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2006年12月1日(金) 17:41
トランジスターはベース容量とても言うべきものが存在するような振る舞いをしやがるが、もしかすると出力容量Cobと呼ばれているのか?
Cobの実体は分からないが、現象としてはFETのゲート容量みたいに働く。理屈は別として、小さければ小さいほど反応が良好となる気がする。そして、大容量の品ほど出力容量も大きな傾向があるようだ。
型番 | 出力容量 | OFF挙動 |
2SA1242 | 62pF | トロい |
2SA1972 | 18pF | 良好 |
2SC2655 | 30pF | 戦犯 |
TPS601Aの増幅に使う場合、電流停止時に電荷を吸い出す仕組みを回路に組み入れるのが難しい。もちろん不可能ではないが、わざわざ光ゲートドライバーを開発する目的は誘導サージ対策である。バリスターやツェナによる最大電圧の抑制は、信号とサージを区別しない。電源ラインなら最大電圧さえ抑えれば問題ないが、信号ラインは駄目だ。本来のON信号とサージの区別が出来ない。サージ対策すれば壊れなくなるが誤動作しなくはならない。
光ゲートドライバーのパーツは大半が信号処理のために存在するので、誘導サージの内部発生を抑えねば意味が無く、回路全体がコンパクトでなければならないのだ。
性能を劣化させずに回路をコンパクトにしようとすると、ゲート容量だの出力容量だのそんなものは邪魔極まりない。だからこそFETのようにゲート容量なんてものが無いトランジスターを採用したのだが、実際はトランジスターにも同じ問題があるらしい(泣)
電流停止時に電荷を吸い出すのはエミッター・ベース間電位差を大きくすることで代用する。となると、エミッター・ベース間耐圧の大きな機種が使い易い。サージ対策のツェナを入れる場合でも、EB間耐圧の大きなトランジスターならマージンを取れる。そこで、EB間耐圧が6V以上で、hFEが小さ過ぎず、C2655より遙かに出力容量の小さなトランジスターをリストアップしてみた。もちろん秋葉原で簡単に買えるものの中からだ。
出力容量30pFのC2655では、IGBTのスイッチング幅が50μ秒程度太った。ならば、3pF前後のトランジスターなら数μ秒太るだけで済むかもしれない。
型番 | 出力容量 | DC耐電流 | 最小hFE | EB間耐圧 |
2SC3327 | 4.8pF | 300mA | 200 | 25V |
2SC3623A | 3.0pF | 150mA | 200- | 15V |
2SC2412K | 2-3.5pF | 150mA | 120 | 7V |
2SC3311A | 3.5pF | 100mA | 160 | 7V |
2SC2603 | 2.5pF | 200mA | 90 | 6V |
2SC3052 | 2.5pF | 200mA | 90 | 6V |
週末に秋葉原でサンプルを買い出しし、実測で採用パーツを決定する。形状なども含めそれぞれに得失があるので、どれがベストかはまだ分からない。
光ゲートドライバーの回路が煮詰まっており、ハイレベルでの争いとなるだろう。そこで、LED発光パルス幅を100μ秒から20μ秒に狭めてみた。これでパーツ間の差異がよりはっきり分かるはず。
まずは、PICから発生するLED駆動波形。トリガーを発生させてから2μ秒後にメインパルスを発生させている。これまでの100μ秒パルスに比べて計測の時間分解能を5倍にしているので、見た目の幅は同じであり比較し易い。PICにとって20μ秒は、悠々と処理出来る長い時間である。
LEDとTPS601Aの間は光ファイバーではなく、15ミリほどの空間を隔てて直接受光させている。
例によって601Aを1KΩでプルダウンし、電流の変化を電圧に変換してオシロで測定した波形がこれ↓
波形はナマりまくり、3V程度までしか立ち上がっていない。すなわち3ミリアンペア程度。全く同じ道具立てでも100μ秒パルスでは5Vまで振れていた。601Aの反応速度は2μ秒。少なくともON時の反応速度は確実に10μ秒を下回っている。つまり、波形がナマっているとか電流不足はLEDの方が理由と思われる。
100μ秒のパルスには何とか追随したLEDが、20μ秒には追随し切れていないのだ。LEDの発光強度がMAXに達する前に駆動信号がOFFになっている。つまり、LEDの発光立ち上がりには20μ秒よりも長い時間を要するのである。でも100μ秒は要しない。
10μ秒や20μ秒のパルスで光通信したければ、LEDは適切ではない。しかし100μ秒ならOK。前に書いた通り今回のコイルガンでは、コイル通電時間は150μ秒以上となるだろう。途中の波形ナマりを考慮してLED駆動パルスを短く補正することを考えても、レーザーではなくLEDが使用可能だと判断されている。
このナマったLED信号をC2655で増幅すると、100μ秒時より更にナマったパターンが出現。横に5倍に引き伸ばされてますから・・・
しかし、全く箸にも棒にも掛からない訳じゃない。ON時の反応は素晴らしく、増幅により鋭い波形になっている。焦点はあくまでOFF時の戻りなのだ。
新たにエントリーする6種類のトランジスターが、これに比べてどこまで鋭い戻り波形を描いてくれるか?
LEDへの通電が途切れても、LEDは瞬時には消灯しない。光が10μ秒単位で残存する。その残存光が増幅されて検出されるため、どうしてもパルス幅は太る。最低でも10μ秒は太る。これはLEDの反応が遅いせいであり回避出来ない。
絶対的なタイミングが重要でありそれを数μ秒以下にしたいのであれば、光スイッチングにLEDは使えない。レーザーが必要となるだろう。
ただ、一般的な多段式コイルガンではLEDが使えると思われる。自分が製作の野望を抱いているのは超短コイル超多段だが、一般に計画されることの多いパッシブ型多段式・・・プロジェクタイルの位置を検出し10段未満のコイルをスイッチングする・・・では1つのコイルは数センチ以上の長さがある。
秒速100メートルであっても、100μ秒では1センチしか動かない。LEDの反応遅延は位置検出にミリ単位でしか影響せず、コイル長が5センチとかあれば無視しても性能面への悪影響は小さいだろう。数μ秒に拘らなくても良いのだ。
written by higashino [コイルガン] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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