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2015年7月29日(水) 21:29

旧世代の究極

 実は、少し前にHMDを買った。
 大人気で話題になったSONYのやつだ。

 このHMDは解像度が 1280*720 である。フルHDではない。フルHDの後継機種が出たら買うつもりだったが、予定を変更。今日は、その理由を記事にしようと思う。

 まず、そもそも何のために購入したのか。
 使用目的は、3D映像の閲覧である。
 自分は3Dが好みで、3D撮影を多く行っている。だが、周知の通り3Dは閲覧環境が難題だ。裸眼立体視の平行法が極めて得意なので、小さくて済む場合はサイドバイサイドで表示して平行法で確認している。もっと大きな画像で確認したい場合は、色眼鏡を使う。いずれにしろ、理想的な環境とは言い難い。それでも、3D撮影は行って来た。撮っておけば閲覧環境は後から整備しても間に合う。しかし、撮影は後からではできない。

 3Dモニターは、解像度や時間分解能を犠牲にしているものばかりである。HMDだとクロストークが発生しないし、SONYのは液晶ではないためモニターよりも鮮明に表示される。解像度や時間分解能も犠牲にならない。理想的な3D閲覧環境が得られる。

 しかし、解像度が犠牲にならなくても、そもそも最初からフルHDではない。実用上の解像度はフルHDの3Dモニターに匹敵するものの、どうせならフルHDのが出てから買おうと考えていた。

 ところが、今年の4月に生産中止となり、SONYは後継機種を発売しないことも公表。
 更に、他社からも同等品が発売される可能性は低い。その理由を説明するために、3Dの現状についての自分の認識を先に説明したい。

 数年前に各社3Dを煽ったことは記憶に新しいと思う。だが、ちっともブレイクせず今では4Kだ8Kだと別の方向に走っている。
 3Dがブレイクしなかったのは、何と言っても閲覧環境の悪さだろう。これに関しては周知なので、ここでいちいちリストアップしない。未だに、2D並に使い勝手の良い3D閲覧環境は実現できていない。
 では3Dは死んだのかと言えば、そうではない。オキュラスという革命が訪れた。従来の3Dは、2Dを3Dにしただけである。それに対してオキュラスは、2Dとは全くの別世界として3Dを提案した。バーチャルリアリティーである。

 2D映像は、視野角30度での閲覧が推奨されている。従来のHMDもこれを踏襲しており、装着した際には映像が30〜45度の視野角で表示される。それは、2D映像または「3D化された2D映像」を閲覧するための装置なのだ。
 ところが、オキュラスの視野角は110度。装着すると、ほど視野全体が映像で埋め尽くされる。それが3D化されていると、まさしく仮想現実である。2D映像は、そういう閲覧の仕方を行わないし、行った場合には2Dと3Dの差は圧倒的となるだろう。

 3Dとは、2D映像を立体視するものではない。仮想現実を得るための手段である。このような再定義を行うことにより、オキュラスは革命をもたらした。
 ここで、2D映像を立体視するものを「旧来の3D」、仮想現実を実現する手段としての3Dを「新たな3D」と呼ぶことにする。
 旧来の3Dはブレイクに失敗し、新たな3Dがブレイクしようとしている。これが、3Dの現状についての自分の認識である。新たな3Dでは、2Dとの差は革命的であり、それを味わうためであればユーザーはゴーグルを装着するという使い勝手の悪さを受け入れるだろう。

 SONYは旧来のHMD(旧来の3Dを閲覧できるHMD)を製造中止にすると共に、そのノウハウを新たなHMD(新たな3Dを閲覧できるHMD)の製造に活かすと表明している。オキュラス類似のHMDをプレステに接続して使用する構想は、発表済みである。
 他社もこぞって、新たなHMDに参入するだろう。
 副次的ではあるが、オキュラスは「ゴーグルとしての使い勝手の良さ」と「低コスト」という面でも大きな進歩があった。1000円ぐらいの厚紙製ゴーグルにスマホを取り付けるだけでHMDになる製品は、TVでも特集されている。

 以上により、旧来のHMDは3D液晶ディスプレイ同様、今後もはや新製品は登場しないと思われる。
 自分が買ったHMDは、旧来のHMDとして最終製品かつ最強スペックとなる可能性が高い。旧来の3Dを閲覧したい者にとっては究極の選択肢となる。そのような製品は、製造中止から時間が経つほど実売価格が上がるものだ。だから、急いで購入した次第。

 いかにも旧来というのは、ゴーグルとしての使い勝手の悪さに現れている。
 装着までに非常に時間が掛かり、気軽に着脱できない。新たなHMDは、一瞬で装着できて容易に着脱できる。もうこの時点で、勝負は見えている。
 なぜ装着に時間を要するかと言うと、映像がクリアに見える位置が非常に狭く、少しズレただけで映像がボヤけるのだ。そのため、慎重にHMDの装着位置を合わせねばならず、頭にキツく固定せねばならず、いったん外したら再度の装着がまた面倒臭い。しかし新たなHMDは少々雑に装着しても、映像を楽しめる。だから、簡単に着脱できる。
 両者の光学系の違いが理由であり、それはコストの違いにもなっている。オキュラスが革命的だったのは、概念と共にHMDの構造もコロンブスの卵だったことだ。

written by higashino [カメラ] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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