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2006年11月4日(土) 18:54

攻略

 十分な光を確保できない。
 解決策は実は多い。これらを組み合わせれば何とか解決出来るのではないか?

1)太い光ファイバーを使う。
2)広範囲の感度がある指向性の弱いフォトトランジスターを使う。
3)送信にレーザーダイオードを使う。
4)ゲートドライバーの感度を上げる。

 まず、1)である。光ファイバーが太ければ送信光を集め易くなる。しかし、取り回しが悪くなる。取り回しを考慮して本当は0.5ミリを使いたかったのだが、集光効率を考えて泣く泣く0.75ミリにした。1ミリなんて論外だ。と思っていたが0.75ミリのファイバーは想像より柔軟で、想像上の0.5ミリと似たようなものだった。ならば1ミリは?
 実物を手にすると、これも許容範囲。曲げ半径はそれなりに確保せねばならないが、固い感じではない。弾性によりパーツに負荷が加わる心配は感じない。さすがに1.5ミリとか既にファイバーという感じがしないので1ミリまでだろうが、1ミリは十分に使える。0.75ミリの2倍近い断面積がありこれだけでかなり工作と性能面で楽になる。

 2)に関しては例によってその入手性が問題となる。手に入らなければどうにもならない。
 実際、TPS601Aと同等の性能で感度だけ広範囲というパーツはなかなか見つからない。もし存在したとしても、レーザーダイオードを使うのであれば殆ど関係がない。既に存在する以上の光は取り込めない、かなり消極的な対策でもある。ここは601Aのままで行く方がマシだろう。

 そして有力案の3)となる。LDは光ファイバーに導入し易いが、コリメートという問題がある。単体のLDはLED並の価格だが、レンズ無しで使うのは難しい。10度×40度程度に拡散するため、TPS601Aでは効率よく受光出来ない。適切に集光しようとすればレンズの調達と調整がかなり面倒だ。
 超多段コイルガンは将来の本格的バージョンを念頭にすると、多数のパーツを個体差少なく組み立てねばならない。調整が大変だったりパーツを多数調達するのが難しい解決策は取れない。必然的に、既にコリメートレンズまでビルトインされたモジュールタイプが魅力的になる。そんなLDは、やっぱり秋月だ。

 厚さ3ミリをウリにしているこのモジュールは、同種の製品では最も安価な点も魅力。更に、レーザー放射穴が小さいため、細い光ファイバーにも効率よく導入出来る。あらゆる点で魅力的なのだ。
 ところが、いざ発光させると様子がおかしい。最初に一瞬明るく輝いた後、すぐに凄く暗くなってしまう。クラス2の品だがクラス1並だと疑われるほど暗い。光出力を測定するまでもないほど明白に出力不足で使い物にならない。どういうことだ?

 基盤はチップ抵抗やチップトランジスターが使われている。LDもチップ型であり、コリメートレンズが小さくて済む点など今回の目的には最適だ。ところが、回路中に比較器が無い。回路図が付属しているが・・・をいをいコレは酷いだろ!
 黒共立・改のごとくLDをダイレクトドライブすればもしかすると・・・

 千石には780nmのMD用LDが売っている。こっちは出力が大きく波長も601Aにジャストフィットするが、集光問題がある。それを解決してもドライブが面倒。というのも光出力の温度依存性が大き過ぎて、定電圧+電流制限抵抗という定石ではドライブ出来そうにないのだ。独自にAPC回路を作るのは負担だし多数使うことを考えるとペルチェ使って温度を一定にキープした上で定電圧+電流制限抵抗しかないだろう。これもかなり面倒なことに違いは無い。

 秋月にはノーマルな円筒形の赤色レーザーモジュールもあるので、そっちも試しつつLD送信の可能性を探って行きたい。

 最後は地味に強力かもしれない4)である。
 ドライブ性能を重視してR1に1KΩを選択したが、もし10KΩに交換すれば一気に感度が10倍になる。R1に0.1ミリアンペア流れた時に、1KΩでは601Aのエミッター電位は0.1Vしか上昇しない。だが、10KΩであれば1Vまで上昇する。
 しかし、IGBTのゲート電荷を引き抜く能力は10分の1になってしまう。感度10倍との引き替えである。

 つまり、ゲートドライバーに必要な性能を正確に把握することが重要となる。ドライブ能力が不足するのは論外だが、過剰性能でも駄目なのだ。今度は受光感度が悪化する。
 必要最低限ギリギリのドライブ性能に抑えることで、受光感度を最大に出来る。

 受光感度が良いというのは、R1を流れる電流が小さくて済むという意味だ。だが、R1を流れる電流が減れば、Q2を流れる引き抜き電流まで減ってしまう。両方良いとこ取りするには、Q2の増幅率が大きければ良い。トランジスターの増幅率は極めて重要なパラメータであると分かる。

 携帯用機器の限られたリソースの中で所期の目的を達するにはバランスが命。バランスを取るには、きちんとした設計が不可欠である。トライ&エラーでは到底攻略出来ない。

written by higashino [コイルガン] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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