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2006年9月23日(土) 07:15
電解チャージャーはコイルガン用にもベストフィットする。パルスYAGとコイルガンは最後に付いてるものが違うだけだ。発射時にYAGはフラッシュトリガー用高電圧、コイルガンはサイリスターという違いもあるがまさに似たもの同士。
光の弾丸か実体弾か・・・どうせなら両方やってみるのも面白い。元はコイルガンに余り興味無かったが製作材料が結果的に揃ったため興味が出てきた。
もう1つ、コイルガンの実用性に気付いたことが大きい。自分の場合、実用とは「撃って楽しめる」という意味だが(汗)
だがコイルガンは威力でスリングショットに負け、命中精度と燃費ではエアガンに負ける。そんなもの撃って面白いのか?
実験的興味深さはあっても、マトをブッ壊して遊ぶならスリングショットの方がよっぽど実用的である。ところが、実はコイルガンをうまく作ればかなりの命中精度が出せるかもしれないのだ。
実体弾を発射する装置は数多くの種類が現実に存在する。だが、コイルガンのみが持ちそれ以外の装置には無い特長が1つある。何だか分かるだろうか?
以下のリストを眺めて考えてみて欲しい。
実銃(ライフル銃)
戦車砲(滑腔砲)
空気銃
エアガン
ガスガン
ブロウガン
ボウガン・クロスボウ
スリングショット・ゴム銃
サーマルガン
レールガン
以上すべてが持たず、コイルガンのみが持つ有利な特徴とは?答えは・・・非接触加速!
火薬ガスやその他気体・空気の膨張を利用して弾丸を加速する装置は、気密を確保せねばならず必然的に弾丸が銃身と接触する。ライフル銃はそれを積極的に利用して弾丸にスピンを与えて安定させるが、手軽に所持出来るものではない。
ボウガンやスリングショットは弦やゴムが弾丸に直接接触して加速させる。
運が良ければ弾丸が銃身に接触しないまま発砲される装置もあるが、それはあくまで運が良かったに過ぎない。エアガンではBB弾と銃身の僅かな隙間を空気が流れて、BB弾を安定させると誤解している人も居る。残念ながらエアガンの弾速では層流ではなく乱流になるので、安定化効果は無い。
それに対し、コイルガンはコイルの磁力が弾丸を銃身の中央に吸い寄せ、物理的に何も弾丸に接触しないまま加速出来るのである!
だから、弾道を非常に安定させられる可能性がある。もちろん弾丸の初期状態によっては弾道が振動し、銃身に接触する可能性はあるが・・・
コイルガンが当たらない主たる原因は、弾丸の形状にある。大きな磁力が働くよう大抵はライフル弾のように細長いプロジェクタイルが使用される。しかし姿勢安定スピンなど掛かっていないから発射されると弾が横を向き、話にならない。
至近距離で空き缶撃ち抜くことは出来ても、10メートル先を狙って遊ぶのは難しい。だが、これはコイルガンの原理的制約ではない。
威力を優先させないなら、コイルガンの弾丸が細長い必要はないのだ。エアガンのような球形弾を使っていい。速度は出なくなるが、自分もエアガンで楽しんでいたことがあるから分かる。撃って楽しむのに重要なのは威力よりも命中精度なのだ。
どんなにパワーがある発射装置でも、狙った場所に当たらないとちっとも面白くない。このサイト常の目的「実用性」に照らせば、ちゃんと当たることが最も大事である。
安定化のための回転を弾丸に与えられない場合、球形弾の方が命中率を上げ易い。もちろん戦車砲のように安定翼を付ける手もある。しかし、それは弾丸の構造を複雑で高価にする。製作の手間も掛かる。実験室でパワーを追求するなら命中率はどうでも良いからそんな手間暇は掛けたくない。逆に実用を目指すなら、高価で必死に回収せねばならず壊れやすい弾丸は嫌だ。
弾丸は重目の方がいいコイルガンでは、直径11ミリ重さ5グラム半のパチンコ玉が最適ではなかろうか?入手し易く安いし。
火薬銃とエアガンでは、命中率を上げる条件がかなり異なる。コイルガンはエアガンに近いと考えられる、ただし一部違いはある。命中精度を上げる条件は以下で恐らく間違っていない。
1)弾丸が重いこと。
2)弾丸の形状、重さにバラツキがないこと。
3)初速が一定なこと。
4)弾丸にスピンが掛からないか、掛かる場合は毎回一定なこと。
5)銃身が長いこと。
プラスチックのBB弾を使うエアガンに対し、金属弾を使うコイルガンは1)で優位に立つ。
2)を実現するには、自作のプロジェクタイルに比べて日本最多数の汎用品たるパチンコ玉が圧倒的に優れる。コストももちろん全く勝負にならない。
3)に関しては後述する。
4)は弾丸と銃身が接触しないコイルガンが有利な点だ。ただし、装填時は弾丸を保持しないといけないため、チャンバーの精度と構造が決定的に重要となる。
5)はエアガンでは実は当てはまらない。しかし、コイルガンでは初期に存在した弾丸の不規則運動が少しずつ安定化させられつつ加速するため、銃身が長いほど弾道が安定すると想像される。
これらの条件を眺めると、多段式がほぼ必然だと分かる。球形弾だと磁力が働き難い。それでいて銃身を長くしたいとなれば、多段式でないと効率が悪過ぎる。幾らパワーが第一目的ではないと言っても、余りにパワーがないと使い物にならない。また、多段式の方が命中精度を上げ易い。弾丸保持力が強くなるし、3)に関して、ある有利な手法が使えるようになる。
多段式
多段式コイルガンには2つの手法が考えられる。アクティブ式とパッシブ式だ。
弾丸の位置を光センサー等で検出し、通電タイミングをそれに合わせるのがパッシブ式。弾丸が主で通電が従である。一般に多段式コイルガンと言う場合、大抵こっちを指している。
これに対し、通電タイミングを決め打ちして、弾丸をそれで引っ張るのがアクティブ式だ。通電が主で弾丸が従である。弾丸の位置を積極的に決定し、センサーは使わない。そう、これによって初速を安定化させられるのだ。
平均的な弾丸で最大パワーを出せるタイミングより、通電タイミングを少しだけスローにしてやる。
弾丸の個体差により、平均より加速され易いものがあったとする。この場合、弾丸の進行タイミングが早くなり、最大加速タイミングから更に離れる。よって、加速が悪くなる。一方、平均より加速され難い弾丸は、進行タイミングが遅くなる。最大加速タイミングに近付くことになり加速が良くなる。結果として、個体差が吸収され弾速のバラツキが小さくなる。多数のコイルを通過するほど(銃身が長いほど)効果的となる。
最大初速を出せるタイミングからわざと外すので、最大パワーは出なくなる。しかし、センサーのためにコイル間に隙間を空ける必要がなくなるため、結果としてパッシブ式と大差ないパワーが出せるはず。
自分はこれを、シンクロトロン型コイルガンと呼んでいる。
この手法は、弾丸のバラツキがもともと少ない場合に威力を発揮する。バラツキが大きいと効率を大きく落とさねばならない。その点でも、高度に規格化されたパチンコ玉は適している。
written by higashino [コイルガン] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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