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2012年3月20日(火) 18:39
技術の進歩を考慮しつつ、近未来のレーザー銃について考えてみよう。
大前提として、自分は歩兵運用機器しか製作しない。車載には手を出さない。世の中には車載テスラコイル作った御方もいるようだけど、自分は車載レーザー銃を作るつもりはない。そういうのは米軍に任せておく。
そうなると、レーザー出力は自ずと制約を受ける。レーザー銃のシステムは、大きく3つに分けられる。バッテリーとレーザー発振器と冷却システムである。それらの合計重量が、現実的な値に収まらねばならない。
バッテリーに関しては、いかに軽量で高出力のものを使えるかである。自動車業界や携帯電子機器の強力なニーズから、全世界で必死の改良が行なわれている。しかし周知の通り、バッテリーの技術革新は極めて遅い。30年ぐらい先まで考えても、バッテリー性能が10倍になるとは期待し難い。
一方で固体レーザー前提で考えると、LDの効率改善には期待が持てる。効率が高くなれば廃熱も減るため、冷却システムを軽量にできる。この効果は大きい。また、冷却システムが能力不足でも間歇発振で運用すれば何とかなる。リアル軍隊ならそういうのは欠陥兵器だが、趣味で楽しむ分には問題ない。
以上を総合すると、歩兵用レーザー銃の出力は恐らく1キロワットを超えることはないだろう。超えるとしたら遠未来の話だ。
1キロワット以下なら間違いなくファイバーレーザーがファイナルアンサーだし、現在既にシングルモード発振での出力はそれを超えている。
銃として使うなら同一出力でマルチモードよりシングルモードが勝る。よって、歩兵レーザー銃はシングルモード発振だけ考えれば良い。
ファイバーレーザーをシングルモードで発振させるには、ファイバーコアの直径が小さくなければならない。発振波長が長いほど、太いコアでもシングルモードになる。波長1μ帯では、コアは9〜10ミクロンより細い必要がある。
光ファイバーは、コアとクラッドの屈折率の差により、光をコアに閉じ込める。フレッツ光などで使われている光ファイバーは、クラッドの直径が125ミクロン。クラッドを保護する被覆は、直径245ミクロンが多い。IPG社のファイバーもそうなっており、多数派としてそのサイズをターゲットにするのが良さそうだ。
コアの太さはバリエーションが多い。
励起LD光は、クラッドに通す。クラッドと被覆の屈折率の差により、光をクラッドに閉じ込めて使うことも可能。そんな光ファイバーを、ダブルクラッドと呼ぶ。
今ファイバーレーザーで主流なのは、イッテルビウム等を混入させたコアを、クラッドに通したLD光で励起するダブルクラッド構造となっている。コアはYAGレーザーのロッドに相当するため、太いほど出力を上げられる。しかし、太いほどビーム品質は劣化する。両者のバランスから、IPG社のファイバーはコア9ミクロン。市販品を調べると10ミクロンでないと入手困難。この差異は、受け入れるしかなさそうだ。売ってないものは、個人ではどうしようもない。特注の価格が余り高くないのであれば、9ミクロン可能かもしれないが。
石英ファイバーでも被覆は樹脂のことが多い。そのため、本来なら1000度に耐える石英ファイバーも耐熱200度しかない。これは盲点だった。
また、融着接続する前にはこの樹脂製被覆を除去しておかねばならない。光ファイバーをくっつけるのは、想像より遥かに煩雑。
written by higashino [ファイバーレーザー] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]
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