刷ったとしても問題はない。  問題なのは、国民ではない者だ。  日本は鎖国しているのではなく、外国と貿易している。石油など輸入に頼らねばならない財物が大量に存在し、その代金を支払わねばならない。  幾らでも放漫に刷りまくられている貨幣を、石油を輸出する外国は受け取りたいと思うだろうか?  実際に渡すときはドルだとしても、その前に日本円をドルに交換する過程が入る。交換者は、ドルを手放して円を受け取ろうと思うだろうか?  結果として円が暴落し、資源価格が高騰する。輸入食料も高騰する。逆に輸出する場合は円安は有利だが、現在の日本経済を見ても暴落レベルの円安がプラスになるとは思えない。  世界経済は日本だけではない。そのため、日本だけが無税国家になろうとしても、うまく行かない。  では、世界全体が無税国家になったら?  これは今でこそファンタジーな設定だが、いずれ将来には世界中の技術レベルや生活レベルが平準化されるだろう。そして世界統一国家とまでは行かなくても、ほぼ単一の経済圏になる日が来ると考えるのは別に非現実的ではない。  思考実験してみよう。そのような未来に、人類全体歩調を合わせて無税国家になったら?  国家が必要とする経費はすべて、人類統一通貨を無制限に刷りまくってバラまいてみよう。さあ、どうなるか。

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