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2007年1月4日(木) 17:11

可能だった!

 ゲート電荷を引き抜くと言っても、低電圧対策としてJFETを挟んでいる今回の回路では、単純にトランジスターで引き抜く構成に出来ない。そこで、光ゲートドライバーのようにFETで引き抜くことにした。
 K3132のゲート電荷引き抜き用R3を除去し、代わりにK1334を取り付ける。Q2が導通すればOFFとなり、Q2がOFFになれば導通して数Ωという僅かな抵抗値で電荷をGNDに逃がす。ゲート電位が半端な状態でQ2とQ4が同時に導通し回路がショートしては困る。FETを使ったブースターではその対策が必要なのだが、だからこそのK1334である。
 ON抵抗が半端に高いこのFETならば、Q2と同時にONになっても破滅するような大電流が流れないのである。光ゲートドライバー製作時の試行錯誤と動作実績あればこそ、具体的な解決策がすぐに出せるのだ。

 光ゲートドライバーの開発をいい加減に済ませていれば、今ココで悩みまくる羽目になっただろう。
 急がば回れ。完成を急ぐべからず。

 納期などない個人の趣味なのだ。年単位も視野に入れて製作すれば良い。

 これで、Q3ゲート電位の変動は、一気に収まった。ハイサイドのペアがJ186ではなくJ244なのは、バッテリー電圧が低くMC34063が発生させられる電位の範囲が狭いことに対応したせいである。
 しかしこれでも充電が遅い。改善したが遅い。R4を0.4Ωに減らして最大750ミリアンペアまで許したが、性能は向上するものの遅い。300V到達まで1分近くを要する。

 ちょっと考えてみた。
 昇圧チョッパーで性能に最も大きく影響するのは、出力部分の整流ダイオードである。これまでに製作したハイパワーなチョッパーでは1N4007で良好な性能が得られた。そのため、1N4007の性能は十分だと思い込んでいたが、ダイオード自体の客観的性能は相当に悪いとの情報があった。これを、本当の高速ダイオードに交換したらどうだ?
 コイルガンIGBTの逆電圧保護に使っているERA−38に替えてみる。耐圧500Vで直流0.5A、そして逆回復時間は50ナノ秒以下。すると、桁違いに充電が速くなった!
 平均電流は600ミリアンペアに達し、数秒で300Vを超える。何てこった!

 これなら、平均1A以上が流れるように設定すれば十分に実用的性能が出せる。また、従来の充電器もERA−38に換装すれば性能が上がるだろう。そもそも、計算より低いインバーター周波数が最適だったり接続先によっては性能が大きく低下するなどの問題が発生していた。それらも1N4007のせいである可能性が高いのでは?
 ERA−38ならタイミングコンデンサー680pFの高周波で性能が発揮されている。
 昇圧チョッパーでは突入電流が大きい。大パワー充電器で容量に不安があるなら、コイルガン回路で活躍中のF10P40Fなど代替パーツには苦労しない。

 こうして遂に最後の課題が解決した。もはやラジコン戦車搭載コイルガンを阻むものは無いと思える。
 ただし例によってベストの追求がある。今回の回路でも搭載可能サイズではあるが可能ならもっと小さくしたい。2SK3132の代わりにGT8G121を流用出来ないか?もし流用出来れば更に小型化される。IGBTのゲート電圧は範囲がシビアだが小電流なら条件が緩和され、安定化しない4N電源でも動かせる。
 また、まるで性能が出ずに一度は断念した使い捨てカメラトランスで十分な性能が出るかもしれない。もしそっちが使えるなら、突入電流の弱点が無いのが嬉しい。試す必要がある。

 しかし、使い捨てカメラトランスはダイオードを交換しても効果が少なかった。では8G121はどうか?
 ON抵抗では明白にK3132が有利なのだが、8G121はMC34063で直接ドライブ出来る。電流が数アンペアで良ければ、ゲート2Vでも動いてしまうからだ。
 4N電源でも、以前製作した基本回路のままでOKとなる。ただし、充電直後の元気なバッテリーの場合も考えると、ゲート引き抜き用トランジスターはエミッター・ゲート間耐圧が5V以上あるものを使いたい。
 この場合、J244のスイッチング時間の分の遅延が無くなるため、もしかすると良い結果が得られるかもしれない。また、少し性能が低下してもサイズが小さくて済めばメリットがある。これは両方とも試作してトライアルするべきだろう。

 だが、GT8G121を使うと40V以下しか出せず、これも即座にボツとなった。想像以上にFETと違う。スペック上のスイッチング速度がK3132より10〜20倍も遅いのが響いたか。
 ともあれこれで心置きなく2000円のFETを採用出来る。

written by higashino [コイルガン] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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