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2006年10月7日(土) 18:36

サージ

 抵抗で急ブレーキを掛ける回路には扱い易い性質がある。それは、好きなタイミングでブレーキを掛けられることだ。実際には、コンデンサーの電位がゼロになった瞬間に合わせてGTO1をOFFにする必要はない。タイミングが早くても遅れてもちゃんと動く。
 早ければコンデンサーに電荷が残ったままでブレーキモードに入り、遅ければ2つのダイオードがフライホイールとして働いてコイルの電流を保持した後で、ブレーキモードに入る。プロジェクタイルがまだ低速の区間ではコイル電流が長時間流れている方が都合良いこともある。そんな場合はしばらくフライホイールを働かせてからブレーキングすれば良い。
 タイミングが自由自在なのだ。コンデンサーの電位を検出する回路を考えなくて良い。

 スイッチング素子についても、容量さえ合えばGTOサイリスターでもIGBTでもMOSFETでも構わない。

 だが、良いことばかりではない。最大の問題はサージである。
 クルマは急に止まれない。同様に、コイルの電流は急に止まれない。GTO1をOFFにした瞬間、コイルを流れていた数百アンペアの電流は一瞬でゼロになれず、そのままブレーキング抵抗に流れ込む。10Ωの抵抗に数百アンペアが流れ込む。さて、抵抗両端の電位差は?
 そう、突然数千ボルトが発生するのである!

 コイルにブレーキを掛けると4000V近い電圧が発生し、20μ秒後でも800Vは残っている。GTOサイリスターは爆発してしまうだろう。
 サージ発生原理で明白な通り、ブレーキング抵抗が大きければ大きいほど発生電圧は高くなり、持続時間は短くなる。このサージが問題なのは、単純にバリスターを付けたりしても意味がない点にある。
 コイルと並列にバリスターを入れるのは有効なサージ対策だが、バリスターが導通すると電流がブレーキング抵抗に行かずバリスターを流れてしまう。こうなるとバリスターがフライホイールとして働き、ブレーキが効かない。コイル電流はダラダラと流れ続ける。そんなことなら最初からブレーキング抵抗を付けない方がマシだ。

 コイルガンの磁力を一気に消すにはブレーキング抵抗は大きな方が有利。しかしその場合、サージ電圧が高くなる。
 サージ電圧を一気に消そうとすれば、今度は磁力がなかなか抜けなくなる。

 このあたり、かなり工夫が必要だな。また、各種定数の決定もバランスを考えて慎重に行わねばならない。
 もっと言えば若松通商で扱っているGTOサイリスターのスペックが気になる。耐圧が低過ぎたりしないか?とにかく、個人で普通に買えそうなGTOが他にないだけに、実は一番のネックかもしれない。駄目ならIGBTを並べまくるしかないが・・・

written by higashino [コイルガン] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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