Darkside(https対応しました)

2006年11月23日(木) 13:12

PNP増幅

 ブログには実験のモチベーションを保つ以外にも、結果を整理して自分自身の頭も整理するという実用性がある。

 IGBTをONにするにはゲート電圧を上げる。OFFにするにはゲート電圧を下げる。これは与件であり変更出来ない。一方、光スイッチングでは消費電力の問題から、点灯時をONとし消灯時をOFFとしたい。これは与件ではないが逆にすると、射撃待機時ずっと発光体を光らせておかねばならない。多段式になるほど無駄が強烈に増大する。
 となると、受光側も光が入った時に電圧が上がり、入らない時には電圧が下がるような回路にしたい。

 エミッター電位可変が気持ち悪いので、PNPトランジスターを使った回路を試す。
 ブレッドボード上に組んで、250Hz矩形パターンがどのように受信されるかR1の+側電位をオシロでチェックした。送信側はダイレクトドライブの秋月レッドレーザーモジュールを使用。
 先日用意した3種類のPNPトランジスターを比較してみる。

TPS601A直結

 トランジスター無しでR1に直結して測定したもの。
 パターンは結構シャープであり、フォトトランジスターの性能が良く現れている。しかし、2μ秒とされるスペック上のスイッチング時間に比較すればトロい。1目盛りが1ミリ秒なので、スイッチングに100μ秒オーダーを要している。また、OFFスイッチングが尾を引いている気配あり。
 ONの立ち上がりとOFFの立ち下がりの間が2ミリ秒すなわちジャスト2目盛り分である。スイッチング時間の分だけ、ONの台地は2ミリ秒より短くなっている。
 トランジスターによる増幅がないため、リップルが台地部分にモロに見えている。

2SA1242

 パターンがかなりナマっている。特に、台地の立ち上がり側がナマっていたりノイズが多めに感じられる点がいただけない。
 パーツ破壊でミソを付けたが、性能面でも疑問が残る。

2SA1926

 ぐっとパターンが良い感じになっている。相変わらずOFFスイッチングが尾を引くが、もともと尾を引いているものが増幅によって見えているだけ、という可能性が高い。

2SA1972

 スペックシート上は最も性能が劣るのに、実測波形は最も良好。立ち上がりタイミングは素の601Aとほぼピタリと重なっており、素性の良さが際立つ。ONの立ち上がりとOFFの立ち下がりの間がピタリと2ミリ秒である点も注目して欲しい。

 いずれのパターンも、2SC2655を使用した回路とは比較にならないほどキレが良くなっている。中でも一見パッとしないA1972が実は素晴らしい。使用素子はほぼ確定である。スペックシートだけで机上設計やったのでは、こいつが選ばれることは絶対に無かっただろう。
 A1972は流せる電流が小さいため、ブースター段には使い難い。しかし、受光増幅では10ミリアンペア程度流せれば良いため、A1972でもスペックには十分な余裕がある。

 ただ、それでもスイッチング時間が長過ぎる。数μ秒でスイッチングして欲しいのに、100μ秒のオーダーだ。601A直結で既にそれだけの時間が掛かっている。

 ところで、トロかったのはC2655でありLEDではないと判明したが、では実際のLEDの実力は?
 TPS601A直結で、光源をレーザーからLEDに替えて測定してみた。

 高輝度型ではない地味な赤色LEDである。レーザーに比べると波形の安定性に難があり、崩れそうなプリンに見える。しかし、発光にトランジスターやレギュレーターを使用しないせいかリップルは少なく、変に尾を引くこともなく、反応時間的にはレーザーの代用が勤まりそうである。
 そこで今度は、性能の良好だったA1972で増幅後の波形をチェックしてみた。

 レーザーと全く遜色のないパターンである。これなら、安価で小型となるLEDで発光側を組める。
 ONの立ち上がりとOFFの立ち下がりの間が2ミリ秒より長くなっているが、これは素のLEDからしてそうなっている。台地の幅が一定であれば問題にはなり難い。しかし、本番使用時の最小ONタイムとなるパルス幅100〜200μ秒の発光が正常に行えるかどうかチェックする必要はある。

written by higashino [コイルガン] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

この記事へのトラックバックPingURL

Comments

TrackBacks

Darkside(https対応しました)

Generated by MySketch GE 1.4.1

Remodelling origin is MySketch 2.7.4