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2006年12月21日(木) 18:15

サージバスター

 回生型回路のコア部分。
 配線の取り回しが悩ましい。試作を重ねることで徐々に収まりの良い実装が煮詰まるのだろう。

 ダイオードユニットが大きいため、回路サイズがでかくなっている。それでもやろうと思えばもっと小さく配線可能だが、これはあくまで試験基板。プローブ装着等の作業性を考えると、余りにギリギリまで配線を短くするのは使い難い。
 こうして具体的な形になると、いかにも回生します!って感じに見える★

 手前のスイッチ素子はハイサイドで、紫の物体は電源となる100μFのOSコンデンサー。奥の素子はローサイドで、1MΩのプルダウン抵抗が見えるだろう。

 右に伸びる青い太線はコイルに接続される。上に伸びる細い赤黒は光ゲートドライバーの電源。取りあえず秋月インバーターを使う。ダイオードによる電圧降下を考慮すると、5.5V給電に落ち着いた。
 これまた2つのユニットでアンバランスで、1N4007を通した後の電源電圧は4.95Vと5.25Vあたりにバラつく。保護用のツェナは5.5Vだが、仕様上は5.4〜5.7Vとなっている。かなり綱渡りな状態だ。秋月インバーター側のツェナは明らかに電圧がヤバいので、思い切って除去した。

 現在、開発の最終ターゲットは35分の1スケールのラジコン戦車ストームタイガーへの搭載である。
 35分の1から24分の1の小さなラジコン戦車にとって、普通のラジコンバッテリーはでか過ぎ重過ぎである。単三ニッケル水素電池4本が最も扱い易い。ラジコンの受信機やサーボはすべて4Nで動くし、PICも水晶使うほどクロックをシビアに考えないなら非安定化4Nがピッタリである。
 つまり、コイルガンも最終的には4Nで動かしたい。
 そうなると、5.5Vという半端な電圧で安定化せねばならないのは若干厄介である。5V安定化ならDC−DCコンバーターも容易に手に入る。うまく5.5Vまで調整範囲に入る小型のDC−DCコンバーターを探さねばならない。ただし電流は僅かで良い。

 実験装置の全景。紐付きではなく、これだけで完結しており射撃可能。

 最上部はコイル。測定するまでもなく、コイル両側をシールドするとパワーが明白にアップすると確認出来た。使っているのはM13用のワッシャーで、外径32ミリ厚さ3ミリもある軟鉄製である。
 何度も書いているがこの役割は、短いコイルの両側から派手に漏洩する磁力線を押し込めることだ。もちろん電磁シールドを兼ねる。

 右の電動ガンバッテリーは秋月インバーター用。発生電圧が5.5Vと高めであるため、7.2Vラジコンバッテリー1本では不安を感じた。
 左下はメインコンデンサーの電圧チェック。中央下のブレッドボードはIGBTスイッチング信号を発生させるPIC基板。2本の光ファイバーが伸びる。最初はパルス幅を300μ秒に設定。
 左にはメインコンデンサー充電用の使い捨てカメラ回路。最初はサージ犠牲用の1N4007が挟まっていたが、何度か射撃してサージが来ていないようだったので除去。使い捨てカメラ基板がメインコンデンサーに直結されているが、全く問題は生じていない。

 ただ、電圧が上がらない。単独でコンデンサーを充電すると320Vまでチャージ出来たが、このように実際に組み入れると250Vあたりからなかなか電圧が上がらない。300V以上での射撃はほぼ無理。
 実験を繰り返す上で支障があるため、自作充電器に換装せねばならないようだ。戦車搭載用に2ワット程度の小型充電器を新たに開発する必要も生じた。

 コイルまで配線を20センチほど引き回しているため、数百アンペアが流れることでそれなりの電磁ノイズを撒き散らしているはず。しかし、近接したどの装置にも問題は生じていない。
 PICは快調。電圧計も快調。発射の瞬間もメインコンデンサーと直結されている使い捨てカメラ基板はバリスター等の保護皆無だが元気だし、ツェナを除去した秋月インバーターも元気だ。
 未使用電荷もちゃんと回収されている。

 幽霊サージの追求を止めて回生型に乗り換えた戦略は大当たりである。机上だけで考えた回路がここまで完璧に予想通りに動いてくれると感動的だ。理屈の上ではコイルガンのサージ対策として最強レベルに属するはずだが、現実にサージがピタリと収まっている。この調子だと、オシロも壊さず各所の直接測定が可能か?

 弾速測定器もフタを開けたまま使えそうだ。その場合、作業効率がかなり向上する。

 メインコンデンサーが充電された状態で、電動ガンバッテリーを後から接続しても暴発しない。
 2つのゲートドライバーの特性がバラ付いているため、一瞬ONになってもそのタイミングが異なるせいだろう。同時にONとならなければコイルに通電しない。
 メインコンデンサーに残った電荷は、何度か空撃ちすれば抜ける。回生機能があるため、一度に空にならず徐々に電圧が下がるのが面白い。

written by higashino [コイルガン] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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