Darkside(https対応しました) |
2006年10月15日(日) 22:01
スイッチング素子に比べればダイオードの選定など簡単とのイメージがある。しかし、具体的なパーツを手に入れようとすれば案外厄介なようだ。パルス500Aというのは単なるダイオードにとっても相当に高いハードルなのだ。
ごつい整流用ダイオードでも、150Aとか200Aにしか耐えられない。そんなものを3つも4つも使うのは重量的に到底容認出来ない。
鈴商あたりに置いてある使えそうなダイオードのスペックを調べてみた。
型番 | 耐圧 | 10ms耐電流 | 逆回復 | 構成 |
31DF4 | 400V | 60A | 30ns | 単体 |
ESAC25-04D | 400V | 70A | 400ns | 2素子直列 |
YG912S6 | 600V | 80A | 50ns | 単体 |
F10P40F | 400V | 80A | 45ns | 2素子K共通 |
1N4007 | 1000V | 30A (8.3ms) | 不明 | 単体 |
31DF4は特においしいスペックではないが、逆回復が非常に速いためコンデンサー充電器の性能を向上させられるかもしれない。チョッパー昇圧充電器の性能に与える整流用ダイオードの影響は非常に大きい。
ESAC25−04Dは一般的なパワーMOSFETのような外形で、2つのダイオードが直列状態で内蔵されている。これを8パラで使用すると、一番単純な左図のダイオードをまかなえる。逆回復は遅めだが、コイルガンの回路であれば実用になると思われる。試作のため購入するに値しそうだ。
YG912S6は外形がほぼESACと同じなので、8パラ×2で使用すればそれだけ大きく重くなる。ちょっと手を出し難い。
F10P40Fはカソード共通という点が使い辛い。
意外に使えそうなのがお馴染みの1N4007である。逆回復時間が不明だが、これまで試作装置で使いまくり、ちゃんと働いてくれた実績がある。回路がショートして大電流を食らっても焼けたことはない。焼けたのはフラッシュ電解の放電サージの時だけだ。これを20パラってのは案外現実的である。
現実のパーツ写真を見てみよう。
でかいダイオードが31DF4である。耐電流は別として高性能なのでサンプルで買ってみた。小さいダイオードが1N4007だ。31DF4を10パラで使うより1N4007を20パラで使った方が、遙かに小型軽量に収まりそうなのだ。
ESAC25の8パラなら1N4007の20パラ×2と良い勝負と思われるが、今度は値段が問題。何しろ1N4007は20本100円なのだ。100円で買えるパルス耐電流600Aのダイオードはまず見つかるまい。
ただし、40本の1N4007をせっせと組み立てる手間を考えると、すっきり8本まとめて済ませられるESACは魅力的である。コイルユニットを40連も製造せねばならない本番はともかく、試作段階では両方とも試してみたい。
セラミックコンデンサーみたいな外見の黒い物体は、バリスター。石塚電子のZ7D241で、制限電圧395Vだ。開始電圧240V、平均0.25ワット、2ミリ秒で15ジュールに耐える。サージがもっと短時間なら21ジュールまでOK。
フラッシュ電解11ジュールのうち最悪10ジュールがブレーキングバリスターで消費されるとすれば、定格上は大丈夫だが余り余裕がない。特に、放熱に時間を要するのが問題で射撃間隔を40秒確保せねばならなくなる。見ての通り小型なので、0.1Ωの抵抗と組ませて4パラ程度にすれば信頼性を確保出来るのではなかろうか?
これにより、射撃間隔も10秒以下に出来る。
0.1Ωの抵抗に125A流れると12.5Vの電位差が発生し、バリスターの制限電圧と合わせると400Vを越えてしまう。しかしバリスターのピーク耐電圧は1回のみで1750A、2回なら1250Aまでとなっている。それでも395Vは越えないというのが制限電圧だ。125A付近ではずっと電圧は下がり、合計400Vを越えることはまずないはず。
ピーク150A程度だとバリスターの予想寿命はどの程度か?それが最も気になる点である。
written by higashino [コイルガン] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(2)] [TB(0)]
Generated by MySketch GE 1.4.1
Remodelling origin is MySketch 2.7.4
『1N400x』
逆回復時間は分かりませんが、スイッチング電源には推奨されないくらい遅いものだそうです(http://www.national.com/JPN/ds/LM/LM2594HV.pdf の10Pageに記述が)
そして、一般的な整流ダイオードはおそらく商用電源の整流しか考えてないようで逆回復時間は数μsとか長い時間があるようです。
written by mako shark
『1N4007』
1本5円ダイオードの情報ありがとうございます。逆回復時間が書いてないってのは、やっぱり遅いんですね。ただ、自分が作ったコンデンサー充電器は数キロヘルツなので充分使い物になっているようです。それに、そこまで遅い 1N4007 に比べても劇的に性能を落としてくれた某6Aダイオードって(汗)
ともあれ、31DF4 に換装すると充電器の性能が上がりそうで、楽しみです。
逆回復時間が数μ秒になると、確かにヤバそうです。
電流上昇率はμ秒あたり4〜5Aになるため、逆電圧保護ダイオードが有効になる前にメインコンデンサーに20Aとか逆電流が流れ込むことになってしまいます。
良く考えると カソード共通の F10P40F はコモンではない2本の足を短絡すればそれで2パラです。これを4個1単位で使うのが一番現実的かもしれません。
written by IDK