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2012年3月22日(木) 21:22

流用困難

 共振器内部の充填樹脂をほぼ除去すると、思いがけない事実が判明して来た。

 まず、ビームコンバイナーの導入部は、厄介なことに接着されている。励起LDからはるばる光ファイバーで接続されたままで、まるごと取り外すのは不可能。2つのコンバーナーのうち1つは利用可能な可能性があるが、楕円形のアルミヒートシンクを切り取るか光ファイバーを切断してしまうかせねばならなくなる。

 次に、どうやらYbドープされたアクティブファイバーは茶色の充填材の下に埋まっている。一応ちゃんと放熱を考慮してあるようだ。そして非常に目立つこの茶色の楕円の外側にも、溝がある。光ファイバーが1本だけ埋まっていた。左右に1つずつ、銀色の充填材が2センチほど。確信は持てないが、これが反射鏡の役割をするFBG構造ではなかろうか?
 放熱面で優遇されているし、位置的にも「いかにも」だ。

 FBGとは、光ファイバー内に周期的な屈折率変化を作ったもので、誘電多層膜みたいな感じ。

 これを掘り出して流用するのも無理。
 かくして、共振器の既存パーツは、ほとんど流用できない。

 半筒刑の溝6つのうち4つを埋めていた管だが、コンバイナーではなさそうな残り2つは妙な感じ。

 2本の光ファイバーを1本に合流させている。ということは分類上はこれもコンバイナーだが、方向が不明。もしかすると1本のファイバーを2分岐させているのかもしれない。
 それぞれの構成要素を接続する光ファイバーは、樹脂に埋まっていて掘り出し時に破損し易い。そのため、接続状態を追えない。相互の関係が不明。

 この2分岐パーツも、一方は1本ファイバーが根元付近で折れてしまっていて流用不可。
 もう一方も、2本ファイバー部分の1本が3センチ半ぐらいで折れてしまっており、流用困難。

 かくして既存パーツの掘り出し作業は、惨敗に終わった。
 だが、良く考察するとIPG社が作った構造は推測できるようになった。ネットで公開されているIPG社の技術情報も併せて、判断した。

 IPG流の共振器は、以下のような構造になっていると考えられる。複数の励起LD出力をビームコンバイナーで統合し、統合後の出力を励起用ファイバーに合流させる。そのような、2段階合流になっている。

 オレンジ色の部分は、コアが100ミクロン以上ある光ファイバーで、ビーム品質の悪いLD出力を通す。緑色は蛍光物質をドープしたアクティブファイバーで、コアは9ミクロン。

written by higashino [ファイバーレーザー] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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