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2006年12月26日(火) 17:28
電源を1系統にまとめると、光ゲートドライバーの存在意義が問われる。
もともとラジコン搭載ではないハンドヘルド・コイルガンを志向していた当初は、制御用PICとそれ以外では電源を完全に別系統とする予定だった。この場合、PICから送り出した射撃制御信号をどうやって受け取るかが問題である。サージ対策から電源を分離し更に送受信方法をと考えれば光ファイバーはほぼ必然の結論だった。
ラジコン搭載に関しても、コイルガン用には別途乾電池1本だけ用意して使い捨てカメラ基板で充電と考えていた。この場合もやはりIGBTのスイッチング信号を送る方法が問題であり、光ファイバーは必須だった。
しかし、コイルガンが低ノイズである点と使い勝手、更には使い捨てカメラ基板が使い物にならないこともあり、電源を1系統にまとめることになった。そうなると、光ファイバーを使う必然性が無くなる。
もちろんハイサイドのスイッチングには電位の問題から光ファイバーは適切である。だが、ローサイドは有線でも良いのではないか?
2カ所のIGBTが両方ともONにならねばコイルに通電されない。だとすればローサイドを有線、ハイサイドを光と使い分けるのはメリットにすらなる。つまり、電磁ノイズと赤外線ノイズの両方に対抗可能となるのだ。電磁ノイズにはハイサイドが反応せず、赤外線ノイズにはローサイドが反応しない。すると、どちらが来ても暴発しない。
更に、組み立ての大変な光ゲートドライバーが1つで済むのは大きなメリット・・・でもないんだよな。実は、残念ながら回路は殆ど簡略にならない。メリットは、光ファイバーアダプターを製造せずに済むことくらいだ。
問題は、IGBTという素子にある。基本的にはFETと同じように扱えるのだが、FETに比べるとゲート電圧の許容範囲が非常に狭い。だからこそわざわざ別途で安定化された電源供給基板を用意せねばならなかった。PICと電圧を共通化するのは難しいので、スイッチングにはどっちみちトランジスター等を挟まねばならない。
更に、IGBTが極めて大容量であるため、ゲート容量も巨大。FETを扱ったことがあれば、合計15000pFオーバーというのがいかに狂った値であるか分かるだろう。つまり、ブースト回路が必要。結局、TPS601Aが不用になるだけであり、組み立ての手間は似たようなものである。
既存の光ゲートドライバーの1つからTPS601Aを取り除いて流用しようにも、エポキシで固めてしまってるので取り外せない。もう一度作り直すしかない。
なお、回路図には電源用コンデンサーや保護用素子は描いていない。
最初の増幅用トランジスターが問題で、ハイサイドの光増幅用は601Aに吸い出し能力が無い例の問題から、OFF時の性能を確保するためエミッター・ベース間耐圧が5Vと低いC1623を使用。
これに対しローサイドの電圧差吸収用はPICに吸い出し能力があるため、耐圧7Vと余裕のあるC2412Kを使用(もっと耐圧が高い機種でも恐らく大丈夫)。
エアガンの6ミリBB弾とほぼ同じ空間にパーツを詰め込むゲートドライバーの組み立ては極めて大変である。最新の組み立て手順を示す。自分自身に対するメモでもある。
まず、2つのFETを頭側のドレイン端子で合体させる。両者を密着させると後のパーツを取り付ける際にかなりの無理をせねばならない。あえて2ミリほど隙間を空けておくのがキモ。ここで取り付けたジャンパー線はパーツを持つ時にも役立つ。
別途で10μFのチップ積層セラコンに5.5Vのツェナダイオードを取り付ける。写真の向きでないといけない。逆だと後のハンダ付けで困る。
ジャンパー線を使って2つのFETのゲート端子を接続する。中央の尻側ドレイン端子は切り取っておく。また、下側のJ186はゲートとソースの間に1KΩのチップ抵抗を取り付ける。
テープで仮止めしてからハンダゴテを使う。
チップ抵抗は足の間隔に合っていると付け易い。1/8ワット品が最適なのだが、自分の場合1KΩでは見つけられなかったので976Ωという半端品を使っている。
ツェナ付き10μFを取り付ける。+側がJ186のソースおよびチップ抵抗としっかりハンダ付けされたことを携帯顕微鏡で確認する。
ツェナと10μFを合体させた時の向きが決定的に重要。
一段落する毎に、フラックス除去液でせっせと掃除しながら作業を進める。
増幅用トランジスターの位置を決める。写真では裏返し状態。
ハイサイドの光ゲートドライバーを組む場合はC1623、ローサイドのゲートドライバーを組む場合はC2412Kを使う。
まずはFETのゲートにトランジスターのドレインをハンダ付けし、続いてエミッターをGND電極にハンダ付けする。
光ゲートドライバーではTPS601Aを取り付けて完成だが、今回はPIC直結用。トランジスターの最後に残ったベース端子がPICと接続されるが、途中で発生した誘導サージで破壊されないようツェナを保護に入れる。
そのツェナの足を使って配線とする。
動作確認は一発で通った。
壊れたコイルガンから回収した2つの光ゲートドライバーも、動作はOKだった。試験が簡単に出来るようになっているので、初代コイルガンから取り外した光ゲートドライバーもチェック。これもまた動作に問題無かった。
初代コイルガンはサージで1N4007やIGBTが破壊された。続く回生型は快調だったが赤外線に殺られてIGBTが破壊された。いずれの場合も回路がショートして燃えた。
しかしそれらのすべてを光ゲートドライバーは生き延びた。トラブルは多かったがおかげで光ゲートドライバーの方はバトルプルーフされました状態★
信頼性実績の蓄積されつつある光ゲートドライバーと、耐電磁・耐赤外線な新回路でコイルガンの開発は続行される。気が付けば弾速測定器も使えるようになっているし、ゲートドライバー電源は用意されている。IGBT通電パルス幅も簡単に変えられるようバージョンアップされてます。
継続は力なり。コケまくりながらでも続けていれば、前進するものだ。
written by higashino [コイルガン] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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