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2006年12月18日(月) 17:26

オモチャ武装

 好事家があちこちで組み立ててブッ放しで遊んでいる、ちょっとアブないおもちゃ。コイルガンの現状はそんなところだろう。
 しかし、その性格を冷静に考えると、実は相当な可能性を秘めていることに気付く。模型やオモチャの世界においてではあるが。

 ラジコン戦車でタマを飛ばしたい。それは誰でも考えることであり、有名なマルイに限らずあちこちのメーカーがBB弾発射可能なラジコン戦車を市販している。しかし、戦車模型以外にもタマが飛んだら面白いなぁ・・・と思うものは多くある。軍艦ラジコンが主砲を撃てたら面白いのに、とか人によってはガンプラに撃たせたいと思うかもしれない。
 ところが、実物が大砲を積んでいる戦車はともかくとして、多くの模型は必ずしもエアガンを搭載するのに向いた形状ではない。人型決戦兵器などまずエアガン内蔵は無理だろう。しかし、小型コイルガンならばパーツ配置にかなり融通が利くため、どうあがいてもエアガンを積めない筐体にも積める可能性が大きく開ける。何と言っても加速距離数ミリでオモチャとしては十分なパワーを出せるため、射撃方向に細長い空間を必要としないのが大きい。
 コイルガンには細長いコイルが必要だ、というのは思い込みである (ただし単段短コイルでは命中精度を出し難い)。

 最近流行しているリアル二足歩行ロボットのボディーからだって発射可能だ。エアガンとは比較にならないほど無理なく武装として組み込めるだろう。
 ただし、発射した瞬間に本体の電子機器が破壊されたのでは自爆兵器である (^_^;)
 これらオモチャ武装としての大変な可能性を現実化するためには、周囲に迷惑を及ぼさないコイルガンを作らねばならない。その有力候補が回生型である。

 回生型の試作品を作るためには、主要なパーツが2セットずつ必要となる。
 整流用ダイオード、IGBT、そして光ゲートドライバー。

 まずは最も楽そうなダイオードユニットから組み始める。しかし実際の作業を開始すると、たったこれだけの組み立てでも面倒臭いこと!

 現行型はIGBTこそ壊れたものの、ダイオードや光ゲートドライバーは無事っぽい。しかしダメージを受けている可能性もあるため、流用せずすべて新品で作り直す。

 IGBTユニットは簡易な組み立て手順を確立したつもりだったが、ドレインの配線を取り付けるのが案外厄介だと気付く。ここを容易に組み立て出来るよう工夫すれば、楽に量産出来るようになるだろう。
 前回の反省を活かし、ツェナが取り付く側のドレイン端子は切り取った。

 最後は面倒になり、ドレインのブリッジを許してしまう。ブリッジしていても恐らく大丈夫だと思われるが、もしかするとトラブルを起こすかもしれない。
 薄銅板から4本足にドレイン電極を一体切り出しし、ハンダ盛りで付けるのが一番楽かもしれない。

 主要パーツの中では、ダイオードユニットがかなりでかい。実物はそれほどでかくないのだが、他がコンパクトなだけに目立つ。それに、コイルガンのシステム全体を小型化するにあたり、大きな障害には違い無い。
 調達の容易な汎用品を使うのを止め、専用品を注文することにした。以前話題に出したストロボ用ダイオードである。しかし現状で納期75日と言われているので、当分は鈴商で調達したでかいのを使うことになる。

 IGBTがそうであるように、パルス通電に特化した専用品を使えば劇的に小型化出来る。そればかりではなく安心も得られる。汎用パーツのサージ耐電流は一般に繰り返しを想定していない。専用品は想定している。調達は面倒だが、レーザーのパーツ集めで経験値を積んだのが役立っている。

 久しぶりに表舞台に登場した、使い捨てカメラ基板。10ジュールそこそこの超小型コイルガンに自作強力チャージャーは大袈裟に過ぎる。
 トリガートランスとフラッシュ管は除去し、単三電池ボックスを装着。

 アルカリ電池は新品でほぼ1.6Vある。オリジナルではなくストロボ電解200μFを取り付けてスイッチオン。果たして出力電圧は?
 約320Vに達した。電池の200倍まで昇圧出来るようだ。

 問題は充電時間。モニターとなるLEDは15秒ほど経過せねば光り始めない。最初は何も起こらず、うまく動作しているか不安になるほど。20秒も充電すればかなりフルに近くなるが、フル充電と言うには30秒は待たねばならない。
 さすがに少々長く掛かり過ぎる。乾電池も少し暖まっている。

 基板は非常にコンパクトなので、2セット直列にして3.3Vで動作させ出力は並列接続出来るならかなりおいしい。1回の射撃に10〜15秒の充電時間なら模型兵器的には許容範囲だし、3.3Vならニッケル水素電池4本からレギュレーターで作っても許せないほど非効率ではなく、使い勝手が向上する。
 だが、トランス使ってるくせに一次側と二次側が絶縁されているかどうか怪しい。+側が共通電位ではないかと強く疑われる。面倒なので完全には基板パターン追ってないが・・・

 小型であるほど有利なコイルガン。逆に言えば人間を殺傷できるような本当の武器に流用しようとしても適さない。やってやれないことはないが、他の方法使った方が遙かに安く軽く簡単に同じことが出来る。つまり、本質的に平和に趣味として楽しむのに向いた装置である。

written by higashino [コイルガン] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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