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2006年12月14日(木) 17:19

高速コイルガン

 レーザーポインターとフォトトランジスターを光ファイバーで結合し、光ファイバーの途中を切断してギャップを作る。それで果たして感度は充分に得られるのか?
 試してみると、かなり微妙に厄介なことが分かった。切断した光ファイバーの間隔が10〜14ミリ以下でないと検出出来ないのだ。

 2つあるレーザーポインターとやはり2つあるTPS601A。それぞれの組み合わせは4通りあるが光ファイバーアダプターの製作誤差から来るであろうと思われる感度差があり、最低10ミリ最高14ミリということである。
 パチンコ玉は直径11ミリだから、10ミリでは通過出来ない。

 更に調べると、やはり光ファイバー切断面の滑らかさもかなり影響がある。頑張って綺麗な切断面が出るよう、ポケット顕微鏡で確認しつつ切断を繰り返すと、ギャップ14〜17ミリまで光検出可能となった。それでも余裕は小さい。ゴロゴロでパチンコ玉が通れる隙間しかなければ測定作業が大変になる。

 レーザー射出部や光受光部と光ファイバーの接触面に接着剤を添付すれば、切断面が滑らかになったような効果が得られるはずだ。これにより少し感度が稼げるはず。しかしエポキシでは透明度が低い。そこで、透明性がウリの接着剤を調達した。
 入っている箱はアルミダイキャスト製で、PICその他の測定器本体を格納するためのものだ。上蓋を置けば完全にシールドされる。

 シールドボックスはうまいサイズが無くて、かなり大きめのものを使うことになった。そこで、パーツ配置を予定変更。

 レーザーモジュールを電池に隣接した位置から移動させる。これにより床面積は無駄になるが受光素子と同じ側から光ファイバーを伸ばすことができて、弾速測定器システム全体の取り回しが楽になるだろう。

 配置転換に伴い、レーザーモジュールへの電源配線を延長させる。

 メイン基板には足を付ける。

 更に、感度アップのためノイズのリスクを覚悟しつつTPS601Aのプルアップ抵抗を2MΩに交換。これで感度は4倍となりギャップ間隔を2倍に出来る。
 ノイズの影響も4倍だが、反応は大丈夫っぽい。暗電流の影響は最悪で0.4Vに達してしまうが、PICのスペック的には行ける。

 測定部はアルミバイスに固定して使う予定。

 想定以上に弾速が出ているため、超低速の測定性は捨てて時間カウンターを2バイトにする。秒速100メートルを分解能3桁でカウントするには計測2点間の距離を12センチで良くなる。
 秒速100メートルもまたそこまでは不用なので、測定2点間は10センチに決める。後から変更も可能だ。2点間が狭いほど発射方向が厳密でなくても測定可能となり使い易くなる。

 アルミは熱膨張率が大きい。40度の変化で約1000分の1も長さが変化する。そこで、磁力の影響を受けにくく熱膨張率がもっと小さく、しかも頑丈・・・ということでステンレスを選択した。
 身近な材料では石英ガラスが桁違いにすぐれている。磁力は働かないし熱膨張しないし剛性も凄い。しかし、適切な形状の石英ガラスパーツを調達するのは大変なので妥協した。

 凹金具の側面穴にセンサーファイバーを取り付けたくなるが、その場合ネジ頭とパチンコ玉がスレスレになってしまう。

 今回の弾速測定器。この技術がコイルガン本体のプロジェクタイル位置検出にも流用可能なのは言うまでもない。シンクロトロン型ではなくパッシブ型の多段式にしたくなった場合も、技術は既に手元にアリ・・・ってことだ。

 

高速コイルガン

 高効率をキープすることでそこそこの性能のコイルガンを小ジュール投入で実現する。そう考えると新たな設計が実用的になる。
 せいぜい100ジュール以内で、コイル1つあたり10ジュールとか20ジュールに抑える。そうなると、フィルムコンデンサーやオイルコンデンサーなど、極性の無いコンデンサーの使用も現実的になる。

 極性無しコンデンサーC1が使えると、素子の調達が非常に容易となる。
 IGBTのようにOFF機能はあるが耐電流が小さい素子ではなく、OFF機能が無い代わりに耐電流の大きなサイリスターが使えるようになるのだ。

 この回路のキモはD1である。D2は単なるSCR保護用なので小さなもので良い。しかしD1は大電流に耐えねばならない。だが、現行回路は大電流に耐えるダイオードが2カ所に必要なのに対し、ブレーキング機能の不用なこの回路ではD1の1カ所だけで良い。
 単純なLC共振回路。どうなるか分かるだろうか?

 SCRがONになると、コイルに電流が流れC1の電荷は流出する。コイル電流がMAX付近でC1は空となる。その後はコイル電流は減少しつつ流れ続け、C1が逆極性に充電される。そして・・・
 そのうちコイル電流が停止し、今度は逆充電されたC1から逆方向にコイル電流が流れ始めようとする。

 それが、D1で阻止される。

 つまり、LC共振のジャスト半周期、コイル電流がゼロになったところで止まるのだ。コイル電流がほぼゼロなのでサージは非常に小さく抑えられる。後には逆極性に充電されたC1が残る。再利用出来れば効率的ながらかなり回路が複雑化するので、捨てるのが現実的な気がする。
 もともとフィルムコンデンサーやオイルコンデンサーは高耐圧のものが多い。内部抵抗も小さい。電解コンデンサーより遙かに高い電圧でC1をチャージしておく。そしてサイリスターならではの大電流で超短時間通電。トータルの通電時間が短ければ、頑張ってコイル電流にブレーキを掛けなくてもLC共振の波形任せで充分な効率が出せるはずだ

 大ジュールのオイルコンデンサーでコレやるとコイルがもたないと思われる。発熱も無視出来ないが加速反作用による自己変形がヤバい。コイルは銅なので、エポキシで固めても破壊されかねない。それこそ火薬銃並の加速度もあり得るので、物理的にもたないだろう。
 コイル1個あたりの注入は10〜20ジュールまでに抑え、多段並べると面白いものが出来るかもしれない。スイッチング素子はONにするだけなので、光ゲートドライバーの製作も非常に容易である。
 初期加速は電解コンデンサーによる現状回路の方が良いと思われるが、製作の容易さを考えると全段採用もアリだ。

written by higashino [コイルガン] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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