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2007年4月14日(土) 10:18

唖然!

 シミュレーションの比例定数を決定するためのモデルに使うコイルとして、最近のものは適さない。ピアノ線を張るためのギャップがあったり、磁気シールドを装着しているからである。最初はシンプルなモデルを作りたい。そうなると、少し前に作ったコイルで、傾斜巻きされておらず磁気シールドが付いておらずギャップもないものを選ぶことになる。もちろん、まっとうな測定データが残っていなくてはならない。

 そうなると、最適なのがこれだ。正確なデータが残っている。以降のコイルと異なり、正確な巻き数が分かっている。更に、コイルの端に僅かにパチンコ玉が引っ掛かる仕上がりになったために正確な測定が可能になったという偶然がでかい。
 パチンコ玉保持装置が存在すると初期動作が抑止される。その影響を無視出来るのだ。

・内径11.4ミリ
・外径ほぼ2センチジャスト
・全長17ミリ
・0.6ミリを150回巻いたら8メートル弱になった
・実測178μH

IGBT・ON 弾速m/s
320μ秒 9.72
10.22
9.68
400μ秒 9.81
9.54
9.60
480μ秒 9.72
9.85
9.72
560μ秒 9.62
10.21
9.46

 初速は11ジュール時代のものだが、コンデンサーの残存電圧変化が放電シミュレーションと良く一致することも確認されていた。
 このコイルをモデル化してみよう。

 外径と内径の差がコイル厚の2倍であるから、コイル厚は4.3ミリ前後となる。
 0.6ミリのエナメル線は実質的な外径が0.7ミリ前後と考えられるので、1層あたり25巻きで6層合計150巻きというモデル化が適切だろう。
 17ミリを25で割ってエナメル線の外径0.68ミリとした場合、螺旋ではなく独立リング150個とした近似計算で・・・

 ・外径19.56ミリ
 ・線長7295ミリ
 ・抵抗466ミリオーム
 ・重量18.3グラム

 となった。ほぼ現実に合っている。
 太さ0.68ミリのリングが25個横に並ぶ。半径が0.68ミリずつ増大した25個ずつのリングが合計6層に並ぶ。それら150個の合成磁場を計算してみよう。電流が変化すれば磁場も変化するので、電流を一定とし位置による相対値をグラフ化する。
 とんでもないものが表示された!

マ・ジ・で・す・か?

 赤は磁場の相対的な強さ。当然ながらコイル中心付近で最も強い。問題は緑。
 緑は磁場の勾配であり、微小な鉄片に働く吸引力を示す。コイルの中心より手前では加速され、中心を通過すれば減速されることが示されている。しかし、加速も減速もコイル中心付近に近いほど小さくなる!
 ある程度コイルの中心に接近するまでは吸引力が大きくなり、接近し過ぎれば小さくなると想像していた。だが、シミュレーションが示すのはまるで別のものだ。吸引力はコイルの端で最も強く、コイルの中心に近くなるほど弱くなる!

 このグラフは、ビオ・サバールの法則だけを使って純粋に理論的に描いたものであるだけに、重い。しかも、良く考えると計算ミスではなく当たり前の話でもある。お馴染みの棒磁石を思い出してみよう。鉄片を最も強く吸引するのは、棒の両端だろ?
 まさに、いわれてみれば、である。小学校で習った事実をシミュレーションが追試したのだ。

 実際のプロジェクタイルは前後に広がりを持つが、思いがけない事実が次々に示されそうな予感。これは気合い入れてシミュレーターを作るべきだ。特に多段式に関しては、大量のリソースを必要とするだけに慌てて実際の製作を始めるべきではない。

written by higashino [コイルガン] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(3)] [TB(0)]

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Comments

『電磁石の極性』

確かに思い出してみれば電磁石が強く鉄片を引きつけるのは両端ですね(^^;
NとSがありますものね。

でも変ですね。
空芯電磁石で鉄釘を引きつけたら真ん中に引き寄せられたんですけどね・・・。
N極とS極が引き寄せあうんですかね?
コイルをパチンコ球の直径と同じに作れば解決できなくもなさそうに思えるのですが・・・。

written by マッドサイエンティスト

『加速度』

磁場変化のグラフが働く力に、比例すると仮定すれば
F=m*aより
加速度の最大がコイルの端の部分
速度の最大がコイルの中心部分
つまり、コイルガンで一番おいしいところは
コイルの中央付近ではなく
端から、中央にかけての部分ということになります
緑のグラフを時間で積分すると運動エネルギーがでるかも

written by 二トラ民

『まちがえた』

時間ではなく距離でした
E=F*Lより
働く力を距離で積分
働く力∝磁場勾配
とすると
磁場勾配を距離で積分すると
運動エネルギーに比例した値になる

written by 二トラ民

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