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2007年4月12日(木) 17:37

コイルのモデル化

 エナメル線用の被服はいろいろあるが、安くて薄いのがポリウレタン線だ。被服の厚い1種と薄い2種がある。一般に売られている場合は、どちらなのか分からない。ストームタイガーの主砲に使用したものは、実測からして2種っぽい。
 これまでの実験で良好な性能を示したのは太さ0.5〜0.6ミリである。小型化最優先の場合は0.5ミリが適しているが発熱が無視出来ない。0.6ミリならばかなり発熱が緩和される。

 コイルガン一般で使用されることが多い2ミリなどの極太線は単段式で巨大コンデンサーを扱う場合に適するのであり、超多段式とは別世界の話だ。効率をある程度考えた超多段式では、この表の範囲で充分だと思われる。更に太い線が必要なようであれば、1段あたりのコンデンサーを小さくすべきである。

銅線太さ 1種外径 2種外径 抵抗/m 重量/m
0.45mm 0.508mm 0.490mm 114.8mΩ 1.42g
0.50mm 0.560mm 0.542mm 91.79mΩ 1.75g
0.55mm 0.620mm 0.592mm 75.69mΩ 2.12g
0.60mm 0.672mm 0.644mm 63.92mΩ 2.51g
0.65mm 0.724mm 0.694mm 54.35mΩ 2.96g

 大抵の作業では何回巻いたというより何メートル巻いたという意識が強いだろう。手頃さと性能を両立出来る10メートル巻きとし、滑らかな合成磁場の変化を実現したい観点からコイルは短か目の16ミリを採用する。エナメル線はひとまず0.5ミリで試してみよう。この場合、コイルはどのようなモデルになるだろう?

(コイル外径)=(コイル内径)+(線外径)×(層数)×2

 とまあこれは簡単に分かるだろう。

(コイル全長)=(線外径)×(1層あたりの巻き数)

 とこれも当たり前。(線外径)と(コイル全長)を決めれば自動的に(1層あたりの巻き数)も決定する。1巻き1巻きを独立のリングとみなせば、1巻き当たりの線長は(エナメル線中心位置の直径)πで決まる。これを、10メートルぎりぎりまで積み重ねれば良いのである。同時にエナメル線の全長も一発で近似計算が可能となる。興味があれば検算してみて欲しい。

(エナメル線の全長)=
(1層あたりの巻き数)×(層数)×((コイル内径)+(線外径)×(層数))π

 だがモデル化する上で、これでは困る。層数は整数であるから、エナメル線の全長もかなり飛び飛びの値しか取れない。現実のコイルは結構いい加減な巻き方で10メートル使い切りました・・・みたいな感じで製作されてしまう。
 そればかりではない。現実に仕上がったコイルと一致しないのだ。例えばストームタイガーの主砲コイルは全長17ミリだったが、ピアノ線用切れ込みの必要性からロスがあり16ミリとしよう。外径0.542ミリだと1層あたり29巻き可能だ。これを内径11.1ミリから8層重ねると、エナメル線の全長は11メートルを越える。ところが、それでも計算上のコイル外径は20ミリに達しない。

 現実には10メートルを巻いて21ミリを越えている。コイル前面シールドの直径が22ミリだが、コイルの上に0.3ミリ軟鉄板を巻いてほぼピタリと22ミリになっている。つまり、綺麗に巻けない分だけ理屈より少し無駄な空間が生じているのである。現実に合わせるには、エナメル線の外径が若干太いとみなすのが良いだろう。
 このような話は、始めからシミュレーションだけやっていたのでは、出来ない。

written by higashino [コイルガン] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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