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2012年5月9日(水) 21:06

励起LDの特性

 レーザー銃の励起用レーザーダイオードは、定格光出力5ワットが68個で合計340ワット。新品で買うと、100万円ぐらいになる。中古でも、100万円に近い方の数十万円だろう。安直にオクなど使えば、100万円でも足りるまい。今回は、通常ありえない馬鹿安で入手したジャンクレーザー加工機の励起LDが壊れていないという幸運に恵まれたので自分のモノになったが、普通は容易に買えるシロモノではない。
 それを壊すリスクを避けるためであれば、かなりの出費も正当化される。

 IPG純正5ワットLDの特性は不明だが、旧レーザー銃のときにデータがある程度取れている。結論として、他社の類似品とほぼ同等とみなせる。具体的には、これだ。

 温度により特性は動くが、ダミーとしてはこのグラフに準じた特性があれば使い物になる。どれだけの電圧を加えたときに、どれだけの電流が流れるか。そういう特性である。ダミーだからPowerはどうでもいいのであり、問題はVf だけ。
 Vf のグラフに注目し、Forward Voltage は68倍して考える。Forward Voltage の68倍の電圧を加えたとき、対応する Drive Current が流れるようなダミーを作るわけだ。上記グラフは Forward Voltage の1Vが100ピクセルになるよう調整してキャプチャーしてある。これでVf のグラフをピックアップし、元データとした。電圧と電流の対応が分かるので、見かけの抵抗値が計算できる(電圧÷電流)。
 データ取得がピクセル単位なので誤差が大きい。電流が大きくなるとグラフが寝て、値が変化しなかったりもする。それでも、傾向は分かるしダミー用としては充分に思われる。

電圧V 電流A 抵抗値Ω 消費電力W
84.32 0.0427 1976 3.6
90.44 0.128 707 11.6
94.52 0.256 369 24.2
97.92 0.384 255 37.6
99.96 0.533 187 53.3
102 0.683 149 69.6
103.36 0.832 124 86.0
105.4 0.981 107 103.4
106.08 1.131 93.8 120.0
107.44 1.259 85.4 135.2
108.8 1.408 77.3 153.2
109.48 1.557 70.3 170.5
110.16 1.707 64.5 188.0
111.52 1.856 60.1 207.0
112.2 1.984 56.6 222.6
112.88 2.133 52.9 240.8
113.56 2.283 49.7 259.2
114.92 2.432 47.3 279.5
115.6 2.581 44.8 298.4
116.28 2.731 42.6 317.5
116.96 2.88 40.6 336.8
117.64 3.029 38.8 356.4
118.32 3.157 37.5 373.6
119 3.307 36.0 393.5
119.68 3.456 34.6 413.6
120.36 3.605 33.4 433.9
120.36 3.755 32.1 451.9
121.04 3.904 31.0 472.5
121.72 4.053 30.0 493.4
122.4 4.203 29.1 514.4
123.08 4.331 28.4 533.0
123.76 4.48 27.6 554.4
124.44 4.629 26.9 576.1
124.44 4.779 26.0 594.7
125.12 4.949 25.3 619.3
125.8 5.077 24.8 638.7
126.48 5.227 24.2 661.1
127.16 5.376 23.7 683.6
127.84 5.525 23.1 706.4
127.84 5.653 22.6 722.7
128.52 5.803 22.1 745.8
129.2 5.952 21.7 769.0
129.88 6.101 21.3 792.4
130.56 6.251 20.9 816.1
130.56 6.4 20.4 835.6
131.24 6.549 20.0 859.5
131.92 6.699 19.7 883.7
132.6 6.827 19.4 905.2
133.28 6.976 19.1 929.8
133.28 7.125 18.7 949.7
133.96 7.274 18.4 974.5
134.64 7.424 18.1 999.6

 残念ながら、明白な線形パターンはない。見かけの抵抗値は少しずつ小さくなるので、単純な回路でシミュレートするのは難しい。
 しかしポイントは、ダミーの消費電力が600〜700ワット以上にもなる点。システムとしては1キロワット程度の発熱には耐えねばならず、そうなると入手の比較的容易な20ワットのセメント抵抗を使用しても50個程度が必要となる。つまり、どうあがいてもダミーのパーツ点数は50以上になる。だったら、複雑な回路でも構わない。
 電圧の変化に対し、多数の抵抗をタイミングずらしてONにすれば、滑らかな抵抗値変化が実現可能だ。

 ちなみに、励起LDドライバーの出力電圧範囲は90〜130Vあたりである。

written by higashino [ファイバーレーザー] [この記事のURL] [コメントを書く] [コメント(0)] [TB(0)]

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