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2009年9月10日(木) 21:21

捕獲したか?

 コンデンサーを280Vまで充電し、放電したらやはりIGBTは破壊された。そして、ワンショット・トリガーが遂に決定的瞬間を捉えた。黄色がゲート電位の変化で、青がIGBTの+側電位。200Vを少し超えたところで、一気にGNDに戻っている。この瞬間に破壊されたと考えられる。

 破壊時点を拡大してみる。オシロの時間分解能は0.01μ秒(100MHz)であり、64000サンプリングを貯め込める。分解能最大で640μ秒間のモニターが可能というのもコイルガンにはなかなか使い易い。
 破壊は極めて短時間に起きている。

 最大拡大で詳細に観察。破壊の直前まで、サージ電圧の発生は全く認められない。どうやら、過電圧破壊の可能性はほぼ無さそうだ。これまでのオシロ測定では、高電圧サージが発生している証拠は皆無。
 まるで、耐圧400VのこのIGBTが耐圧200Vに変身したかのような壊れ方である。dv/dt も十分に緩やかで、破壊原因とは考えられない。先日のコンデンサー放電電圧の変化からしてもコイルは正常にインダクタンスを有すると考えられ、つまりは di/dt による破壊でもない。

 過電圧、過電流、dv/dt そして di/dt とめぼしい容疑者はすべてシロとの結論に至った。
 となると残りは・・・電流2乗時間積!

 ちょっと概算してみる。現在L2のIGBTのターンオフは、ほぼコンデンサーが放電を終了するタイミングで行っているためコイル電流は最大に近い。200A前後になっているはずだ。これを遮断してサージ電圧200Vまで上昇すると、40000ワットの熱源となる。5μ秒すなわち20万分の1秒間では5分の1ジュールとなる。
 電流自乗時間積とは、要するに何ジュールのエネルギーが熱として発生するかどうかという話である。熱伝導による放熱が期待出来ないほど極めて短時間に、過剰な発熱があれば素子は破壊される。秋葉原のパーツ屋でアマが買うようなスイッチング素子の場合、限界は数十〜数百ミリジュールが通例だ。IGBTのデータシートには記述が無いものの、数ミリ角の素子だから2個で200ミリジュールも食らえば壊れておかしくない。むしろ概算に一致し過ぎて怖いぐらいだ。

 I2t が犯人だとすれば、現在2KΩ入っているゲート抵抗を1KΩに減らしてスイッチングを高速化すれば、破壊電圧が上昇するはずである。

 しかし、以前のコイルガンでは1KΩでIGBT破壊が発生し、これを2KΩにしたところ破壊されなくなった。これは、条件の変化によると考えられる。
 ターンオフ自体が以前想像していたよりも遙かに時間を要していた。このため、ゲート抵抗を変化させるとターンオフのタイミングも予想以上に変化する。回生用ダイオードが導通すれば電流はそっちに逃げて行き、I2t はその時点までで打ち切りだ。回生先コンデンサーの電圧が低ければ早期に回生が始まり、素子の負担も減る。
 一方では、コイル電流が大きいほど、I2t は大きくなる。

 コイルガンは電圧と電流が常時変化していて、スイッチングのタイミング次第で素子に加わる負担も変動する。だから、ゲート抵抗1KΩと2KΩのどっちが負担が大きいかは一概に言えない。条件次第だ。
 ただ、まっとうな設計するならワーストケースを考慮せねばならない。

written by higashino [コイルガン戦車 1/24] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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