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2006年12月30日(土) 17:21

ミニ充電器

 昇圧チョッパーを開発していて痛切に感じたが、性能を向上させるにはバッテリー電圧を上げるのが早道である。一次電圧を上げると、それ以上にワット数を上げ易い。
 スイッチング素子で損失する電圧は、バッテリー電圧に比べればそれほど大きく変化しない。そのため、電圧が上がるほど効率がアップする。また、一次電圧と二次電圧の差が縮まれば効率を上げやすいのも道理。

 逆に言えば、バッテリー電圧が低くなるとインバーターのパワーを上げるのが急激に難くなる。ニッケル水素4本は公称4.8Vだが、消耗して来た時に大電流が流れると電圧が下がる。最悪でも4.4V程度で正常に動作可能な設計にせねばならない。可能なら4V動作だ。そこから330Vに昇圧する小型である程度のワット数を持つインバーター。
 これは案外大変である。

 MC34063は一応3Vから動作する。だが、内蔵トランジスターによる電圧降下を最悪1.3Vほど見込まねばならない。
 使い捨てカメラ内蔵トランスで330Vを発生させるために1.65Vを用意すると、2個直列で3.3V。よって供給電圧4.6V以上が欲しい。これに更に電流検出抵抗による0.3Vの損失が加わるため、4.9V以上が必要だ。

 4N標準4.8Vなんだから、1.5Vで動作する使い捨てカメラのトランスを3個直列で動かせるだろう。そう考えてしまいがちだが現実には2個直列もキツいのである。
 ただ、使い捨てカメラのオリジナル基板ではトランスのスイッチングにトランジスターを使っている。そのトランジスターによる電圧降下があるため、実際には1.5Vよりかなり低い電圧から300V以上を生成している。だから、ギリギリで2個直列が使えそうだ。

 写真の回路はトランスの一次側を2個直列にしてMC34063の直接ドライブ。二次側出力を並列接続している。1つだけ誤りがあり、一次と二次のGNDを共通化しなくては出力電圧検出が出来ない。これで確かに330Vを作れるのだが、オリジナルの100μFをチャージするのにも何分もかかる。発振周波数が低過ぎると思われる。冷静に計算すると10KHz程度では出力が出ない。
 一次側を2個直列してインダクタンスを実測すると、約75μHである。ここに3Vが加わるとコイル電流が1Aに達するまで25μ秒を要する。電流が抜けるまで同じ時間を要すると仮定すれば、50μ秒すなわち20KHz以上で駆動せねばならない。

 MC34063はタイミングコンデンサー1000pFで33KHzが標準。1000〜1500pFを用意したい。3300pFで10KHz発振だと平均消費電流が160ミリアンペア程度しにしかならず話にならない。
 何とか平均1A流さないと使えない。コイルに3V加わり平均1Aだと3ワット。コンデンサー充電効率を50%とすると1.5ワット。ようやく何とか実用になる。
 平均1A流すには、恐らくピーク電流3A程度が必要。MC34063の直接ドライブは1.5Aまでだ。

 果たしてタイミングコンデンサーの最適化でどこまで平均電流を上げられるだろう?
 680pF、810pF、1000pF、そして1500pFと調達して試したが、200ミリアンペアを超えるものの充電速度は上がらない。実用になる遙か手前の性能である。
 トランスの極性を逆にしても事態は改善しない。

written by higashino [コイルガン] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(3)] [TB(0)]

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Comments

『電流を上げるトランス』

電流上げるトランスを探しているのですが存在しますかィ

written by 佐藤

『昇圧トランス』

昇圧トランスのどういう機能性があるのか知りたいのですが

written by 佐藤

『トランスは無理』

後日の記事では書いてますが、結局トランス調達は断念。
秋葉原の専門店で聞き込んだところ、トランスは事実上すべてオーダーメイドで、型番を指定して注文できるようなものではないとのこと。
アマチュアの場合、入手の容易なコイルを使うしかなさそうです。

written by IDK

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