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2006年12月16日(土) 11:25
横着してコンデンサー充電器を動作させっ放しで実験すると、最後に未使用電荷がメインコンデンサーに残ってしまう。放電器を使って穏当に抜いてもいいのだが、どうせならIGBTをONにして一発撃とう。既にコンデンサー充電器はOFFにしてある。しかしIGBTのゲートドライバーは5V電源が無いと動かない。
そこで、5Vを供給する秋月インバーターに通電。その瞬間、ポンと音がしてパチンコ玉が弱く飛び出す。同時に1N4007から煙が上がった!
ゲートONにするための光パルスは送り込んでいない。それなのにIGBTがONになってしまったのだ。
どうやらゲートドライバーには欠陥があるようだ。つまり、電源が0Vから5Vに立ち上がる途中の半端な電圧において、ゲートをONにする瞬間が存在すると思われる。使用パーツのスペックにかなり依存した仕組みになっており、特にFETは類似機種には代替が難しい。
微妙なバランスを保つことで最小のパーツ点数で機能を実現している。半端電圧での動作は保証されない。
半端な電圧でも誤動作しないよう再設計するより、欠陥の存在を承知の上でそれが表面化しない運用をしようと思う。
そうなると、やはり現行の回路は捨てて回生回路にすべきだ。
現行の回路は、想定外のタイミングでIGBTがスイッチングされるとマズいのだ。主要パーツの耐圧は400Vであり、サージ電圧がそれ以下に収まるよう設計してある。しかしメインコンデンサーが空になる前にIGBTがOFFになると、400Vを越えることがある。発生したサージの電位に、コンデンサーの残存電圧が加算されるからである。
サージ電圧が上がり過ぎるような早期OFFはしないつもりだったが、光ゲートドライバーが不安定さを内在している。例え不安定さを解消させるような設計変更をしたとしても、パーツ点数は増えざるを得ず回路が大型化しサージ耐性は落ちる。隣接コイルが発するサージの影響などでもし短時間スイッチングが起きると、目の前で炎上した1N4007のようにパーツを破壊する可能性がある。
半端電位で勝手にIGBTをONにするゲートドライバーだが、光は入射していないので電源が5Vまで上昇すればOFFとなる。つまり、非常に短時間のON→OFFが発生する訳で、これが設計以上のサージ電圧を産んだと思われる。
初射撃時にも聞いたポンという音の正体は判明した。1N4007が割れる時に出るのだ!
どんなタイミングでスイッチングが起きてもサージが400Vを越えないようにするには、ブレーキング抵抗を小さくせざるを得ずコイル電流が抜け難くなる。
だとすれば、どんなスイッチングをしてもサージの発生を極小に抑えられコイル電流停止も確実な回生方式に移行するのが良いのでは?
この後あちこち調子が悪くなり、原因を調査したところIGBTが破壊されていた。常時導通状態になってしまったのだ。IGBTの耐圧400Vを越えるサージが発生したせいだろう。パーツが破壊されたのは残念だが、1N4007だけが破壊される幽霊状態よりは何が起きたかはっきりしているだけマシ。
昨日の回生コイルガン回路図に、ゲートドライブを追加で書き込んでみた。見易くするため、IGBTゲートドライバーはその電源となるコンデンサーを代表で記載してある。GD1とGD2である。
GD1はIGBT1をスイッチングし、GD2はIGBT2をスイッチングする。
ローサイドのGD2はコイルガン始動時から常時5Vを供給し、安定したON・OFFを保証する。しかしハイサイドのGD1は半端な電圧で不用意にONとなる可能性を考慮する。それでも問題無いように設計する。、
D1とD2は保護用、D5とD6は整流用。いずれも小容量でOK。大電流に耐えねばならないのはD3とD4だけである。D6は必ずしも必要ないが、GD1とGD2でダイオードによる電圧降下を揃えたい気がする。
GD1が確実にOFFとなったままであれば、R1は不用。GD2だけをONにすればR1の代用となる。しかし、GD1が一瞬ONになる可能性があるため、射撃しない時はGD2はOFFとしたい。
R1の機能は、2つのIGBTが共にOFFの場合に、GD1のマイナス側電位をGNDにプルダウンすること。
IGBT2がしっかりOFFであれば、IGBT1が不安定でもコイルは通電しない。この状態ではGD1のローサイドはGNDであり、GD2だけでなくGD1も5Vでチャージされる。これで、スイッチング用の電源を確保。C2は電源容量強化用。
発射する時は、2つのIGBTを共にONにする。スイッチング指令は光ファイバーで送り込むため、GD1においても電位は気にする必要が無い。苦労して開発した光ゲートドライバーが生きる。また、光指令なので1つのLEDに2本の光ファイバーを接続すれば、同時スイッチングは容易となる。
メインコイルが通電するとGD1の電位は上昇し、D5が逆流を防止する。以降はGD1の動作はコンデンサー頼りとなる。数百μ秒が経過したところで、2つのIGBTをOFFにする。D3とD4が導通し、メインコイルの電流はC1に回収される。コイル電流が消えるとGD1の電位が落ち、再び5V電源からスイッチング動力がチャージされる。
以上の通り、新開発せねばならない技術は無い。製作の面倒臭いパーツが必要というだけだ。
written by higashino [コイルガン] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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