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2006年10月22日(日) 15:28
理屈を離れて実際のモノ作りを開始すれば、思いがけなかった問題がどんどん出て来る。やっぱり、自らもモノを作った経験がないと発言にも説得力が無い。「現実」は頭の中のイメージとは違う。作ったことがなければ、何とでも言える。
冶具を使わずにコイルを巻くのが大変なのは分かっていたが、使っても大変だった。それも、コイルガンで多い1.6ミリや2ミリなどの太いエナメル線ではない。扱い易そうな1ミリの細い線なのに・・・
1層目からしてピッタリと詰めて巻けないのだ。2層目に入ればもう全く綺麗に巻けない。もう巻ける位置にお構いなしに巻きまくるだけ。汚く66回巻き、外周からもエポキシで固める。
この状態で固まるのを待つ。今の季節なら15分程度でベト付かなくなる。
隙間無くピッタリと巻ければ直径26ミリ程度になる計算だが、28ミリ近くに膨らんでいる。しかし、6層ではなく7層綺麗に巻いたのに相当するサイズであり、使い物にならないってほどではない。
問題はサイズより、インダクタンス値だ。計算値は76.6μHだったが・・・
実測すると、55μHしかなかった。これではピーク電流が530Aまで上がりそうだ。しかも、計測には誤差がある。いろいろな誤差が積み重なって想定以上の電流が流れ、パーツが壊れたのでは困る。そもそも最終的に何十と作るのだから、製作誤差を吸収できるマージンを必要である。
思ったより多層コイルのインダクタンスは小さい。この事実の前に、エナメル線の太さを変えつつ最適コイルを試行錯誤する意味は小さくなってしまった。選択の余地が無い。
インダクタンスを増やそうとすれば巻き数を増やすことになるが、多層コイルを更に巻くと直径が膨れ上がり、急速に重くなる。事実上0.8ミリ以外は選べない。実はもっと細いのが最適化もしれないが直流抵抗の急増がいかにも嫌だし、太いのは必要なインダクタンスを得るのに必要な重量が増え過ぎる。
今度は0.8ミリを75巻きで試作してみよう。
そう考えたものの、すぐには作れない。冶具の中でポリエチレンパイプだけが外れないのだ。両サイドは簡単に剥がれたのだが。やはり恐れていた通り、中心はエナメル線を巻く作業で大きな締め付けの力が働き、そのままエポキシが固まると引き抜けなくなってしまう。
もう一度パイプを切り出さねばならないが、実は冶具の中で一番大変な作業である。正確な長さに仕上げるのは非常に手間が掛かる。微妙に長く切り出してから所定の長さに削るのである。
ただ、エポキシの中では強度が劣るとされる5分硬化型でも、強度は凄まじい。こうして固められたコイルは、強大な磁力が加わってもビクともしそうにない。現物はほとんど凶器レベル(汗)
他に実測で判明したのは、超多段コイルガンの領域である1KHzあるいは10KHzになると、鉄芯が挿入されてもインダクタンスが余り変化しないこと。
単段コイルガンなら100Hzレベルであり、鉄芯が入ることで3倍位になってもおかしくない。だが、超多段では1倍半にもならない。しかもプロジェクタイルが円柱ではなく球だから、尚更インダクタンスの変化は少ない。
実態に合ったシミュレーションを作るのは大変な予感。コイル1つだけを使った実射・弾速測定が貴重なデータになりそうだ。
written by higashino [コイルガン] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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